辺境伯と幼妻の秘め事

睡眠不足

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本能の光 ★

「ニック、これ、恥ずかしいの」
「大丈夫、綺麗だから」
「そういう問題じゃない……」

 今はまだ昼下がり。そのため引かれている薄いカーテンは外から覗けないよう隠すだけのもので、室内は明るい。
 そんな中、全裸で四つん這いにされて全て曝け出す恥ずかしさと言ったら堪ったものではない。
 夜の薄暗い寝室でもお互いの顔などは見えている。でも秘部のような細かいところは、少しばかり夜目が利くニコラスでもはっきりとは見えないと言われ、安心していた。
 今までに明るい時間帯に抱かれ、見られたことはある。その時も恥ずかしかったけれど、こんな体勢ではないからまだ耐えられたのに。

 姉には恥じらいも慎みもないと呆れられているジュリアでも、これは辛いものがある。つい最近までは純潔だったのだから尚更だ。
 そんなことは百も承知のニコラスだが、いつも通りすぐに忘れさせる自信がある上に、ジュリアはこれを気に入るとの確信もある。


「でも、ほら」
「ああっ!」

 後ろから小さな芽を舐め上げられた瞬間、いつも以上の快楽に見舞われる。

「こんなに感じてる」
「これ、ぞわぞわするの、んんっ」

 後ろに突き出されているせいなのか、強烈な快感にジュリアは羞恥も忘れて夢中になってしまう。
 結局はニコラスの思う壺だ。

「気持ちいい?」
「あっ、いい、すごい……あ、待って、そこもしたら、ああっ!!」

 すっかり追い込まれたジュリアは胸の突起にまで指を這わされ、すぐに限界がきた。達したジュリアは姿勢を保てず完全な腹ばいになってしまったが、ニコラスも無理をさせずそのままにしている。
 ただし、いつも以上に容赦はない。
 俯せのまま余韻に震えるジュリアの内部に指を挿れた。

「んああっ! 待って、まだ……んんっ、そんな、ニック、まっ」
「こんなに悦んでいるのに? いきなり指二本でも、すんなり受け入れてる」
「んんんっ、ふっ、あ」

 そのまま抜き差しされるだけで頭が煮え滾るような快楽に満たされ、もう言葉を紡げない。

「しかも凄い締め付けで、もっと中にきてほしいって言うみたいに奥に引き込もうとしてるぞ。
 腰もこんなに揺らして、そんなに気持ちいいのか?」

 そう言いながら、更に侵入した指先が奥を優しく撫でる。ただでさえ達した直後で感じやすくなっているジュリアに、その攻撃はもはや毒と言っても差し支えない。
 ほんの少しの間をおいただけで、また上りつめる。

「くうっ、ふああっ、やあっ! あああーっ!!」
「ちょっと奥を擽っただけで、こんなに呆気なくイくようになるなんて。本当に快楽に弱いな。
 美しくて可愛い上に淫らで素直な身体を持ち合わせているジュリアは最高だ。ずっとこうして啼かせていたい」

 耳に吐息と共に夫の掠れた声が吹き込まれ、身を震わせながらまたすぐに達してしまう。もう指一本すら自分の意思では動かせない程だ。


 そんな妻を楽しげに攻めながらも、ニコラスは相変わらず血が沸騰する感覚に翻弄されていた。

 とにかく熱い。身体だけでなく頭も。
 しかもずっと湧き上がる欲求に苛まれている。

 誰の目にも触れない、誰の手も届かない場所にジュリアを囲い込み、縛り付けたい。
 自分ではない誰かが彼女を娶ろうという考えを二度と起こさないように。
 彼女の目に映って良いのは自分だけ。そして他の誰かが彼女を目にすることすら許せない。
 彼女が外に出て誰かに会うことが出来なくなるよう、この胎内に芽吹くまでひたすら注ぎ込みたい。

 それが駄目なことだとは分かっている。
 ジュリアを抑えつけて自由を奪い従わせるなど、方向性は違っても、彼女の亡父とやっていることは変わらないではないか。いや、あの男も潜んでいた欲は同じだった訳だが。


「ニコラス、もう、挿れて」

 自分の衝動に抗いながらも攻める手を止めなかったせいか、連続で達したジュリアが苦しげに告げる。
 その姿に酷いことをしたと胸が痛む。と同時に、彼女をこうして乱すことが出来るのは、世界中で自分だけなのだと喜びが湧き上がるのだから始末に負えない。

「ああ、俺もジュリアがほしい」

 荒れ狂う熱に追い立てられる。
 今すぐに楔を打ち込んで繋ぎ止めよう。この宝を誰かが奪いにこないように。
 本能の赴くままに覆い被さろうとするニコラスに、微笑みながらジュリアが告げた。

「うん。遠慮なんて、しないで、好きなだけして。
 どうなっても構わない、から、思うままに、お願い」

 苦しげなのに、首を捻りニコラスを見上げながら告げるその顔は、全てを分かった上で受け入れようとしているようで胸を突かれる。それと同時に、荒れ狂っていた衝動が治まった。
 だが決してジュリアに対する欲が消えた訳ではない。
 むしろ今すぐに貫いて揺さぶり、注ぎ込みたい思いは相変わらずだ。でも抑えつけるのではなく、ただ溶け合って共に上りつめたい。それだけが望みとなった。


