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脇道
「何で蜜月真っ最中のお前が、俺たちを召集した?」
「流石に終わったぞ、二週間以上も引きこもる訳にはいかないだろうが」
ワイルド辺境伯邸に呼ばれたミルズ公爵は、少し落ち着きのない悪友を見据える。
「ニック殿、大丈夫ですよ。今頃ジュリア嬢、じゃなかった、夫人は妻と一緒にうちの子たちと遊んでいますから」
カーティス侯爵が明るく告げる。
勿論、今朝ニコラス自身が送り出したのだから、そんなことは聞くまでもない。
「お前、すっかり余裕になったよな。以前は細君がうちに泊まるのも渋っていたのに」
少しでもキャロルと離れると寂しがっていたのに、今や動じなくなっている。
「あれは寂しいのもありますが、貴方の傍で過ごさせたくなかったんですよ」
「気持ちは分からんでもない」
「おい、俺は友人の細君や親族にまで手を出すような節操なしだと思われてるのか?」
この二人はニコラスが若かりし頃に放蕩三昧な生活を送っていた時期があると知っている。
しかしそれはごく僅かな期間であり、それからは遊びはしても常識の範囲内だった。
そもそも誰彼構わずに手を出すような真似などしないし、そんな必要もない。相手に苦労することはないのだから。
心外だと言わんばかりのニコラスにカーティス侯は溜め息をつきながら返す。
「貴方がそんな人ではないと、僕だって分かっていますよ。でも妻が貴方に惹かれてしまうかもしれないじゃないですか」
「その気持ち、痛いほど分かるぞ」
「それこそ奥方たちに失礼だろう。しかもクリスの夫人から見たら、俺なんかただのオッサンだろうに」
カーティス侯爵、ミルズ公爵ともに絵に描いたような愛妻家であり、二人の妻も貞淑な女性だ。夫以外に懸想するなど考えられない。
それにキャロルは二十四歳のまだ若い夫人であり、不惑を超えたオッサンなんて眼中にないだろう。
そう呆れながら言うニコラスに、普段の彼からは想像もつかない剣幕でカーティス侯が抗議する。
「貴方のどこがオッサンなんですか!! オッサンと言えるのは実年齢だけじゃないですか!!!」
「おまけにこの外見だしな」
彼は背が高く眉目秀麗な上に、実年齢が信じられない程に若く見える。それでいて重ねた歳月が醸し出す渋みがあり、その外見には似つかわしくない老成した雰囲気を漂わせる不思議な男だ。
おかげで若い令嬢からの評価も高く、最も人気の高い独身男性だった。だからこそ、押し付けられた妻であったジュリアに対する批判も多かったのだが。
「お前らも外見には恵まれた方だろうが」
二人とも繊細な美貌の持ち主で、婚姻後も女性からの人気は高い。
「それでも貴方のような方と並ぶと、ねえ」
「目で孕ませる男に太刀打ちできる筈もないだろう」
「勘弁してくれ」
一部で囁かれていた呼び名のおかげで多方面から警戒され、煩わしい思いをしたのだ。そもそもあんな口の軽そうな女性たちなど、一夜だけでもお断りだったのに。
「そんなお前が、遂に落ちたとはな」
「可愛い義妹の恋が実って喜ばしい限りですよ」
ニコラスが彼女を娶ってから色々なことがあった。
ジュリアが呆気なくニコラスに懐いたのは嬉しい誤算だ。しかし成人する前には既に恋心を自覚していた彼女に、周囲の者は振り回されていた。それはもう目も当てられない程に。
ニコラスは知らなかったことだが、多くの求婚者に悩まされた彼女は、他の誰かに嫁ぎたくない、それくらいなら死か修道院を選ぶとまで言い切ったのだ。
それを聞いた彼女の姉が、それまでの態度を急変させて妹の恋路を応援するようになった程に、彼女は思いつめていた。
「大変だったんですよ、キャロルが大騒ぎして。ジェレミーがまだ赤ん坊だったのに」
「ああ、クリスが必死だったな」
「その節はマイク殿にお世話になりました。」
ミルズ公爵がキャロルを宥めつつ、ジュリアへの協力を申し出て何とか落ち着いたのだ。
「知らなかったとは言え、迷惑かけたな」
まさかそのような大事な時期に精神的な負担をかけていたとは。
「そもそもキャロルが強引に縁談を押し付けようとしたせいなので仕方ないとは思いますが」
「縁談?」
ジュリアの男性恐怖症は生易しいものではない。
なので成人してから嫁ぐ相手に出会えなくても大丈夫。決して彼女を放り出すつもりはないし、自分には甥がたくさんいるから後継の心配も要らない。そうニコラスは何度もキャロルに伝えてきた。
なのに本人が望まない縁談を持ち込んだのか。何のために?
彼の疑問を察した悪友が説明する。
「お前に報われない恋心を抱いた女たちを見て、幸せな婚姻をさせたくなったんだろう。彼女を責めるなよ」
「報われない……ジリーが言ってた、あれか」
ジュリアが成人してから、過去の関係について暴露する女性たちに絡まれていたらしい。その話を彼女に想いを返した夜に聞いた。
率直に言って、二十年も前のことを持ち出すのは流石にどうかとカーティス侯は思う。だがジュリアとの縁談が纏まる直前まで関係のあった女性たちに関しては、少しばかり気の毒になった。
そのことを言っても、ニコラスはどうも納得いかないようだ。
「あれは割り切った関係だった。俺のことを特別に想っている様子もなかったぞ」
不思議そうに言うニコラスは本気で分かっていない。
彼は人が他者に向ける情や欲には敏感だ。だからこそ、ジュリアの父である前グリーヴ伯爵が彼女に向けていた、本人ですら目を背けていた欲にいち早く気付いた。
なのに一度でも遊びの相手だと認識した女性からの想いは、全くと言って良いほどに感知しなくなる。
「初めは遊びだとしても、肌を合わせているうちに情が湧いたりしないものでしょうか?」
「コイツはただの一度も本気になったことはないからなあ」
「遊びで寝る相手にどう本気になれと? 当然、向こうもこんな男は願い下げだと思うだろう」
そうではなかった結果、ジュリアが絡まれていたのだが。
過去の行いがどれだけ彼女を傷付けていたのかを今更悔やんでも変えられない。これからは決して彼女を裏切らず、大切にしていくことで癒やすしかないだろう。
「今ではジュリアも、俺の隣は彼女だけの場所だと分かってくれている。これからはもう悲しい思いをさせない」
そう言うニコラスの顔には、この場にいないジュリアへの愛情が溢れている。こんな顔も出来たのかとミルズ公は感慨深く悪友を眺めた。
「ベタ惚れじゃないか、分かってたけど」
「分かってた?」
分かっていたというのは語弊があるか、と言い直す。
「お前、ここ半年くらいはジュリア嬢、じゃなかった、細君の話をする時や、一緒にいる時の顔が違ったんだよ」
自覚のなかったニコラスに悪友が説明する。
「前は子連れの猛獣みたいだったのが、番を守ろうとする雄の顔っていうか」
「あからさま過ぎだろう」
そんなに前からジュリアへの想いが見え透いていたのかとニコラスは呟いているが、それは少し違う。
「気付いてたのはごく少数だぞ」
「まずマイク殿、それと僕とキャロルですね」
「あとはお前のとこの使用人たちだな」
「けっこうな人数だな……」
彼らはジュリアの恋を応援してニコラスを注意深く観察していたからこそ気付けただけで、彼はそんなに分かりやすい男ではないのだが。
「ところでニック殿、その、彼女の言い回しは平気ですか?」
恐る恐る質問するカーティス侯の顔には心配の色が浮かんでいる。
「確かにジリーは少しばかり表現に難がある。だがそんなことで嫌になる筈もないだろう」
そう言って笑い飛ばすニコラスは知らない。彼の前での発言は、まだ大人しいのだと。
遠い目をする他の二人は、過去のジュリアの発言を思い返していた。
『これが落ち着いていられますか! こうしている間にも、ニック様はどこぞの穴にぶち込んでいるかもしれないのに!』
『ジュリア! 何てことを言うの! 言葉を慎みなさい!!』
素晴らしい美貌の令嬢であるジュリア。いや、法的には夫人だが。
そんな妹が放つとんでもない言葉にキャロルは絶叫した。
『お上品にしていてニック様が振り向いてくれるのですか?! 寄ってくるのは望まない相手ばかりですわ。
いっそのこと有象無象がドン引くようにもっと下品な、例えば』
『やめて!!』
『あー、ジュリア嬢。ニックは君を迎え入れてからは、誰とも関係していないから落ち着いてほしい』
あまりにも顔色の悪いキャロルを不憫に思ったミルズ公がとりなす。
ちなみにここはミルズ公爵邸だ。ジュリアの発言に問題があると気付いてからは、ここがニコラス対策会議場となっている。
カーティス侯爵邸だと、まだ幼い夫妻の嫡男が、母恋しさに客間に突撃することもある。そんな時に酷い言葉を覚えてしまわないとも限らない。そうならないようにと公爵が配慮した結果だ。
『それに君は公的な立場は辺境伯夫人だ。なのに大っぴらに下品な発言をしていては、ニック殿の評判はガタ落ちだよ?』
『そうよ、ジュリア。周りが何と言おうと正式な妻であり、共に暮らしている貴女の方が何歩も先を行ってるの。だから落ち着いてちょうだい、お願いだから』
姉夫妻のとりなしもあり、落ち着きを取り戻したジュリアはゆっくり腰かける。
その姿は実姉でも見惚れるような絶世の美女だ。黙ってさえいれば。
怯えきっていた憐れな少女が、どうしてこうなったと周囲の者が思う程に無残な成長を遂げてしまった。
実際のところ、ジュリアの全ての発言を知ったところでニコラスは彼女への態度を変えることはない。せいぜいが暴走させないように目を配る程度だろう。
「俺はジリーがどんな発言をしようが気にしない。ちょっとばかり〝お仕置き〟はするかもしれないが」
そう言ったニコラスの顔を見た二人は、ジュリアの健闘を祈っておいた。
「それよりも、今日は気になることについて相談したかったから呼んだんだが」
「流石に終わったぞ、二週間以上も引きこもる訳にはいかないだろうが」
ワイルド辺境伯邸に呼ばれたミルズ公爵は、少し落ち着きのない悪友を見据える。
「ニック殿、大丈夫ですよ。今頃ジュリア嬢、じゃなかった、夫人は妻と一緒にうちの子たちと遊んでいますから」
カーティス侯爵が明るく告げる。
勿論、今朝ニコラス自身が送り出したのだから、そんなことは聞くまでもない。
「お前、すっかり余裕になったよな。以前は細君がうちに泊まるのも渋っていたのに」
少しでもキャロルと離れると寂しがっていたのに、今や動じなくなっている。
「あれは寂しいのもありますが、貴方の傍で過ごさせたくなかったんですよ」
「気持ちは分からんでもない」
「おい、俺は友人の細君や親族にまで手を出すような節操なしだと思われてるのか?」
この二人はニコラスが若かりし頃に放蕩三昧な生活を送っていた時期があると知っている。
しかしそれはごく僅かな期間であり、それからは遊びはしても常識の範囲内だった。
そもそも誰彼構わずに手を出すような真似などしないし、そんな必要もない。相手に苦労することはないのだから。
心外だと言わんばかりのニコラスにカーティス侯は溜め息をつきながら返す。
「貴方がそんな人ではないと、僕だって分かっていますよ。でも妻が貴方に惹かれてしまうかもしれないじゃないですか」
「その気持ち、痛いほど分かるぞ」
「それこそ奥方たちに失礼だろう。しかもクリスの夫人から見たら、俺なんかただのオッサンだろうに」
カーティス侯爵、ミルズ公爵ともに絵に描いたような愛妻家であり、二人の妻も貞淑な女性だ。夫以外に懸想するなど考えられない。
それにキャロルは二十四歳のまだ若い夫人であり、不惑を超えたオッサンなんて眼中にないだろう。
そう呆れながら言うニコラスに、普段の彼からは想像もつかない剣幕でカーティス侯が抗議する。
「貴方のどこがオッサンなんですか!! オッサンと言えるのは実年齢だけじゃないですか!!!」
「おまけにこの外見だしな」
彼は背が高く眉目秀麗な上に、実年齢が信じられない程に若く見える。それでいて重ねた歳月が醸し出す渋みがあり、その外見には似つかわしくない老成した雰囲気を漂わせる不思議な男だ。
おかげで若い令嬢からの評価も高く、最も人気の高い独身男性だった。だからこそ、押し付けられた妻であったジュリアに対する批判も多かったのだが。
「お前らも外見には恵まれた方だろうが」
二人とも繊細な美貌の持ち主で、婚姻後も女性からの人気は高い。
「それでも貴方のような方と並ぶと、ねえ」
「目で孕ませる男に太刀打ちできる筈もないだろう」
「勘弁してくれ」
一部で囁かれていた呼び名のおかげで多方面から警戒され、煩わしい思いをしたのだ。そもそもあんな口の軽そうな女性たちなど、一夜だけでもお断りだったのに。
「そんなお前が、遂に落ちたとはな」
「可愛い義妹の恋が実って喜ばしい限りですよ」
ニコラスが彼女を娶ってから色々なことがあった。
ジュリアが呆気なくニコラスに懐いたのは嬉しい誤算だ。しかし成人する前には既に恋心を自覚していた彼女に、周囲の者は振り回されていた。それはもう目も当てられない程に。
ニコラスは知らなかったことだが、多くの求婚者に悩まされた彼女は、他の誰かに嫁ぎたくない、それくらいなら死か修道院を選ぶとまで言い切ったのだ。
それを聞いた彼女の姉が、それまでの態度を急変させて妹の恋路を応援するようになった程に、彼女は思いつめていた。
「大変だったんですよ、キャロルが大騒ぎして。ジェレミーがまだ赤ん坊だったのに」
「ああ、クリスが必死だったな」
「その節はマイク殿にお世話になりました。」
ミルズ公爵がキャロルを宥めつつ、ジュリアへの協力を申し出て何とか落ち着いたのだ。
「知らなかったとは言え、迷惑かけたな」
まさかそのような大事な時期に精神的な負担をかけていたとは。
「そもそもキャロルが強引に縁談を押し付けようとしたせいなので仕方ないとは思いますが」
「縁談?」
ジュリアの男性恐怖症は生易しいものではない。
なので成人してから嫁ぐ相手に出会えなくても大丈夫。決して彼女を放り出すつもりはないし、自分には甥がたくさんいるから後継の心配も要らない。そうニコラスは何度もキャロルに伝えてきた。
なのに本人が望まない縁談を持ち込んだのか。何のために?
彼の疑問を察した悪友が説明する。
「お前に報われない恋心を抱いた女たちを見て、幸せな婚姻をさせたくなったんだろう。彼女を責めるなよ」
「報われない……ジリーが言ってた、あれか」
ジュリアが成人してから、過去の関係について暴露する女性たちに絡まれていたらしい。その話を彼女に想いを返した夜に聞いた。
率直に言って、二十年も前のことを持ち出すのは流石にどうかとカーティス侯は思う。だがジュリアとの縁談が纏まる直前まで関係のあった女性たちに関しては、少しばかり気の毒になった。
そのことを言っても、ニコラスはどうも納得いかないようだ。
「あれは割り切った関係だった。俺のことを特別に想っている様子もなかったぞ」
不思議そうに言うニコラスは本気で分かっていない。
彼は人が他者に向ける情や欲には敏感だ。だからこそ、ジュリアの父である前グリーヴ伯爵が彼女に向けていた、本人ですら目を背けていた欲にいち早く気付いた。
なのに一度でも遊びの相手だと認識した女性からの想いは、全くと言って良いほどに感知しなくなる。
「初めは遊びだとしても、肌を合わせているうちに情が湧いたりしないものでしょうか?」
「コイツはただの一度も本気になったことはないからなあ」
「遊びで寝る相手にどう本気になれと? 当然、向こうもこんな男は願い下げだと思うだろう」
そうではなかった結果、ジュリアが絡まれていたのだが。
過去の行いがどれだけ彼女を傷付けていたのかを今更悔やんでも変えられない。これからは決して彼女を裏切らず、大切にしていくことで癒やすしかないだろう。
「今ではジュリアも、俺の隣は彼女だけの場所だと分かってくれている。これからはもう悲しい思いをさせない」
そう言うニコラスの顔には、この場にいないジュリアへの愛情が溢れている。こんな顔も出来たのかとミルズ公は感慨深く悪友を眺めた。
「ベタ惚れじゃないか、分かってたけど」
「分かってた?」
分かっていたというのは語弊があるか、と言い直す。
「お前、ここ半年くらいはジュリア嬢、じゃなかった、細君の話をする時や、一緒にいる時の顔が違ったんだよ」
自覚のなかったニコラスに悪友が説明する。
「前は子連れの猛獣みたいだったのが、番を守ろうとする雄の顔っていうか」
「あからさま過ぎだろう」
そんなに前からジュリアへの想いが見え透いていたのかとニコラスは呟いているが、それは少し違う。
「気付いてたのはごく少数だぞ」
「まずマイク殿、それと僕とキャロルですね」
「あとはお前のとこの使用人たちだな」
「けっこうな人数だな……」
彼らはジュリアの恋を応援してニコラスを注意深く観察していたからこそ気付けただけで、彼はそんなに分かりやすい男ではないのだが。
「ところでニック殿、その、彼女の言い回しは平気ですか?」
恐る恐る質問するカーティス侯の顔には心配の色が浮かんでいる。
「確かにジリーは少しばかり表現に難がある。だがそんなことで嫌になる筈もないだろう」
そう言って笑い飛ばすニコラスは知らない。彼の前での発言は、まだ大人しいのだと。
遠い目をする他の二人は、過去のジュリアの発言を思い返していた。
『これが落ち着いていられますか! こうしている間にも、ニック様はどこぞの穴にぶち込んでいるかもしれないのに!』
『ジュリア! 何てことを言うの! 言葉を慎みなさい!!』
素晴らしい美貌の令嬢であるジュリア。いや、法的には夫人だが。
そんな妹が放つとんでもない言葉にキャロルは絶叫した。
『お上品にしていてニック様が振り向いてくれるのですか?! 寄ってくるのは望まない相手ばかりですわ。
いっそのこと有象無象がドン引くようにもっと下品な、例えば』
『やめて!!』
『あー、ジュリア嬢。ニックは君を迎え入れてからは、誰とも関係していないから落ち着いてほしい』
あまりにも顔色の悪いキャロルを不憫に思ったミルズ公がとりなす。
ちなみにここはミルズ公爵邸だ。ジュリアの発言に問題があると気付いてからは、ここがニコラス対策会議場となっている。
カーティス侯爵邸だと、まだ幼い夫妻の嫡男が、母恋しさに客間に突撃することもある。そんな時に酷い言葉を覚えてしまわないとも限らない。そうならないようにと公爵が配慮した結果だ。
『それに君は公的な立場は辺境伯夫人だ。なのに大っぴらに下品な発言をしていては、ニック殿の評判はガタ落ちだよ?』
『そうよ、ジュリア。周りが何と言おうと正式な妻であり、共に暮らしている貴女の方が何歩も先を行ってるの。だから落ち着いてちょうだい、お願いだから』
姉夫妻のとりなしもあり、落ち着きを取り戻したジュリアはゆっくり腰かける。
その姿は実姉でも見惚れるような絶世の美女だ。黙ってさえいれば。
怯えきっていた憐れな少女が、どうしてこうなったと周囲の者が思う程に無残な成長を遂げてしまった。
実際のところ、ジュリアの全ての発言を知ったところでニコラスは彼女への態度を変えることはない。せいぜいが暴走させないように目を配る程度だろう。
「俺はジリーがどんな発言をしようが気にしない。ちょっとばかり〝お仕置き〟はするかもしれないが」
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