夢のかけら  空の片想い

藤間紅葉

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夢のかけら  空の片想い (後ひとつの空の片想いは、〈悲壮な決意〉です。

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 片想い?  いえ、いえ、
 これは、、せつなく、むねが締め付けられる恋の物語です。
 高層マンションの最上階を1人で買い占め、大々的な改装を行い、幼い娘と母が住んでいた。
 その女性は、年齢不詳の隠し取りされた映像では、抜けるような青い瞳ではあるが、出身国さえ、不詳の美しい女流作家であった。

 ほとんど外に出掛けることのない女性は、それでも、そのマンションでひときわ目を引いていた。

 吸い込まれるようなスカイブルーの瞳をもつ、女性には、いつも、そのかたわらに愛娘がいる。愛らしく、無邪気な幼子は、見る人全てを笑顔にさせ、幸せな気持ちにさせる不思議な魅力があり、その瞳の色は、母のそれよりも、ずっと青く深い、吸い込まれるような、蒼い瞳をしている女の子は、他人を遠ざけ、話しかけるこてさえ、戸惑いを覚える母とは違い、娘のサーヤは、とても、人懐っこく目が合えば、「こんにちは!」カタコトの日本語で弾けるような笑顔で挨拶をする。エレベーターで
 一階までの短い時間の内に、誰もが、その娘の虜になっていた。
 〈バイバイ〉と、手を振る少女と、手をつなぎ何処かに立ち去る。その、母の方は、振り向きもせず、真っ直ぐに、目的地に歩き出す、スカイブルーの瞳の女性。近年になり、突然、彗星のように、文壇に躍り出、それ以来、数々のあらゆるジャンルの小説を発表し、その年の各文壇の各賞を総なめにし、日本のみならず、主要な国にも発行され、その年収は、十億とも、百億とも、言われている、
 いわゆる、天才女流作家であった。
 その小説の1つは、ハリウッドで映画化の話さえ、もちあがっていると言う。

 だが、その女流作家の出生は、謎につつまれ、今のコンピューター時代に考えられない事態であり、AIを使っても、名うてのハッカーが総力を駆使しても、年齢さえ分からず、全く糸口を掴めない。皆、首を傾げるばかであった。

 夕焼け前の、数時間
 。シュロは、海をみわたせるバルコニーで、空と海の境がわからない、この時間に、バルコニーの白く丸いデスクの白い椅子に座り、赤ワインを手に、海を見つめるのが、彼女の日課となっている。

 真っ赤な夕焼けが、海をそめ、夜空に、星が輝き出すと、彼女は、すくっと立ち上がると、海に背を向けて、机に向かい
 一心不乱にペンを走らす、その姿は、
 摩訶不思議で、
 小説を書いているというよりも、勝手にペンが走っているようで、その、 ペン先には、何の迷いもなく様々な物語を紡ぎ出してゆく。

 人であって、人でないような透明感が彼女をつつんでいる。シャープなギリシャ神話の石像のような端正な冷たい横顔。燃えるようなその金髪は、腰まであり、長いその金髪は、光の加減で様々な色に変化し、オーロラを見ているかのようだ。その長いうねるような金髪が、彼女のシャープな横顔を更に耀かせる。一介の作家にしておくのは、おしい不思議な魅力を放ち、それ故、何度となく、ドラマや映画化された際のヒロインを頼まれるが、ガンとして断るシェロに海千山千の俗物である監督たちも、彼女の稲妻のような視線で見据えられると、次の言葉が出ず。皆、身をちぢめて諦縮めて、申し出をあきらめるのだ。
 そう~、それは、雷に当たった人間が、思わず頭を抱えて、しゃがみこむみたいに。。。恐ろしげに彼女を見上げ、すごすごと皆帰ってゆくのである。
 もう、三才になる娘は、賢く母の仕事の邪魔
 せず、沢山のぬいぐるみ相手にコロコロとよく笑い1人きりで遊んでいる。


「パパ!」と、
 娘がはしゃいだ声をあげる。ポセイドンのような逞しい肉体をもつ彼は、娘と同じ蒼い瞳で、ゆうに190センチを越える肉体をしており、その逞しい腕に抱かれ、きゃきゃと、ゴキゲンで、父に子猫のように甘えている。

