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二人旅
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※※※
とりあえずずっとまっすぐ歩いたら街を出る事が出来て、奇病がどのくらいまで汚染されているか分からないから街が見えなくなるまで離れて、小屋が見つかったから休む事にした。
ゼロは奇病にかかっているが、怪我をしているから休む事も大切だ。
「お邪魔しま……あぅっ!…ちょっ、兄様!!」
誰か人はいないか小屋の中を確認しようとしたらゼロが突然股間を掴んできてとても驚いた。
幸い小屋には人が居なくて俺の変な声を聞かれずに済んで良かった。
使えそうなものはないか、ざっと見て…俺はゼロのセクハラに耐えながらそれを手に持った。
ゼロには申し訳ないが、寝込みを襲われたらきっと俺もゼロも奇病のせいで何度も何度も死ぬまでするだろう。
そんな事になったらゼロが悪役になる以前にバッドエンドだ。
だからこれはゼロのため、ゼロのためだと自分に言い聞かせてゼロの体に縄を縛り付けた。
傷口は勿論避けて、身動きが取れなくする。
万が一魔法で縄を破られたら大変だから、俺がゼロにくっついて無力化で防いだ。
ゼロの暴走は防ぎきれなかったが、氷魔法なら大丈夫だ。
「える、うっ…はぁはぁ……みるくのにおい」
「なんで皆ミルクのにおいって言うの?奇病にかかったら人間がみるくのにおいになるわけ?」
ゼロは身動き取れないから余裕を取り戻してゼロに聞くが全く聞いていなかった。
ずっと息が荒くて時々苦しそうだから俺も切なくなる。
そのままゼロを横にして眠った、掛け布団はないから俺の体温で温まってくれたらいいな。
ゼロが俺の耳を舐めてきたから、頑張って寝ようとした。
それ以上は出来ない筈だからこれを我慢すればいいんだ、大丈夫だ…大丈夫…
結局俺はその日眠る事が出来なかった。
「…エル、エル」
「…ん、んぅ?」
「おまえのおかげで病気が治ったぞ」
「本当!?」
うつらうつらだった目が冴えて、俺は身を乗り出してゼロを見つめた。
ゼロは俺の肩に顔を擦り合わせていた。
正直奇病って興奮してるかしてないかしか判断出来ない。
興奮だって、奇病にかかっていない人だってする。
後は昨日発見した事くらいだ。
ゼロが本当に元に戻ってくれたら嬉しい。
「兄様、俺ってどんなにおいする?」
「……みるくのにおい」
「治ってないじゃん!」
「……はぁはぁ、える、エッチしたい…なぁいいよな?いつもみたいにとろとろにしてやるよ」
「それは…………な、治ってから」
顔を赤くさせて、もごもごと伝えた。
騙されて縄を解くところだった。
ゼロには悪いが、治るまで禁欲頑張ってほしい。
ここから王都ってどっち方面なんだろう、地図がないか小屋をいろいろと調べてみる。
RPGならお約束アイテムとか、壺に入ってたりするんだよな。
壷の中を覗くと、そこには水しか入っていなかった……そうだ、この世界はRPGじゃなくて恋愛ゲームだった。
武器になりそうな斧が一つしか手に入らなかった。
仕方ない、何処かの街に行けば誰か知っている人がいるかもしれない。
まさかまた奇病とか言わないよね……
ゼロは街には入れないから街を見つけたら安全な場所で待ってもらおう。
幸いな事によく冒険者が来るからなのかあちこちに小屋らしきものがあったのが見えた。
俺はこんなに王都から離れた事がなかったから知らなかった。
ゼロを助けるためだったら、何処でも行くぞ!
ゼロを抱き起こして、縄を解かないまま歩き出す。
「…える、はぁ…動きにくい」
「だって縄を解いたら兄様が兄様じゃなくなるから我慢してよ」
「……まぁ、これも悪くない」
ヤバい、早くなんとかしないとゼロが暴走してしまう……いろんな意味で…
ゼロが転けないように支えながら歩いて、魔物に襲われた時のための斧を手に持っていた。
でも俺が警戒しすぎたのか魔物は一度も襲って来なかった。
魔物はいた、でもゼロの顔色を伺ってるから縛られていても怖いのだろう。
俺はゼロの威圧感に守られながら、安全な旅を続けた。
すると王都ほどではないが、少し大きな街があった。
物凄く煌びやかで派手な色の看板が目立つ街だ。
ずっと見ていたら目が痛くなりそうで、看板から目を逸らした。
またゲームに出てこない街並みに不安があったが、ここなら寂れていないから沢山の人から情報がもらえる筈だ。
奇病の事もなにか知ってる人もいるかもしれない、一番いいのはゼロを治してくれる事だが、ここにそんな名医がいたらあの街は奇病を放置しているわけないから望みは薄いだろう。
勿論帰る事が第一だが、ゼロを助けるヒントも聞けるだけ聞きたい。
この空間だけ異空間のように感じた、賑やかな王都でもこんなに騒がしくはなかった。
ゼロを小屋で待ってもらい急いで街に向かって走った。
そこで思っても見なかった相手と再会をするとは思わなかった。
街の中は一言で言えばとてもうるさかった。
活気があると言えば聞こえはいいが、店の呼び込みも遠く離れた俺にまで聞こえるほど大きな声を出していた。
外で目が痛くなるほど光っていた看板は、中に入れば直視したら目が悪くなりそうなものだった。
それに店も普通の街じゃないようなものが集まっていた。
定食屋の外にあるメニュー表には「人間肉ステーキ」とか「人間の生き血スープ」とか想像しただけで吐き気がする。
冗談で書いてるなら、正直嫌だけどホッとするが…これがメニュー通りだとしたら…
その定食屋から急いで離れると呼び込みをしている人にぶつかった。
「っ…ご、ごめんなさい」
「いてて…お兄さん、悪いと思ってるなら寄ってかない?」
馴れ馴れしく肩を抱く蝶ネクタイの胡散臭い男は俺を自分の店に案内しようとする。
でも、その店の看板をチラッと見て背筋が凍った。
そこには、人間解体ショーと書かれた看板がキラキラと照明が当てられていた。
さっきの定食屋といい、ここはいったいどんなところなんだ?
少し開いた店の扉から何人もの悲痛に叫ぶ声と笑い声が不気味に響いていた。
思わず泣きそうになりながら、男の手を思いっきり振り払った。
怒鳴る声が怖くて、自分でぶつかっておいてもう戻りたくはなかった。
他にも人間の部位が美味い酒屋とか、人間を売ってる店なんてものがあった。
まるでこの街は人をおもちゃのようにしている気がした。
マシだと思いたくないが、まだ王都の方が……
そして誰かにぶつかり、派手に転んでしまった。
頭の上からくちゃくちゃと嫌な音が聞こえて冷や汗が流れる。
俺は上を向きたくなかったが、無理矢理髪を掴まれて上を向かされた。
とりあえずずっとまっすぐ歩いたら街を出る事が出来て、奇病がどのくらいまで汚染されているか分からないから街が見えなくなるまで離れて、小屋が見つかったから休む事にした。
ゼロは奇病にかかっているが、怪我をしているから休む事も大切だ。
「お邪魔しま……あぅっ!…ちょっ、兄様!!」
誰か人はいないか小屋の中を確認しようとしたらゼロが突然股間を掴んできてとても驚いた。
幸い小屋には人が居なくて俺の変な声を聞かれずに済んで良かった。
使えそうなものはないか、ざっと見て…俺はゼロのセクハラに耐えながらそれを手に持った。
ゼロには申し訳ないが、寝込みを襲われたらきっと俺もゼロも奇病のせいで何度も何度も死ぬまでするだろう。
そんな事になったらゼロが悪役になる以前にバッドエンドだ。
だからこれはゼロのため、ゼロのためだと自分に言い聞かせてゼロの体に縄を縛り付けた。
傷口は勿論避けて、身動きが取れなくする。
万が一魔法で縄を破られたら大変だから、俺がゼロにくっついて無力化で防いだ。
ゼロの暴走は防ぎきれなかったが、氷魔法なら大丈夫だ。
「える、うっ…はぁはぁ……みるくのにおい」
「なんで皆ミルクのにおいって言うの?奇病にかかったら人間がみるくのにおいになるわけ?」
ゼロは身動き取れないから余裕を取り戻してゼロに聞くが全く聞いていなかった。
ずっと息が荒くて時々苦しそうだから俺も切なくなる。
そのままゼロを横にして眠った、掛け布団はないから俺の体温で温まってくれたらいいな。
ゼロが俺の耳を舐めてきたから、頑張って寝ようとした。
それ以上は出来ない筈だからこれを我慢すればいいんだ、大丈夫だ…大丈夫…
結局俺はその日眠る事が出来なかった。
「…エル、エル」
「…ん、んぅ?」
「おまえのおかげで病気が治ったぞ」
「本当!?」
うつらうつらだった目が冴えて、俺は身を乗り出してゼロを見つめた。
ゼロは俺の肩に顔を擦り合わせていた。
正直奇病って興奮してるかしてないかしか判断出来ない。
興奮だって、奇病にかかっていない人だってする。
後は昨日発見した事くらいだ。
ゼロが本当に元に戻ってくれたら嬉しい。
「兄様、俺ってどんなにおいする?」
「……みるくのにおい」
「治ってないじゃん!」
「……はぁはぁ、える、エッチしたい…なぁいいよな?いつもみたいにとろとろにしてやるよ」
「それは…………な、治ってから」
顔を赤くさせて、もごもごと伝えた。
騙されて縄を解くところだった。
ゼロには悪いが、治るまで禁欲頑張ってほしい。
ここから王都ってどっち方面なんだろう、地図がないか小屋をいろいろと調べてみる。
RPGならお約束アイテムとか、壺に入ってたりするんだよな。
壷の中を覗くと、そこには水しか入っていなかった……そうだ、この世界はRPGじゃなくて恋愛ゲームだった。
武器になりそうな斧が一つしか手に入らなかった。
仕方ない、何処かの街に行けば誰か知っている人がいるかもしれない。
まさかまた奇病とか言わないよね……
ゼロは街には入れないから街を見つけたら安全な場所で待ってもらおう。
幸いな事によく冒険者が来るからなのかあちこちに小屋らしきものがあったのが見えた。
俺はこんなに王都から離れた事がなかったから知らなかった。
ゼロを助けるためだったら、何処でも行くぞ!
ゼロを抱き起こして、縄を解かないまま歩き出す。
「…える、はぁ…動きにくい」
「だって縄を解いたら兄様が兄様じゃなくなるから我慢してよ」
「……まぁ、これも悪くない」
ヤバい、早くなんとかしないとゼロが暴走してしまう……いろんな意味で…
ゼロが転けないように支えながら歩いて、魔物に襲われた時のための斧を手に持っていた。
でも俺が警戒しすぎたのか魔物は一度も襲って来なかった。
魔物はいた、でもゼロの顔色を伺ってるから縛られていても怖いのだろう。
俺はゼロの威圧感に守られながら、安全な旅を続けた。
すると王都ほどではないが、少し大きな街があった。
物凄く煌びやかで派手な色の看板が目立つ街だ。
ずっと見ていたら目が痛くなりそうで、看板から目を逸らした。
またゲームに出てこない街並みに不安があったが、ここなら寂れていないから沢山の人から情報がもらえる筈だ。
奇病の事もなにか知ってる人もいるかもしれない、一番いいのはゼロを治してくれる事だが、ここにそんな名医がいたらあの街は奇病を放置しているわけないから望みは薄いだろう。
勿論帰る事が第一だが、ゼロを助けるヒントも聞けるだけ聞きたい。
この空間だけ異空間のように感じた、賑やかな王都でもこんなに騒がしくはなかった。
ゼロを小屋で待ってもらい急いで街に向かって走った。
そこで思っても見なかった相手と再会をするとは思わなかった。
街の中は一言で言えばとてもうるさかった。
活気があると言えば聞こえはいいが、店の呼び込みも遠く離れた俺にまで聞こえるほど大きな声を出していた。
外で目が痛くなるほど光っていた看板は、中に入れば直視したら目が悪くなりそうなものだった。
それに店も普通の街じゃないようなものが集まっていた。
定食屋の外にあるメニュー表には「人間肉ステーキ」とか「人間の生き血スープ」とか想像しただけで吐き気がする。
冗談で書いてるなら、正直嫌だけどホッとするが…これがメニュー通りだとしたら…
その定食屋から急いで離れると呼び込みをしている人にぶつかった。
「っ…ご、ごめんなさい」
「いてて…お兄さん、悪いと思ってるなら寄ってかない?」
馴れ馴れしく肩を抱く蝶ネクタイの胡散臭い男は俺を自分の店に案内しようとする。
でも、その店の看板をチラッと見て背筋が凍った。
そこには、人間解体ショーと書かれた看板がキラキラと照明が当てられていた。
さっきの定食屋といい、ここはいったいどんなところなんだ?
少し開いた店の扉から何人もの悲痛に叫ぶ声と笑い声が不気味に響いていた。
思わず泣きそうになりながら、男の手を思いっきり振り払った。
怒鳴る声が怖くて、自分でぶつかっておいてもう戻りたくはなかった。
他にも人間の部位が美味い酒屋とか、人間を売ってる店なんてものがあった。
まるでこの街は人をおもちゃのようにしている気がした。
マシだと思いたくないが、まだ王都の方が……
そして誰かにぶつかり、派手に転んでしまった。
頭の上からくちゃくちゃと嫌な音が聞こえて冷や汗が流れる。
俺は上を向きたくなかったが、無理矢理髪を掴まれて上を向かされた。
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