生きる

桜小径

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覚悟

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とにかく、何をするにも覚悟ができないのだ。しない理由、できない根拠を探すしか脳がない。本当に生きていても無駄である。

疲れやすい、病気しやすい、揉め事に巻き込まれやすい、自分で何も決められない。タバコ一つ止めることができない人間に何ができるというのか?

深呼吸さえできない。知らない間に息を潜めて呼吸も少なくしている。捕食者から逃げ惑う小動物である。

小動物は自然の体系の一部を担っているが、男はそれさえもできない。タバコで空気を汚し、何かを食べたり飲んだりするためにゴミを生産する。改めて振り返ると自分は無駄の塊ではないか!としか思えない。と男は自分の事を情けなく思う。

何をするにも覚悟が足らない。いや、覚悟の意味を心底理解できてないのだろう。何度も同じ過ちを繰り返し、進歩らしい進歩もなくただ漫然と飯を食い、そして眠る。それしかできないのだ。家畜なら人間様の餌に成れるがその価値さえないのである。

こんな男はどうすればいいのか。死ぬしかしようがないという事しか閃かない。死ぬ気になって何かをやり遂げることができればいいと思うこともあるが、思うだけである。

実際、大した保険料も払えない男が死んだとて、喜ぶ者、悲しむ人さえ少ない。「死ぬまで生きる」という覚悟を決めているホームレスより始末に負えないのだ。飯をくって害悪を垂れ流し眠ることを繰り返すだけが、男の人生であり顛末である。いや、天罰か。

般若心経によると、全ては空であるという。空とは何なのだろう、と男は思う。好きだとか嫌だとか、気持ちの善し悪しを突き詰めたら最後に辿り着くのは「空」であり、「空」であるなら好悪や善悪に殊更にこだわり、そのために苦しむのは無駄なことであるのだ。

では何のために生きるのか?

お金が欲しい、良い服を着たい、気持ち良いことをしたい。

それらは、当然良いことである。ただ、そのためだけに生きるのは辛さを伴うのだ。必要以上の労働や対価を支払う必要が出てくるからだ。無理をして求めると対価も無理になってくる。無理をしなければ心地よいものは得られない。ただそれだけなのだ。

逆に、先に心地よいものを受け取ってしまっている場合は、淡々と、その対価を支払うだけである。必要以上に悲しまなくてもいいはずだ。

男は先に受け取っている。それを大丈夫に対価を支払うだけで良いのである。心に重荷をぶら下げて生きてはいけないのだ。









    
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