79 / 85
10日目/岡崎優輝【説得】
しおりを挟む「ちょ、ちょっと待ってストップ!ストップ!」
掴まれた両肩に武ちゃんの混乱具合が力の強さで伝わってきた。
予想外での異常な混乱ぶり!唖然となりながも『え?なんでこんなに?』と思っていると、ハッと思い出した。
そっか!女性関係で怖い思いしたから、今の姿の武ちゃんに変わったんだよな。
「武ちゃん大丈夫だから!ちゃんと俺の意思で書いたし、心配しないで!」
なだめるように俺は武ちゃんに言ったが、武ちゃんにしてみれば自分から地獄に逝こうとしてる様にしか見えないんだろうな。
どう言えば納得してくれる?
素直に実は記憶があって違う世界から来て『亡き妻の希望で沢山の子供を作らないといけない』と伝えるか?
ん?希望か?脅迫されてる様な気が………
いやいや考えるだけで背筋が寒くなりそうだからやめよう。
それに素直に言っても普通信じないだろ!
それより待てよ。武ちゃんが女性との、そういう事を『地獄に逝く』と思っているならその認識を換えればいいのか。
「武ちゃん!俺は逃げないで闘う。詳しくは言えないけど勝算はあるから。」
「か、勝てる訳ないじゃない………あんな野生の獣に………」
話を聞いていた鈴鳴先生も武ちゃんの意見に賛成らしく
「そうだぞ優輝君!理性を失った女は通常の2倍から3倍の力が出ると昔に研究結果が出ている。わ、私は慣れているから理性を失う事はない………はずだ。」
勿論知ってるしネットで調べたからな。今の男は異変が起きる前の1/2もしくは1/3の力しかないらしい。
現に俺より体格のいい武ちゃんに力一杯肩を掴まれたけど、そんなに痛くない。
そう考えると俺は通常の男より2倍から3倍の力だって事になると思う………多分。
理性を失った女性は怖いと思うが、襲われるつもりは全くない。逆に俺が責めるつもりだからな。
こっちの世界では女性は男を[責める][襲う][ヤる]との表現・認識で決まっているし、勿論男も女性から[責められる][襲われる][ヤられる]との認識で対処方法は[逃げる][諦める]の二択しかない。
例外は結婚した夫婦だけみたいだけだが………
しかし本当になんだこの世界………………アホか!?
男はマグロが当たり前?
何言ってんの?
女性と関係を持てそうなら、そのチャンスをものにして、みなぎる気持ちを息子に託し突撃だろ!
前の世界にも草食系なんて呼ばれている男がいたが、俺から言わせれば男の子だ!男じゃない。
「逃げる為には力は必要だと思いますよ。でも勝つ為には力なんていらないんです。責めるんです!力が強い?なら力を出せなくすればいい。」
「な、何を言ってるの?男が責めるなんて………自分から女性を触る………触る?…………優輝君!可能なのね?」
おっ!武ちゃんは気付いたみたいだ。
「はい!」
さっきまで混乱していたのが嘘の様に、武ちゃんは力強い目で俺を見て頷いた。
「わかったわ。その可能性が実現するなら、この世界の男にも希望が生まれるかもしれない…………そうよ!補食されるだけじゃだめなのよ、時に戦わないと自由を勝ち取れない。」
おぉ~武ちゃんが熱い!
そんな武ちゃんと俺は熱く目を合わせ一緒に頷いた。
その時同じく部屋にいた鈴鳴先生が小さい声で
「あの~意味がわからないんだが…………説明……して………くれ…………ないよな~」
その場の雰囲気に負けた鈴鳴先生だった。
なんとか武ちゃんを説得出来たが、しかしまだ問題が1つ解決していない。鈴鳴先生の所業についてだ。
研究の中での1つの実験としてやったのなら罪にはならないがだろうが、研究サンプルとして提供された卵子を使わず自分の卵子を使ったのはマズイ。私的目的として特定の男性の精子で受精卵を作ったと思われてもおかしくない。ただ、まだ出来た受精卵を母体………自分の体に使用してない。
極めて黒に近いグレーだ。
まぁ、でも俺の種の秘密を知っているしこれから関係を持つ予定だから捕まってもらいたくない。
そして今、目の前には正座をさせられている鈴鳴先生がいる訳だ。俺がさせた訳ではないから!
武ちゃんが………ね!
