13 / 13
温もり
しおりを挟む
それから私は都内に引っ越して、朝は春野さん───颯晴───と待ち合わせて一緒に出勤するのが私達の新しいルーティーンになった。
寒い冬も直前まで私の熱い手と繋がっていた彼の手は静脈認証を難なくクリアするようになった。
「・・・羽雪。」
冬なのに春みたいに暖かい日が続いていた。休みの日、颯晴の部屋のソファでぬくぬくとくつろいでいると彼が私を呼んだ。『ん?』と返すと颯晴は私をぎゅっと抱きしめて言った。
「最近、一人でこの部屋にいるとやたら寒いんだ。暖房全開にしても凍えそうなくらいで夜も途中で目が覚めたりして。」
「そう?最近あったかいよね?寒いならエアコンのフィルター掃除すればいいんじゃないかな?それでも駄目なら買い替え?この部屋広いし温まりにくいのかもね。」
そう返すと『バカじゃねぇの?』と言われた。ムッと来て彼を睨み付けようとすると、その前に唇を奪われた。
「冷たい俺を羽雪が温めて。ここで、一日中、一年中。」
唇が離れると彼にそう言われ、ハッとする。
「・・・それって!?」
「・・・言わせんの?」
「言ってほしい・・・な。」
そう言うと颯晴は『くそっ!』と言いながら頭を掻き、それから私の目をまっすぐに見て言った。
「・・・俺と一緒に暮らしてほしい。羽雪の温もり知っちゃったから、もう一人じゃいられない。」
「・・・しょうがないな。」
颯晴にぎゅっと抱きつきながら言うと、彼の体は熱かった。そのままソファに押し倒されて、私達は手だけではなく全身の温もりを分け合ったのだった。
冷たい彼と熱い私のルーティーンはこれからもっともっと、温かくて、心地よくて、幸せなものになる───そんな予感がした。
───冷たい彼と熱い私のルーティーン 完───
寒い冬も直前まで私の熱い手と繋がっていた彼の手は静脈認証を難なくクリアするようになった。
「・・・羽雪。」
冬なのに春みたいに暖かい日が続いていた。休みの日、颯晴の部屋のソファでぬくぬくとくつろいでいると彼が私を呼んだ。『ん?』と返すと颯晴は私をぎゅっと抱きしめて言った。
「最近、一人でこの部屋にいるとやたら寒いんだ。暖房全開にしても凍えそうなくらいで夜も途中で目が覚めたりして。」
「そう?最近あったかいよね?寒いならエアコンのフィルター掃除すればいいんじゃないかな?それでも駄目なら買い替え?この部屋広いし温まりにくいのかもね。」
そう返すと『バカじゃねぇの?』と言われた。ムッと来て彼を睨み付けようとすると、その前に唇を奪われた。
「冷たい俺を羽雪が温めて。ここで、一日中、一年中。」
唇が離れると彼にそう言われ、ハッとする。
「・・・それって!?」
「・・・言わせんの?」
「言ってほしい・・・な。」
そう言うと颯晴は『くそっ!』と言いながら頭を掻き、それから私の目をまっすぐに見て言った。
「・・・俺と一緒に暮らしてほしい。羽雪の温もり知っちゃったから、もう一人じゃいられない。」
「・・・しょうがないな。」
颯晴にぎゅっと抱きつきながら言うと、彼の体は熱かった。そのままソファに押し倒されて、私達は手だけではなく全身の温もりを分け合ったのだった。
冷たい彼と熱い私のルーティーンはこれからもっともっと、温かくて、心地よくて、幸せなものになる───そんな予感がした。
───冷たい彼と熱い私のルーティーン 完───
21
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
ひとつの秩序
水瀬 葵
恋愛
ずっと好きだった職場の先輩が、恋人と同棲を始めた。
その日から、南莉子の日常は少しずつ噛み合わなくなっていく。
昔からの男友達・加瀬透真は、気づけばやたら距離が近くて、優しいのか、図々しいのか、よく分からない。
好きな人が二人いるわけじゃない。
ただ、先輩には彼女がいて、友達は友達の顔をしなくなっていく。
戻れると思っていた関係が、いつの間にか戻れなくなっている。
これは、仕事も恋もちゃんとやりたいのに、だいたい空回りしている大人たちの、少し不器用なラブコメディ。
甘い失恋
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私は今日、2年間務めた派遣先の会社の契約を終えた。
重い荷物を抱えエレベーターを待っていたら、上司の梅原課長が持ってくれた。
ふたりっきりのエレベター、彼の後ろ姿を見ながらふと思う。
ああ、私は――。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
譲れない秘密の溺愛
恋文春奈
恋愛
憧れの的、国宝級にイケメンな一条社長と秘密で付き合っている 社内一人気の氷室先輩が急接近!? 憧れの二人に愛される美波だけど… 「美波…今日充電させて」 「俺だけに愛されて」 一条 朝陽 完全無欠なイケメン×鈴木 美波 無自覚隠れ美女
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
とても読みやすくてなおかつ素敵な作品でした!2人ともが少しツンツンタイプなのかな。話数はあまり多くないのに展開が急ということもなく二人の距離感がぐっと縮まったときは、くぅぅぅ~!尊っ!となりました。素敵なお話ありがとうございます。
お読み頂き、またご丁寧に素敵なご感想も頂き、本当にありがとうございました(*´∀`*)
大変励みになります!
不器用で愛おしいこの2人の続編をいつか書けたらいいなと思っております☆