 もうこれ以上は耐えられない、手を緩めてほしい。
 そう思い、少し首を捻り見上げたニコラスの顔は苦しげに歪んでいた。そんな表情でも見惚れるほどの見事な造形ではあるが。
 眉目秀麗という言葉をそのまま具現化したら彼になるのではないか。そう思うのは惚れた欲目ではなく、世間の評価も同じ。
 勿論、それで惹かれた訳ではないのだけれど。
 その作り物めいて見える程の整った容貌が、彼の悠然とした態度を更に引き立てているのかもしれない。

 彼はいつも余裕で心を乱されることはない。世間ではそう言われ、ジュリア自身もそう思っていた。ニコラス自身がジュリアに触れる時は余裕がないと言っても、そう見えたことは殆どない。
 なのに今は、ジュリアに襲いかかりそうな自分を必死に抑えつけているのが容易に見てとれる。
 何を恐れているのかは分からない。でも、彼が望むことなら全て受け入れたいと思う。
 きっと羞恥などで言葉では拒絶しても、自分は結局のところ、彼に与えられるものなら喜んで受け取る。
 だから気にしないで、好きにして。

 そう思って口にした言葉は、自分の心情を表すにはあまりにも足りない。
 これでちゃんと伝わるとは思えないけれど、今は言葉を繋げるだけで精一杯だ。
 なのに、それを聞いた彼の表情が変わった。今にも暴れ狂いそうな何かを抑えるような必死さが消え、背後から優しくジュリアを抱きしめる。
 何があったのかは分からない。背中に覆い被さられた体勢では、今の彼がどんな顔をしているのか見ることも出来ない。
 それでも苦しげな顔ではないことだけは分かる。
 もうそれだけで良い。あんな苦しげで、どこか悲しげな目をしていなければ、全て受け入れられる。

 安堵していたジュリアを、後ろから一気に衝撃が襲った。

 俯せで穿つのは初めてだが、奥まで入りにくい体勢なので普段ほどにはジュリアに苦痛を与える心配をしなくても良い。おかげでニコラスはいつにもまして強く突き立てる。
 息もつかせぬ勢いにジュリアがなす術もなく揺られていても止まらない。



「ジュリア、俺の一生をかけて守るから」
「ああっ、う、うん、あっ」

 そんな嬉しいことを、どうして今言うのか。自分がマトモに返事すら出来ない時に。
 そう抗議したいのに、どうすることも出来ないジュリアをニコラスは遠慮をかなぐり捨てて食い荒らす。彼女が言った通り。

「ううん? イヤなのか?」
「ちがっ、ちが、う、イヤ、それ、つよい、あっ、もうイっ!」

 達した衝撃で何も言えないジュリアを見下ろし、動きを緩めながらも完全には止まらない。
 強い締め付けを物ともせずに、相変わらず楽しそうに攻め立てる。

「やっぱり嫌なのか、悲しいな。こうなったらジュリアがいいって言うまでずっと突いていようか」

 そんなに嬉しそうな声音では、判断力の鈍った今のジュリアですら察してしまう。わざとやっていると。
 しばらくすると達した余韻が少し落ち着き、それについて指摘しようとした。
 だがその瞬間を狙ったかのように強く突き込まれ、おまけに背中を舌が這い回り、甘噛みまでされてしまう。こうなるとジュリアにはどうしようもない。

「いじ、わる……」
「そうだな。ジュリアがエロい、いや色っぽい上に可愛すぎて、つい、意地悪してしまうんだ。
 こんな、俺は、嫌いか?」
「すき、に、きまっ、て、あっ、なかに……んんっ!!」

 ニコラスから放たれた熱が中に飛び散り、それを塗り込めるように穿たれたジュリアも高みに連れ去られる。
 なのにまだ終わらない。

「どう、してぇ?」
「遠慮なしに貪って良いんだろう?」
「ああっ、そう、だけど…………あっ、そこ、いいの、もっと」

 少しで良いから休憩させてほしい。
 そう思うのと同じくらい、ほんの少しの間もやめてほしくない。
 苦しい筈なのに、彼の熱と欲を感じると何故か苦しさが薄れてもっとほしくなる。
 この気が狂いそうな快楽に身を任せて、ずっと遠くに連れ去られてしまいたい。


「ジュリア、ずっと一緒だ。何があろうと離さない」
「うん、ずっ、と」

 後ろから抱きしめ、自分を貪る夫がまるで縋りついているようだと思う。
 どこにも行かない、ずっと一緒だと言って抱きしめたいのに、今の体勢ではそれも叶わない。
 今の自分に出来るのは全て受け止めるだけ。




 もう何度目の頂点か、そして何度注がれたかも分からない。
 今は寝そべったニコラスに下から穿たれている。
 ジュリアはただ振り落とされないように抱きつくだけだ。そしてニコラスも彼女の背にしっかり腕を回して抱き込んでいる。誰にも奪わせまいとする意思の表れのように。
 段々突き上げが激しくなり、限界が近いのが分かった。

「んんっ、ねえ、おねがい、ぜんぶ、なかに、ほしいっ」
「勿論そのつもりだ」

 そして揃って到達した極点で、金の光に包まれたようにジュリアは感じた。
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