「シュロ、、、いつまで、こんな生活、続けるんだ」



「いつまでって、、、ずっとよ。 私達母子は、これで、十分、幸せですもの」と、シュロが応える。


「なぜ❓️あの時、この子を身籠っていることを、言ってくれなかったんだ!皆、僕らが結婚は、神々たちも皆認め、成長し結婚するのを楽しみにしていたほどなのに。ただ、1人反対したのは、お前の妹、シュロの星の精のシャロンを除いては。この子の事実を教えてくれていれば、あんなバカな過ちなど、犯さなかった。なぜだ!何故あの時黙って、我々の元から消えた。」


「 ならば、どうしたら、よかったとゆうの⁉️妹の、星の精のシャロンのお腹には、既に、貴方の子が、宿り
 、神々に、その、奇跡的妊娠を訴え、あなたたちの、結婚を渋々認めるしか、神々も、なかった。私は、下界に降りた。そして、此処に来た。誰も、悲しませたくなかったのよ。ほら、十分1人で生きてゆけるでしょう?こんな、可愛いい娘もいるし。」


 ポセイドンと見間違う、ホセは、

「オレは、どうしたら、よいんだ、 こんな、生活、堪えられないんだ❗」


「ホセ。貴方が撰んだ道よ。誰に強いられた訳でもない。あなたが引き起こした事。もう~どうにもならない。私はいいのよ。どれ程あがいても、どうしようもないわ。ほら、見てごらんなさいよ。ホセの子供達があんなに、貴方を恋しがり寂しげに夜空に光っているわ。」




 彼女は、ホセに背を向けて夜空にきらめく、無限の星達を眺めながら、しずかに応えた。

 ホセに肩車されて、サーヤは、上機嫌だ。

 もうーそろそろ帰ったら?ほら、星の妻や子供たちがじっと、あなたをみつめているわ。ひときわ光輝く星の精、シャロンは、いまにも、流れ星になりそうだわ。

 夜空に耀く星の精のシャロンは、空の精、私の妹。

 いくら、ホセにひかれようと、海と星は、離れ離れの運命を辿る。なぜなら、星は、夜空にのみ存在し。又海に映る星は、ユラユラとその光を海に写すだけで、海に存在出来ないからだ。だから、つかみ所がなく、ただユラユラと波間の間を揺らめくのみで、年に数回、波1つない僅かな時だけ、家族一緒にいれるのだ。海のホセに激しく恋した妹のシャロンは、その一瞬をついて、結ばれ、無数の子供たちをうみだした。

 だが、ホセは、子供たちの誰1人とも、サーヤのようなや、しっかりと抱くことさえ不可能だった。

 なぜなら、その子供たちは、高く遠い空の中でうまれおちた子供たちだったからだ。

 時として、流れ星が海におちるのは、愛しい父に逢いたくてたまらない子供たちだ。それさえも、しっかりと抱き締めてあげられないもどかしさ。星の子供たちは、ほんの一時、父なる海の精ホセと、波に漂い語るだけ。なんと、さみしく、せつない家族であろう。


「だから、こうなるから、お止めなさいといったじゃないの」

 妹であり、この宇宙で唯一の愛するホセを奪った星のシャロンに、向かって呟いた。、星は、雲の陰にかくれた。

 その時に既に、ホセの子供を身籠っていたが、空を姉に預け、シエロは、下界で1人きりで、ホセの子
 を産んだ。

 パパにひさしぶりに逢えた娘は、ぷっくりとした手で父が消えるのをとめようと懸命だ。

 だが、夜空に光響く稲妻と雷鳴が響くと共に、ホセは、バルコニーから忽然と消えた。

 人間たちは、あまりの稲妻と雷鳴の激しさに家にとじこもる。

 この物語は、神々と、空と、海と、星との
 すれ違いのせつなすぎる

 悲しい、悲しい、物語。




 [わたしは、この物語の続きをつむぎたいか? そして、君は、しりたいか?]
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