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人丸さん
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テツとぼくらが住む村には、それなりの大きさの神社が二つある。
一つはトヨウケヒメが祀られている本社だ。トヨウケヒメは伊勢神宮の下宮の神様でもある。
その神社の摂社という形で人丸神社はあるのだが、本社から少し離れている。
おそらく、明治時代の神仏分離後に神社はこういうモノ、という規定が決められたので、摂社という形をとっているのだろう。
ぼくの家からは西に人丸さん、東に本社がある。
人丸さんは男神、本社は女神だ。
どちらも、古墳の跡に建てられた神社だ。
人丸さんは生前は柿本人麿という名前を持っていた宮廷歌人だ。歌聖と称されている。
ぼくらの村にはその柿本人麿が立ち寄ったという伝説があり、その伝説により人丸神社が建てられたのだ。
柿本人麿は、播磨国とか石見国の官僚だったこともあり、最愛の妻は石見国にいたらしい。
若い頃は宮廷歌人として、たくさんの和歌を残している。
石見国の官僚で赴任した時に、その場で結婚したらしい。
その後、奈良に呼び戻されたり、播磨国に赴任したりしたらしい。
播磨国の官僚のころ、石見国に残してきた妻の事を思い、ぼくらの村から妻の事を考えていたらしい。
この村が石見へ向かう街道の分かれ道だからだ。
そんな人丸さんは、無人の神社なので、子ども達の格好の遊び場になっている。
テツは言う。
「こんなとこになんで人丸の神様がおるんや」
「そら、縁があるからや」
僕は答える。
まあ、神様が居ようがいまいが、ぼくらにとって最高の遊び場であることは間違いない。
ある日人丸さんにあった夢を見た。
「おい、坊主、わしはずっとここにおるわけではない。わしは日本のあちこちで祀られているのでそこを回っておるのじゃ。今風にいうと別荘だから、ここで悪さをするなよ」
「え?別荘」
「そうじゃ。でも、願い事はここですればわしに届くのじゃ」
「どうやって?」
「それは、わしにも良くわからん。神様として祀られたからじゃろうな。」
「ふーん。何か願い事を叶えてくれるの?」
「願いの手助けしかできん。やるのは坊主らじゃからの。願いをとなえたら自分の頭で自分の事がよくわかるじゃろう?」
「まあ、そう言われれば」
「まあ、お前たち二人はやんちゃすぎるので、見張っておいてやろう」
「見張るの?」
「おう、悪い方へ転ばんようにな」
と、いうと人丸さんは消えてしまった。
この後、いろんな悪い事が起こるが、なんとか生きているのは人丸さんのおかげかもしれないなあ。とぼくは思った。
一つはトヨウケヒメが祀られている本社だ。トヨウケヒメは伊勢神宮の下宮の神様でもある。
その神社の摂社という形で人丸神社はあるのだが、本社から少し離れている。
おそらく、明治時代の神仏分離後に神社はこういうモノ、という規定が決められたので、摂社という形をとっているのだろう。
ぼくの家からは西に人丸さん、東に本社がある。
人丸さんは男神、本社は女神だ。
どちらも、古墳の跡に建てられた神社だ。
人丸さんは生前は柿本人麿という名前を持っていた宮廷歌人だ。歌聖と称されている。
ぼくらの村にはその柿本人麿が立ち寄ったという伝説があり、その伝説により人丸神社が建てられたのだ。
柿本人麿は、播磨国とか石見国の官僚だったこともあり、最愛の妻は石見国にいたらしい。
若い頃は宮廷歌人として、たくさんの和歌を残している。
石見国の官僚で赴任した時に、その場で結婚したらしい。
その後、奈良に呼び戻されたり、播磨国に赴任したりしたらしい。
播磨国の官僚のころ、石見国に残してきた妻の事を思い、ぼくらの村から妻の事を考えていたらしい。
この村が石見へ向かう街道の分かれ道だからだ。
そんな人丸さんは、無人の神社なので、子ども達の格好の遊び場になっている。
テツは言う。
「こんなとこになんで人丸の神様がおるんや」
「そら、縁があるからや」
僕は答える。
まあ、神様が居ようがいまいが、ぼくらにとって最高の遊び場であることは間違いない。
ある日人丸さんにあった夢を見た。
「おい、坊主、わしはずっとここにおるわけではない。わしは日本のあちこちで祀られているのでそこを回っておるのじゃ。今風にいうと別荘だから、ここで悪さをするなよ」
「え?別荘」
「そうじゃ。でも、願い事はここですればわしに届くのじゃ」
「どうやって?」
「それは、わしにも良くわからん。神様として祀られたからじゃろうな。」
「ふーん。何か願い事を叶えてくれるの?」
「願いの手助けしかできん。やるのは坊主らじゃからの。願いをとなえたら自分の頭で自分の事がよくわかるじゃろう?」
「まあ、そう言われれば」
「まあ、お前たち二人はやんちゃすぎるので、見張っておいてやろう」
「見張るの?」
「おう、悪い方へ転ばんようにな」
と、いうと人丸さんは消えてしまった。
この後、いろんな悪い事が起こるが、なんとか生きているのは人丸さんのおかげかもしれないなあ。とぼくは思った。
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