俺はベットの上にあぐらで座っている状態………そんで武ちゃんからの説教が終わり………朝食はその説教の間に食べた。
非常に気不味かった。
そんで今『判決は?』みたいな目で武ちゃんと鈴鳴先生に見つめられてる状態………
「え~と鈴鳴先生とは子作りする予定なので、受精卵を勝手に作った事はギリギリ許します。それとせっかく作った受精卵は二人目を作る時に使うと約束してください。まだ着床して胎児となってないですが大事な命だと思うので………いいですか?」
やはり甘いかな?武ちゃんは俺の判決に渋々そうにしている。
そして鈴鳴先生は何回も首を縦に振って『助かった~』と思っているのがわかるくらい安堵した顔をしていた。
ん!もう少し言っておくか………
「あと!不健康な人とは子作り出来ないので!あぁ~そうそう常識的に欠ける人も無理ですね。そんな人がいたらリストの順番の変更もしくは最悪除外しないとな~」
そう言いながら武ちゃんを見ると『うん、うん、その通りだ!』と今度は納得してくれたみたいだ。
鈴鳴先生は………あぁ、寝不足で顔色が悪かったのにさらに青ざめた顔になって何度も土下座してました。
その後片手に俺の食べた食器類を持ち、もう片手で鈴鳴先生の首根っこを掴み連行して行った武ちゃんは男らしかった。
勿論口には出せないけど………
そんな朝からひと騒動も落ち着き、精神的に疲れてしまった俺は病室のベットの上で少し休憩した。
ふと時計を見ると時間は10時14分………あっ!そうだ!
昨日の夜に気になった事があったんだっけ………明日退院して関係は無くなるかもなのだが、あの子達のその後退院したらどうするのか気になったのだ。
談話室に行ってみるか………
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「「絶対ダメです!やめてください!」」」
何故か今、若者達に囲まれて30分程説得されています。
どうしてこうなったのだろう?
談話室に来てから30分程過ぎたあたりに質問されて、答えたら………今の様に自殺をしようとする者を思い止まらせようと必死の説得をされている。
俺がしているのではなく、されているのだ。まだ中学生ぐらいの若者に………
そう!なぜにこうなったかと言うと1時間前に談話室にきたのだが、友則君は家から母親と妹さんが来て10時から面会中だった。
それで待つ間にいつも友則君と一緒にいる武司武司君、雅人君、佑斗君と会話を始めた。
最初は直接的に話をした事もなかったから、緊張している様子だったが30分程話す頃には打ち解けていた。
彼等にもいつ頃退院するのかと聞くと、中学を卒業するまでには………と三人共答えた。どうして?と理由を聞くと、この世界では一般的に中学まで共学で女子がいる学校に行くのだが、中学生になった頃から女子の視線や偶然を装ったセクハラ行為がトラウマ的に多くなり不登校になったらしい。
不登校になって家にいても、姉や妹、酷い話だが母親まで男として成長してきた彼等を性的に見る様になり逃げる様に入院してきたそうだ。
それで高校になれば男子校の寮生活になり安心して生活出来るからと………
現在、総理大臣の虎太郎さんが国会で法案を成立させようと奮闘中らしい。
法案の内容は中学から本人の希望で共学か男子校かを選べる事それと本人の希望次第で自宅か寮生活を選べる事の2つ。
今の彼等には切実でピンポイントな法案だ。しかし………女性議員からの猛反発にあっているらしい。
彼女らの言い分はなんだかんだと難しく意見を言ってるらしいが、簡単に言えば男性との知り会う機会が減るのと自分達が過去に中学生だった頃男性に毎日会えて、あわよくば欲望を少なからず満たした思い出をこれからの女の子達から取り上げて無くそうなど許容出来るはずがなかった。
少ないが女性議員の中にも娘がいる親もいる。
思春期に娘が悶々とした感情を発散出来ないせいでグレても困るのだ。
実際、某大学の教授が思春期に男性と接しなかった女性は犯罪率が高いと言う研究報告を出していた。
そんな事情を教えて貰った後逆に俺に質問がきた。
「岡崎さんは退院したらどうするんですか?」
その質問の答え方を間違えた。いや間違えたと言うより前の世界の常識で答えてしまったのだ。
「そうだな~落ちついたらまず仕事を見つけて、お金貯めてぶらっと1人旅で温泉とか名所でも見て廻るかな~」
何か間違ってる?間違ってないよな?
そう答えたら「「「絶対ダメです!やめてください!」」」
って三人声を合わせてそれから今に至る訳だ。
何がダメだと言うと、まず仕事。
「どんな仕事するんですか?」の質問に
「あ~サービス業とかかな~わりと接客好きだったからな~」
これも間違ってない。前の仕事がそうだったし………
男は仕事しないのが普通という常識、武ちゃんとかは男性から除外されているからいいらしい。
総理大臣の虎太郎さんは男の代表みたいな存在でそれもいいらしい。
それ以外でも仕事をしている男性はいるが、大抵が家で趣味程度だと言う。
それより1番の大きな問題は一人旅や温泉#や名所に行く事だった。
一人旅?多分10㍍も歩かないうちに押し倒されて物陰に連れて行かれますよ?
温泉?襲われたいんですか?
名所?外国に拐われたいんですか?
とこんな感じで説明されて最終警告が
「「「絶対ダメです!やめてください!」」」
の2連発………友則君も途中から加わりお昼まで若者達から考え直す様に説得された。
俺?間違ってます?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる