魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中

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学園編

20.


「お父様……どういうことか、説明していただけますか?」

剣聖ララフは、目の前の少年を父と呼んだ。
それはこの少年、アルのとんでもない剣技を目にしたからだ。

「う……もう言い逃れはできないね。ララフ、大きくなったね。会えてうれしいよ……って、う!」

アルが声を上げたのも無理はない。
ララフによって、これ以上ないくらいきつく抱きしめられたからだ。
しかも、本来アルが享受できるはずの、ララフの豊満な胸は、今は堅いプレートに覆われている。
そのため、アルは鉄の塊に押しつぶされる。

「く、くるしいよ……」

「す、すみません……でも、やっと会えました。私が幼いころに、なくなってしまって以来……会いとうございました!」

ララフはまるで子供のように涙する。
無理もない。彼女にとって、記憶の中の父などほぼ無に等しく、伝説上で語られるエルフォ・エルドエルの雄姿だけが想像するすべてだったのだ。
数十年を超えた再会に、ララフもアルも感動する。

だがそれを喜んでばかりもいられない。

「アル・バーナモントくん。今すぐ職員室に来なさい」

教師が寄ってきて、アルにそう告げたのだ。
理由はもちろん――。





場所は移動して、職員室――。
もちろん剣聖ララフも事情聴取のため同行した。

「グリシャ・グリモエルを殺害した罪、どれほどかわかっているのだろうね?」

グリシャ・グリモエル――理事長の孫にして、この学校の生徒。
先ほど、邪剣マグダウェルに魂を喰われ、アルによって切り伏せられた次第だ。

「お言葉ですが、彼はもう助かりませんでしたよ? 邪剣マグダウェルに喰われては、手の施しようがない。それに、あのままの彼を放っておけと? あのままでは、確実に犠牲者がでましたよ?」

アルは反論する。
しかし、彼ら教師に理屈は通じない。

「そういうことではないのだ。君は理事長の孫を殺した。わかるね?」

「はい……」

アルは仕方なく、反論をあきらめる。
しかし、ララフがそこに抗議を申し立てた。

「ちょっと、それっておかしくありませんか?」

「剣聖殿、学内のことに口を出されては困るのですよ……」

「私もこの学校の出資者ですけど……?」

「そうは言われましても……相手はあの理事長ですからねぇ……」

話し合いは膠着状態に陥り、処分は後日言い渡されることとなった。

「こんなのおかしいわ……! ねえお父様……」

「まあ、そんなこと言っても仕方ないよ……。とにかく、生徒のみんなを守れてよかった」

「まあ、そうですね……」





「アル君、君の処分が決まったよ。君は退学だ。それと、理事長は君の顔も見たくないそうだ。わかったら、さっさと学園を去ってくれるかな?」

「そんな……!? お父様……じゃなかった、アル君もなにか言い返さないの!?」

ララフだけがそう騒ぐも、アルは黙ったままだ。

「なにを勘違いされているのです? 剣聖ララフ殿、あなたも同様ですよ?」

されど教師は、冷淡な声で告げる。

「は?」

「理事長はあなたも同罪と判断されたのです。さっさと立ち去ってください。あなたの出資はもういりません。今後一切、学校としては剣聖とのやりとりを拒絶します」

「そんな勝手な……」

どんな言い分も通らず、アルとララフは仕方なく、学校を後にした。

「こんなことって……」

「まあ、仕方ないよ。なるようになるさ」





この話は、すぐに町中、いや、国中に広まった。
小さき英雄アル・バーナモントと、剣聖ララフ・エルドエルが理事長から追放を言い渡されたこと……。
その原因が、理事長の孫の暴走によること……。

それは、王の耳にまでとどろいた――。

「なんという酷い事件だ……! 許せない……!」

王はその重い腰を持ち上げ、学校へと向かった。





「この学校は、生徒を邪剣から救った英雄を、退学処分にするのか……?」

「あ、あなたは……!? 王!?」

理事長のもとへ現れたのは、他でもないこの国の王だった。

「す、すみません……そんなつもりは……」

「いい訳はいい! 今すぐアル君と剣聖様を連れ戻せ! そしてお前は理事長をクビだ!」

「ひ、ひぃ!」

こうして、王の一声で、理不尽は覆され、アルは復学を許されたのだった。





「なんだかわからないけど、よかったよ」

「ほんとよ、一時はどうなるかと思ったわ……」

アルとミュレットは、小声で雑談をしていた。
生徒たちはみな、集会用の講堂に集められている。

「でも、理事長はクビみたいだね……」

「おかしな話ね。でも、次の理事長はいったい、誰になるのかしら……」

「そうだね……」

集会が始まると、それまで騒がしかった生徒たちも、みな壇上に注目する。
それだけ、新しい理事長について、興味津々なのだ。

「えーでは、新しい理事長を紹介します」

――ゴクリ。

会場が一瞬、静まり返る。

「あ、あれは……!? まさか……!?」

そう、壇上に現れたのは――。


「私が新しい理事長の、ララフ・エルドエルだ。よろしくたのむ」


ララフは、壇上から、講堂内にいるアルに、ウインクで合図を送るのだった。

「とんでもないことになっちゃったな……やれやれ……」






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