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第2話 料理はお手の物……?
しおりを挟む「よし、犬。まずは今日の晩ご飯から作れ」
「ええ!?ぼ、僕料理なんてした事ないですよ!」
こう見えても僕は炊事洗濯というものとは無縁の生活を送ってきた。
誇るほどのことでもないけど……
「従順な犬なら無理なんて言わないよな?」
「わかりましたよ!やれば良いんでしょやれば!」
僕はキッチンに向かい冷蔵庫を開けた。
とりあえずあるものでも炒めて、塩胡椒で味付けしたら食べれるでしょ!
そう思い中を覗くとそこには……何もなかった。
いや、厳密に言うと料理で使えそうなものは何もなかった。
水とビールがずらり。
冷凍庫ならと開けた僕は後悔した。
そこには……ロウソクと手錠が!?
何で冷凍庫に入ってるんだ!?
ってかつまりそういうことか!?
僕は何かよくわからないが覚悟を決めておくことにした。
しかし、材料がなければ料理は作れない。
買い物に行くとしよう。
「あの……」
「…………」
無視されている。
「……あの!聞こえてますか!」
「俺を呼ぶ時はなんて呼ぶんだ?」
「え……なんて呼ぶ?」
「お前は俺のなんだ?」
「……犬です」
「つまり俺はお前の?」
「……ご主人様です」
「で、どうしたんだ?」
「あの、食材を買いに行こうと思うんですがお金がなくて……」
そう言うとご主人様は財布から一万円を取り出し、僕に渡しこう言った。
「この一万円は今月の食費だ。残りの二十五日をそれで賄え」
「え、一万円で……ですか」
一万円で二十五日っていうと、一日あたり四百円ってこと!?
ムリムリムリ!
だって普通に牛丼屋に行っても四百円ぐらいするじゃん!
それが二人分ってムリだよぉ……
「わかったな?」
「はい……」
僕はこれから足りずに怒られる事を覚悟しながら、買い物に行く準備を始めた。
「それじゃあ行ってきます、ご主人様」
ご主人様は何やらパソコンに向かい集中していて声が聞こえないようだった。
そのまま僕は買い物に向かう。
一日ぶりの外は日も暮れかけて夕方になっていた。
辺りを見渡してみても知らない場所だ。
スマホの地図を頼りに僕は近くのスーパーにたどり着いた。
「いらっしゃいませ~いらっしゃいませ~安いよ~安い!」
ラジカセから聞こえてくる声が安さの渦へと引きずり込もうとしてくる。
「本日大特価!キャベツが一玉98円!もやし一袋10円!他にも安い商品取り揃えてますよ~」
キャベツ一玉98円!?
もやしが10円!?
こ、ここれは買うしかないでしょ!!
キャベツってこれひとつで何人前だ……?
三つぐらいなら食べれるよな……!
もやしは安いから十袋買っても百円だ!
あとは肉が欲しいなー!
「精肉コーナーからは豚レバーがお安いですよ~、100グラム八十円の大特価ですよ~」
レバーが安い!!
これも買うしかないでしょ!
んーと……500グラムぐらいでいいかな?
よーし!とりあえず今日のご飯は何とかなるでしょ!
ウキウキな気分でレジへと向かう。
「お会計八百円でございまーす」
得意げな顔で一万円札を渡す。
「九千二百円のお返しでーす、ありがとうございましたー」
なんて有意義な買い物だったんだ!
一万円で何とかならないと思ったけど、意外とどうにかなるもんだなぁ~!才能あったりして?
さらにウキウキしながらご主人様の家、もとい犬小屋へと帰ってきたのだ。
「帰りましたー」
ご主人様はまだパソコンで作業していたが、チラッとこちらをみてこう言った。
「ずいぶん荷物少ないんだな」
「え、そうですか?」
「別に構わないが、腹減ってるから早くな」
ここはめちゃくちゃ美味しいご飯を作ってぎゃふんと言わせるんだ!
――犬の脳内イメージ
「ご主人様!ご飯出来ましたよ!!」
「おぉ!こんな美味そうな料理は初めてみたぞ!」
しめしめ……見た目で引き付けて味で胃袋を掴む!
「さあ食べてください!」
「もぐもぐ……んっ!?何だこれは……!?こんな美味い料理を作れるとは!今日からあなたがご主人様だ!」
「ふふふ、分かれば良いんだよー」
なーんて展開になっちゃうなこれは!
さてと、キッチンを少し拝借してと……
まずは今日使う分の食材だけ残して、冷蔵庫へぶち込む!
まあキャベツ一玉ともやし二袋ぐらいで良いでしょ!
切ってくぞー!
包丁とまな板は……
…………あれ、どこだろ。
んー……ここかな?ここか?
じゃあ…………ここだ!
……………………ない。
うそでしょ?
普通はあるでしょ、それぐらい。
えー…………どうしよ。
って言っても自分家にも無かったな……
「どうした?まだ出来ないのか?」
「えっ!?いやあの……はい!今から作ります!」
何で今言わなかったんだよぉ、自分!!
やばいな、どうしたらいいんだ……
ご主人様に急かされた僕は、道具のないクッキングを始めなければならないのだった……
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