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第11話 正義のヒーロー
しおりを挟む今日は待ちに待ったハロウィンパーティの当日だ。
ここまではっきりとは言ってこなかったが、今回行われるハロウィンパーティの主な参加者は子供達だと思われる。
なぜなら、そのチラシにはたくさんの子供たちがお菓子で喜ぶ姿が描かれていたからだ……
よって今回のハロウィンパーティはかなり浮いた存在に見られる可能性が高い!
だから今からドキドキしてるんだ!
ご主人様が喜んでくれるかとかいう前に、そこの心配の方が高い。
まあ、何とかなるだろうとは思うけどご主人様はどこに怒りのポイントがあるか分からないからなぁ……
そんな事を考えているお昼時。
ハロウィンパーティの時間は14時ごろだ。
まだまだ時間はあるけど、ご主人様が出かける準備をしている。
「あれ?どこか行くんですか?」
「あぁ、ちょっとな。時間までには戻る」
そう言って出かけてしまった。
こんな時間にどこへ行くのか?
仕事の用事でも出来たのだろうか?
しばらくするとご主人様が帰ってきた。
「おかえりなさい、どこ行ってたんですか?」
「ちょっと用があってな……お、もうそろそろだよな?準備するか」
なんだかんだでハロウィンパーティの時間が迫っていた。
僕達は昨日試着した仮装に着替えて準備をする。
ここでご主人様からある疑問が飛び出した。
「そういえば場所はどこなんだ?」
「場所ですか?」
「パーティなんだろ?どこでやるんだよ」
「そ、それは……」
やばい!
確か場所は…………近くの神社だ。
神社でパーティってなんだ?
普通に考えたらおかしい話だ……
どうしたら疑われないんだ?
んー……そうだ!
堂々と言えばバレないんじゃないか!?
僕ははっきりとした口調で言った。
「場所ですか?神社ですよ」
「ほー、神社か」
「はい」
「じゃあそろそろ行くか」
これは……バレてない?
ご主人様はたまにおかしいところがあるし、案外なんとかなったのか?
まあバレなかったのなら都合がいい。
パーティ会場へと向かおう!
家からは歩いて10分ほど……
神社に近づけば近づくほどに聞こえるのは、子供達の騒ぎ声だ。
やっぱりか……
やっぱり子供達がメインのハロウィンパーティだったか!!
しかしもう後には引けない……
「ご主人様、も、もうそろそろですね!」
「そうなのか?あー、神社ってそこの神社か」
「そ、そうなんですよ!!……ってあれ?ご主人様その袋なんですか?」
「これか?あとで使うんだよ」
「そ、そうですか……」
やっぱりご主人様は結構楽しみにしてるんだ!!
そして何かサプライズを用意してるんだ!!
くそー……もう諦めよう。
子供達を見たら謝ろう。
普通のパーティだと勘違いしてましたって謝ろう。
うん、そうしよう。
神社がどんどん近づく。
子供達の声はさらに大きくなる。
「○○町内会のハロウィンパーティはこちらでーす」
「「わーい、おかしおかしー」」
ダメ押しの町内会という単語。
ご主人様はその場に立ち止まり俯いている。
やっぱりショック受けるよな……
「お前、俺をこんなとこに連れてきたかったのか……?」
「い、いやそんなつもりじゃ!!」
「こんな格好させて子供達に笑わせる為にか?」
「すみません!なんか勘違いしてて……」
「もういい、帰るわ」
「あ、ちょっと……」
ご主人様は帰ってしまった……
まただ、また追いかけられなかった……
今回は完全に僕が悪い。
追いかける権利もない……
僕はその場で立ち尽くしてしまった……
しばらくその場で立っていると、子供達が近寄ってきた。
「あー!!マンモースだー!!」
「え!?マジ!?」
「ほんとだー!!マンモースだ!!」
そうだ、僕は今悪役なんだ。
現実でも僕はご主人様にとって悪役なんだ……
僕なんていなければいいんだ……
僕はムシャクシャした。
どうせ悪役なら悪役になりきってやろう。
そう思って迫真の暴れっぷりを披露した。
子供達にはドン引かれた……
そのうち1人の子供がこう叫んだ。
「助けてー!ストーンレッドー!!」
ストーンレッドなんて来るわけ……
なんて思っていると遠くから声が聞こえた。
「俺を呼んだのは君か!!」
ストーンレッド……?
いや、あれはご主人様だ!!
でも、なんでご主人様が……?
「あいつだな!悪の親玉マンモース!!」
「やっつけちゃえー!ストーンレッドー!!」
近づいてくるストーンレッド……
パンチが飛んでくる。
え……結構強い……
マスクの中から見えるご主人様の目は笑っていた……
やっぱりそういう趣味があったのか……
「おい、お前も本気でマンモースになりきれ」
「え、なんでですか?」
「いいからやれ」
ご主人様は小声で話しかけてきた。
しょうがないから言われた通りに本気でマンモースになった。そして全力でやられた。
「必殺技だ!!ストーンレッド!!」
子供の掛け声とともにご主人様は必殺技を打ってきた。
「ストーンアタック!!」
「う、うわあああああ」
必殺技を受けたなら、やられなければならない。
僕はその場で倒れた……
「これでこの町の平和も保たれた。そうだ、君たちにはこれをあげよう!」
あれは……確かご主人様が持ってた袋……
中からはお菓子が出てきた。
なんでお菓子が……僕は頭がこんがらがった……
「君たちもマンモースみたいにいたずらするなよ!これはレッドとの約束だ!」
「「はーい!!」」
「マンモースは俺が処分しておこう!さらばだ!」
そう言うとご主人様は僕を担ぎ上げ、その場を離れた。
ある程度距離が離れると僕のことを下ろした。
「お前案外重いんだなー!」
「そ、そんな事よりなんで戻ってきたんですか!?」
「なんでって言われてもな……」
「だって怒って帰ったじゃないですか!!」
「俺は俳優になれるかもなー」
「え、何言ってるんですか?」
「全部演技だよ」
「演技!?」
「そう、お前があそこの神社のハロウィンに行く事も知ってたんだよ」
「え、うそだ!そんなわけない!!」
「嘘な訳あるかい、お前チラシどうした?」
「チラシ……それは冷蔵庫に……」
「それだよ、お前何かあるとすぐニヤニヤするよな」
くそー……
まただ!またニヤニヤしてたって言うのか!!
この性格を直したい……
「子供達もいっぱいいると思ってこの衣装を買ったし、お菓子も用意した」
「だからか……」
「まあ、子供達の笑顔も見れたしいい思い出になったよ。ありがと」
あれ……ご主人様って子供好きだったんだ……
なんか意外だな……
「あー!!おじさん達こんなところでイチャイチャしてるー!!」
1人の女の子が通りかかった。
イチャイチャしてるように見えたかな……
ご主人様はどんな反応だろうか?
横を見てみると満更でもなさそうに笑っている。
「なんかカップルみたいー!」
「おじさん達カップルみたいに見える?」
「うん!見える!」
「そうか、ありがとー!お菓子あげるね」
「いいのー?ありがとー!」
「気をつけて帰るんだよ」
「はーい!」
ご主人様は意外と子供の扱いがうまい……
しかし、カップルみたいに見えるとは……
これは喜んでいいのだろうか、ご主人様はどんな気持ちなんだろうか……
「さあ、そろそろ帰るか」
「は、はい」
ご主人様はいつも通りを装っているが、きっと嬉しいんだ。
だって、いつもよりも歩くのが早い。
やっぱり悪役には正義のヒーローが付き物だな!
僕でもいいのかなって少し自信がついたよ、ご主人様。
今度はちゃんとしたデート行きましょうね!
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