ど根性マオウ ~最底辺の落ちこぼれ勇者、中に魔王を飼っています~

明神 之人

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落ちこぼれ勇者の知らない顛末


 ダンジョン全域から、無数の魔獣の咆哮が轟いた。
 音は圧となり、広い岩窟を確かに揺らす。あちこちから反響して聞こえる獣たちの叫び声は、聞く者が聞けば、根源的な恐怖を呼び起こしてくる叫喚の引き金のようだった。

 魔獣たちの声を聞いた瞬間、アルヴは強引に身を反転させてうつ伏せの状態になりつつ、咆哮の響いてきた『覆われた狩場セーマ』の入り口である岩穴へと意識を注いだ。

 彼の周囲では、カザロフたち三人も同様に警戒の体勢を取っていた。

「……おい、何だよコイツは。この数、魔獣の行軍モンスタートレイルでも起きたってのかよ。こんな急に……? おいリネージュ、探知魔法で正確な総数を調べろ! いまならまだ数と分布さえ分かりゃどうにでもなる!」

「無茶言わないでよ! 言ったでしょ、とっくに魔力はすっからかんだって! ていうか探知もクソもないでしょこんなの……この声の数、何体とか何十体とかその次元を超えてる! それに……」

 そこに続くリネージュの言葉は、アルヴにも理解できた。
 なおも響き続ける魔獣の鳴き声と、そこに連なる振動を伴う足音。それらは少しずつ、けれど確実に音を増している。

 そう。
 唐突に咆哮を上げた無数の魔獣は、間違いなくアルヴたちのいる『覆われた狩場セーマ』へとやって来ている。
 まるで、何かに導かれるように。

「……魔王さま。これ、何が起きてるんですか……?」

 アルヴは自由の利かない身体を何とか起こしながら、小さな声で自らの内側にいる存在へと問いかける。

「いまこのダンジョンは、三日前に魔王さまが使った魔法の影響で、魔獣の類いは一切いないはずだったんじゃ……なのに、どうしてこんな数の魔獣がいきなり……」

 前回の合同訓練時、他でもないこの『覆われた狩場セーマ』にて行使された魔王の魔法、ひいてはその魔力残滓を魔獣たちが忌避したことにより、このダンジョンは全体が空白地帯スポット同然のエリアと化していた。

 魔王の魔力は、魔獣にとっては毒も同然。そしてその魔力残滓が完全に消えるまでに、三日半はかかるとアドラヴィアは言っていた。
 様々なイレギュラーがあったとは言え、その刻限までまだ僅かに猶予はあるはずだ。

『……どうしても何も、貴様ら以外に理由などあるわけもないであろうが』

 どこか呆れた様子で、魔王は言った。

『そこにいる僧侶プリーストの女……そしてアルヴよ、貴様も何ら無関係ではないぞ。貴様らはここで勝手気儘に力を放出しすぎたのだ。以前にも言ったが、魔王たる俺の魔力は奴らにとっては確かな毒だ。だが貴様ら人間の魔力は、獲物の居場所を知らせるエサでしかない。……さて、貴様らは己がいまどこにいるのかをろくに考えぬまま、いったいどれだけの魔力を使ったのだろうな?』

「っ……、」

 アドラヴィアの説明に納得ができてしまったアルヴは、思わず歯噛みをした。
 その合間にも魔獣の叫び声や地響きは確実に音と数を増している。殺到してくる獣の群れが姿を現すまでに一分もないだろう。

 アルヴは咄嗟に立ち上がりかけるが、そんな余力さえもう残ってはいなかった。
 崩れ落ちるように再び仰向けに倒れ込みながら、それでも必死に頭を巡らせる。

(……魔力が滞留しているのは、きっとこの広間の中だけ……なら『覆われた狩場セーマ』を抜けてさらにダンジョン奥部に逃げ込んで魔獣がいなくなるのを待つ……? いや、それは一番の悪手! 例え魔力が空になってても、魔法を使った痕跡は尾として残り続ける。ここで獲物を見つけられなかった魔獣は、絶対にその痕跡を辿って後を追ってくる……そうなれば僕らは、完全に袋の鼠だ)

 朦朧とする意識をフルに働かせ、現状の打破を画策する。

(なら……あの〝白焔ちから〟は? あれなら殲滅はできなくても、せめて魔獣の群れに穴を空けて三人を逃がすくらいは……)

 身体の内側から唐突に湧き上がってきた、不可解で異質な力。
 フィアを容易に圧倒するほどの力を、どうすれば再び行使できるのかは分からない。

 それでもこの状況、頼れる望みがあればそれに縋るしか――

 だが。
 その瞬間、まるでアルヴの考えに異を唱えるかのように、ガクンと全身から力が抜ける感覚があった。

 身体の酷使の連続。身の丈に合わない力の反動。急速に暗闇へ落ちて行こうとする意識に、いよいよアルヴは自身の身体が限界であることを悟った。

 周囲では、アルヴを守るような立ち位置でカザロフたちが警戒の体勢を取っている。しかし三者とも洩れなく傷だらけで、魔獣の波濤を迎え撃つ力などどこにも残っていないのは明白だ。

「……皆さんは、反対側の岩穴に逃げていてください」

 唐突に、フィアがそう言った。
 その言葉にアルヴとカザロフ、そしてリネージュが揃って彼女の方を向く。

「フィア、さん。何を言って……」

「私たち全員が奥に逃げ込めば、獲物を見つけるまで魔獣たちはダンジョン内を徘徊し続けます。でもここに一人でもが残っていたなら、少なくともここより先に魔獣が進むことはないはずです。その間に皆さんは体力と魔力を回復させれば、時間を置いてダンジョンから脱出することも可能だと思います」

「おい待てよ、フィア」

 提案を告げる彼女に、カザロフが低い声を挟む。

「その話だと、テメェが大人しく魔獣どもに喰われるつもりだっつってるように聞こえるが?」

「はい。そう、言っています」

 頷いたフィアはおもむろに歩き出し、離れた位置に転がっていた錫杖を拾い上げる。そうして彼女がこちらを振り返れば、その相貌と眼差しには強く定められた覚悟が見えた。

「これは行軍トレイルなどではなく混乱パレード……いえ、もはや『秩序なき襲来スタンピード』です。現状、魔獣の大攻勢を相手取れるほどの余力を残しているような人は誰もいません。全員ボロボロで、満足に動くこともままならない。そして……その原因を作ったのは、この私です」

 言って、彼女は苦汁を呑み込むように顔を顰めながら、他の三人の前へ出るようにゆっくりと歩み出す。

「だから、ここは私が囮になります。それ以外に、いまここで取れる選択肢はありません」

「バカヤロウが! そんなのオレたちが許すわけ――」

「ふざけないで」

 威のこもった声が、衝動的に一歩詰め寄りかけたカザロフの動きをも遮る。
 あまりに鋭い声音にフィアが反射的に振り向けば、リネージュがその双眸に静かな色を宿して彼女を見詰めていた。

 否、睨み付けていた。
 静謐な瞳の裏に、烈火の如き激情を隠して、赤髪の少女は続ける。

「アタシたちに、をまた味わえって言うの? だとしたらフィア……アンタはちっとも、何一つ反省してない」

「っ、でも! そうでもしないと全員ここで……」

「うるせぇ!」

 フィアの言葉に、今度はその両手に戦斧を握りしめたカザロフが横合いから割り込んだ。

「どうしても言うこと聞かせたきゃ、あの能力減衰デバフの魔法でも何でも使うんだなぁ! それができねぇんなら、オレたちはぜってぇここから動かねぇ! テメェの言葉に大人しく従うような傀儡にんぎょうはもうどこにもいねぇんだよ!」

 怒号のように聞こえるその叫びは、確かに怒りを孕んではいながら、しかし間違いなくフィアのことを案じて放たれたものだった。

 鋭い剣幕を浮かべて詰め寄ってくるカザロフに、彼女はただただ狼狽する。

 カザロフも、そしてリネージュも決して退こうとしない。しかしそんなことは分かっていたはずだ。彼らが本来持つ優しくて頑なな性格は、間違いなくフィアの提案を良しとしないであろうことは。

 当然、その間にも魔獣たちの足音は確実にその圧を増しており、刻一刻と群れがこの場へ近付いていることを証明していた。

「っ……、」

 けれど、先の提案以外に現況を打破できる考えが思い浮かばないのか、フィアが歯噛みと共に深く俯く。

 ――その一方で。
 言い争いをする彼らの姿を、アルヴは首を横に振って否定と共に見上げていた。

(……だめ、だ……ここで魔獣の襲来スタンピードを迎え撃っても行き着くのは確実な全滅だけ……だったらフィアさんの言った通り、誰かが囮になって群れを引き付けておくのが最良の策……)

 安易な希望など何もない。
 それでも互いのためにと覚悟を定めて残ろうとする彼らの背を見上げて、アルヴは強く歯を噛み締めていた。

 カザロフたちの選び取る選択肢など明白だった。
 彼らは決して退かず、この場の残ろうとしている。一人の例外もなくボロボロで、リネージュとフィアに至っては力の根源である魔力すら空となっているはずなのに。

 だがそんなものは間違いなく自らの命を捨て置いて行くも同然の行為だろう。それを貫くことも、そしてそれを見過ごすことも何よりの愚行だ。

 しかし、言葉が出てくれなかった。急速に落ちてゆく意識が、フィアたちを止めたいアルヴから口を動かす余力さえも奪う。
 手を伸ばそうとしても動いてくれない自身の身体に、強い憤りさえ覚えた。

 そんな折だった。

『……ふむ、この辺りが潮時であろうな』

 脳内に響く、魔王の声。薄れゆく視界の中でも鮮明に聞こえるその支配者の声を、アルヴは茫洋とした意識の奥に聞いた。

『最後まで口も手も出さぬようにと思ってはいたが、いやはや、が生まれた途端に辛抱が利かなくなるとは俺も情けないほど短気なものよ。……いいや、そうではないな。貴様の意思と矜持が、の免罪符となっているのだ、アルヴよ』

 滔々と連なる魔王の声に、しかしアルヴは何も言葉を返せない。
 ぼんやりとした目で広間の天蓋を見上げながら、僅かも微動だにすることなく重低の声音を聞く。

『貴様はここまでよく奮闘した。自らの矜持を貫き、限界を超え、自らが救うべきと定めた者をその意思に違わず救って見せた。まぁ、ただだか女子おなごを一人救い上げた程度で動けなくなっているようでは勇者として惰弱に未熟も甚だしいが……英雄への一歩目としては、辛うじて及第点と言ったところだろう。それに……なかなかどうして興味深い力を見ることもできた』

 愉しげな色を声に滲ませ、アドラヴィアは言う。

『ゆえにその功労への褒美として……

 その言葉に、アルヴは思わず目を眇めた。

(……たす、ける……?)

『既には揃っている。ならば後は、貴様が大人しく身を委ねるだけでよい』

 聞こえる言葉の意味が理解できなかった。
 アルヴの内側なかに存在している魔王アドラヴィアは、外界への接触が一切できないはずだ。にも拘わらず、まるでそのことを忘れているかのような口ぶりで彼は続ける。

『安心せよ。貴様が救った者共をみすみす見殺しにするような真似はせん。いまの俺は貴様と一心同体なのだ。ならば貴様の矜持に従うのもまた一興であろうよ』

 ――またも、不思議な感覚があった。

 暗闇に落ちる意識とは反対に、自らの奥底から何かが浮かび上がってくるような感覚。
 視界が薄れ、音が遠のき、全身から力の一切が抜けてゆく――まるで自らの肉体が、空っぽになるかのような感覚。

『なればこそ、あの者共のこと何も気にせず、貴様は眠るがよい』

 これもまた言霊の一種なのだろうか。
 アルヴは不明瞭な意識の中で、ただその言葉に耳を傾け続けた。そして魔王の言に導かれるように暗闇の只中へ自らを没してゆく。
 しかし何故か、疑念や不安の類いはなかった。
 
 やがて意識の全てが暗闇の奥底に沈む。

 その、最後の瞬間。
 アドラヴィアの声がやけに鮮明な音として聞こえた。


『ここより先は―――魔王おれ領分ばしょだ』


 その時。
 が、起きた。


     ◆


 迫り来る魔獣の大群が踏み鳴らす足音と振動を肌で感じながら、フィアは両手に携えた錫杖を強く握り込んだ。
 しかしこんなもの、持っていたところで何の意味もないだろう。いまの彼女には、魔法を使う上でこの錫杖以上に必要なものが決定的に欠けているのだから。

 深く俯けた視線の先で、錫杖を握る両手が僅かに震えたような気がした。

「恐いんなら、アンタの方こそそこの勇者サマ連れて奥に引っ込んどいたら?」

 不意にそんな声を掛けられ、フィアは咄嗟に顔を持ち上げた。
 すぐ隣で、リネージュが胡乱げな眼差しをこちらへと向けていた。

「本当は恐がりなクセに強がって隠そうとするとこ、やっぱ昔から変わんないのね。別に構わないわよ? アタシとコイツだけでも、ほんのちょっと時間稼ぐことくらいはできるから」

「い、嫌ですっ! 逃げるなら二人も一緒に――」

「それができないから、いまこうしてアタシたちは仲良く団子になって固まってるんでしょうが。文字通り、魔獣共のエサになるためにね」

 言葉だけを聞けば諦念に溢れたものでありながら、それを口にしたリネージュは重い身体をほぐすように腕を回していた。
 その隣では、カザロフが柄の感触を確かめるかのように何度も戦斧を振っている。

 そんな彼らの様子に、フィアは沈痛な面差しを浮かべる。

「……二人、とも」

「大人しくエサに成り下がるつもりなんてあるわけねぇだろ。もし獣に喰われて死ぬんだとしても、一匹でも多く奴らの腹を切り裂いて断末魔の声を聞いてやらねぇとな」

「アンタは得物持ってるからいいけどね。……ホント、魔力がからの〝魔法使い〟ほど役に立たない木偶もいないっつーの」

 皮肉げな笑みと共にリネージュが言う。

「そんで、いままさに自分がその木偶になってるって事実に、とことんまで嫌気が差してるわ」

「だーから普段から体術の一つでも覚えとけっつったろうが。自分テメェの魔力量を過信してめんどくさがってたのはどこのどいつなんだろうなぁ?」

「それ、最初にアンタの教え方が下手過ぎてアタシがブチギレたの忘れたの?」

「なわけねぇだろうが。オレの頭に容赦なく魔法ぶっ放しやがって。ハゲたらどう落とし前つけるつもりだったんだテメェコラ」

「あ、あの、二人とも……?」

「つーか、ぶつくさ言ってる暇があんならちょっとでも魔力回復させてろ。いまのテメェでも、せめて火の玉一発分くらいは役に立てんだろうが」

「それで一匹斃せたら儲けモンてとこね。なら残りは全部アンタにあげるから頑張んなさいよ」

「ざけんな、殺す気か」

「だから殺されに行くんでしょ」

 こんな時であるのにいつもと変わらぬ調子でやり取りを交わすリネージュとカザロフに、フィアは思わず現況を忘れそうになる。

 しかしリネージュの最後の言葉で、瞬時に気を引き締めた。一つ息を呑み込むと同時、魔獣たちの咆哮が強く響いてくる『覆われた狩場セーマ』の入り口に真っ直ぐ視線を注ぐ。

 洞窟へと繋がる薄闇の奥で、無数の獣の眼光が煌いた気がした。それが徐々に色濃い光となっていく光景を、背中の震えや全身の悪寒とともに見据える。

 〝死〟が、すぐそこまで迫っていた。
 彼女の左右では、幼なじみの二人もまた戦慄に身を固くした様子を見せつつも、決して逃げることなく臨戦の態勢へと移行する。

「……まぁ、本当ならアタシたち、こないだここで死ぬはずだったしね」

 ふと、そんなことをリネージュが零した。

「どっかの勇者サマがいなきゃ、アタシたち全員、ここであの魔族に殺されてた。経緯はどうあれ、アタシたちはあの落ちこぼれに助けられたのよね。……いや、あの時からいまのいまに至るまで、アイツはずっとアタシたちを助け続けてくれてた。だったらもうアイツのこと、落ちこぼれなんて呼べないわね」

 それは恐らく、罪悪感から来る言葉だったのかもしれない。

 例えフィアによる理不尽な指示を受けていたにせよ、あの状況でリネージュは確かに魔法を使い、アルヴを囮として切り捨てる〝手〟の役割を担った。その事実が、なおも彼女の心に楔として残り続けているのだろう。

 思いつめて伏せられる横顔を見たフィアは、反射的に言葉を発しかけた。
 違う、自責を負うべきは自分だけなのだと。

 けれど言葉が口を突く直前、別の声が割り込んでフィアの行為を遮った。

「その辺の〝罪〟は、オレたち三人で等分すりゃいいだろ」

 軽い調子で言うカザロフを、フィアは横目で見る。青年はふらつく身体で戦斧を担ぎながら、薄い笑みと共に続けた。

「んで、その贖罪としていまの状況があるんだって考えりゃ、割とすんなり受け入れられる気もしてくんじゃねぇのか?」

「……です、が」

 言い淀むフィアに、今度はリネージュが自嘲気味に笑いながら言う。

「運命は廻るってヤツかしらね。満足に動けなくて碌な魔法も使えないなら、どっかの誰かさんみたいに剣を振って最期を受け入れる方がよっぽどマシな気もするけど」

 そうして魔導士の少女と戦士の青年は、揃ってフィアを見やった。
 彼らは決してその場から退こうとしない。無力さも、悔恨も、罪悪感も、まとめて抱えてそこに立っている。

 そんな二人の顔を見ていると、フィアは自身の身体から強張りが抜けていくように感じた。
 無意識に、口許に微笑みが零れる。

「……そういうところ、ほんと昔から変わりませんね、二人とも」

「ん? 何か言ったか、フィア」

「いいえ」

 頭を振ったフィアが視線を持ち上げる。

「ただ……いまなら私も、二人の無茶に付き合えるんだなって思って」

 そんな言葉と共に彼女は正面へと突き付けるようにして錫杖を構える。その口許には決然とした意思があった。強がりであり、けれど本意から来る確かな意思が。

 そうして恐怖も躊躇いも置き去りにして、二人の背に追いつくように一歩を踏み出し、並ぶ。やがて最後の覚悟を決めたフィアは、いままさに無数の魔獣が押し寄せようとしている広間の入り口に再び視線を向けた。

 その時だった。


「――貴様ら、何を勝手に今際いまわの際に立とうとしているのだ」


 言葉があった。
 唐突に聞こえた声に、三人全員が意識を囚われたように硬直する。あれだけ激しく聞こえていた魔獣たちの足音だけでなく、周囲に満ちる音の一切が遠のく感覚さえあった。

 声だけを聞けば、それは耳慣れた少年のものに違いなかった。彼らの傍で横たわっている勇者の少年の声。

 なのに。
 決定的な何かが、違っていた。

 指先一つの微動さえ許されない威がその音には込められていた。だからこそ、最初に静寂を破ったのは、誰かが生唾を嚥下する小さな音だった。

 そこに、少年の声が連なる。

「やれやれ、相変わらず貴様ら人間はおのが身の最期を定めるのが尚早よな。例え生涯の末路の死に際であろうと、死に物狂いでその生にしがみ付くのが生きとし生ける者の最後の役目であろうに。それこそ五百年前の大乱期などは、何度殺しても死なぬ馬鹿げた生の亡者共で溢れ返っていたというのにな」

 ザリ、と土の擦れる音があった。
 その些細な音につられるようにしてフィアたちがゆっくりと振り返れば、そこにはそれまで力尽きたように横臥していた一人の少年が、緩慢な動作で立ち上がる姿を見て取ることができた。

「あ、アルヴ、さん……?」

 狼狽えた声でフィアが少年の名を呼べば、彼は気怠い調子でぐいと背伸びをする。

 それと同時、不可解な現象がフィアの前で起きた。
 僧侶の魔法でも使われたかのように、アルヴの身体が薄やかな燐光を纏い、その体表に刻まれていた傷が瞬く間に治ってゆく。

「……ふむ、やはりの推測は正しかったか。外部からの要因による意識の喪失という点だけが厄介ではあったが、問題なく遂げられたようで何よりである」

 他の三人には理解の及ばない言葉を呟きながら、完全な治癒を果たした少年は悠然とした足取りで歩み出す。

「だが……相も変わらず理解の埒外にある現象だな。の際にどのような魔法や術式が起動しているのか、俺の魔眼でも視ることは叶わなかった」

 フィアたちの間を縫うようにして少年は前へと出る。
 その間も、三人はまるで足の底から地に根が張ったかのように一切動けず、立ち尽くすばかりだった。

 得体の知れない怖気が、彼らの背に悪寒を走らせている。けれどフィアたち自身もまた、何故自分たちが冷や汗を垂らしているのか理解はできていなかっただろう。

 それは、当然の話だった。
 何故ならいまの彼らが感じている恐怖は、本能よりももっと奥――人間には知覚のすべがない〝起源〟から湧き上がってくるものであるからだ。

 そんなことを知る由もない三人は、ただ少年の声に縛られているかの如く、震えと共にその場に立つことしかできない。

「……貴様らはただそこで見ていろ」

 横目だけで振り返り、少年は―――否、は、何の感情も窺えない冷たい目を差し向けてきた。

 そしてその目もまた間違いなくアルヴのそれとは異なっていて。
 本来であれば純粋な黒に染まる瞳は、いまは夜を湛えたように揺蕩う異質な黒闇色に変じていた。

の意思と矜持を尊び、いまより俺が貴様らを救う。本来であれば俺の庇護を受けるには相応の対価、代償、犠牲いけにえが必要であるが、いまこの場においてはその一切を求めずにおいてやろう。地に額を付け、永劫に咽び泣いて感謝するのだな、ふはは」

 どこか楽しむように〝アルヴ〟は笑う。

 その直後だった。
 大気すら震わせるほどの激しい咆哮を上げながら、とうとう『覆われた狩場セーマ』の入口より大量の魔獣が一挙に姿を現した。
 フィアとリネージュ、カザロフは瞬時に身構える。しかし続々と殺到する魔獣の数を視認していくにつれ、徐々に心へ定めた覚悟が削られていくような感覚に陥った。

「……なん、なの……この数」

 フィアの隣に立つリネージュがわなわなと口を震わせながらそう呟いた。反対側ではカザロフも同様に、信じられないといった様子で大きく目を瞠っている。

 それはフィア自身も同感だった。
 あまりに数が多すぎる。ダンジョン内部に多く徘徊していた灰餓狼グレアハウンドだけでない。その上位種である紅餓狼ローダーハウンドに、一級の冒険者パーティなければ討伐が不可能とされている最上位ランクの魔獣『人狼種ライカンスロウプ』の姿さえ確認できた。

 まさしく秩序なき襲来スタンピード。これだけの数、いったいどこから湧いて出てきたのか疑うほどだった。
 狭い岩窟の穴から雪崩れ込むように押し寄せてきた大群は、広間の外縁壁に沿うように、檻の如くフィアたちから一定の距離を空けて広がった。

 まごうことなき絶体絶命。周囲四方どこを見渡しても抜け道などない。

 そんな状況で―――けれど不意の違和感が、フィアの頭をよぎった。
 無数の魔獣によって形成された檻を油断なく見渡していた彼女は、やがてその違和感の正体に気付く。

(…………?)

 姿を現した数百体もの魔獣は、確かに敵意を剥き出しにし、いまにも襲い掛からんばかりに臨戦の態勢をとっている。

 しかし、一匹一体として距離を詰めてこようとしない。まるで彼らの生存本能が、それ以上踏み込めば命がないと訴えかけているかのように。

「……何かを恐れて、いる?」

 魔獣たちの不可解な動向にそんな呟きを零したフィアの耳に、傲岸の色を多分に含んだ声が届いた。

「フン、知能を持たぬ有象無象の畜生が。この姿の俺が誰かは分からずとも、辛うじて本能で畏怖を感じているか」

 言葉と同時、濃藍こあいの滲む黒闇色の双眸が周囲を鋭く見渡す。そして巡る一瞥だけでさらに魔獣たちの萎縮が強まったような気がした。

「だが……いつまでそうして牙を向けているつもりだ? 僅かでも俺に敵意を向けたのならば、それは何より重い不敬であり、そこに連なるは極大の罰だ。―――おのが罪を刻み、恐怖と共に疾く去ね。歴史の枝に分かたれた同胞はらから共よ」

 直後。
 その華奢な身体から、凄まじい量の魔力が放たれた。ゴゥッ!! という激しい暴風が大気を打ち据える。空間が震え軋む音さえ聞こえた。
 放出された魔力が持つあまりの密度にフィアたちは揃って身を竦ませる。

 フィアも、リネージュも、カザロフも。全身を硬直させながら、それでも驚愕に瞠った目を正面へと向ける。
 ――ありえない、と。
 これほどの魔力がたった一人の、それも目の前に立つ少年の身体から放たれているという事実が、どうしても受け入れられなくて。

 けれど。
 周囲に蔓延る獣たちにとってその魔力は、膨らみ続けた恐怖を弾けさせる針のひと刺しだったのだろう。
 ……恐怖に触れ続けた精神は、何かのきっかけで簡単に暴発を起こす。
 それまで何かに怯えて絶対に接近してこようとしなかった魔獣が、突如として発狂したように叫び、一気呵成に襲い掛かってきたのだ。

「……ふむ、なるほどな。どうやら俺の持つ魔力自体は使えるようだが、この身体を通す過程で魔力の波長がこやつ自身のものに変じているのか。でなければ、そよ風程度とは言え俺の魔力に触れておきながら、なお牙を剥くような不遜など働けまい」

 魔獣の波濤が四方から迫る。
 しかしそんなことなど意に介していないかのように、少年の口からは気負いのない言葉が出てくる。

「あ、あのっ、アルヴさん……!?」

「ちょっと、いつまでボケッと突っ立ってんのよ! とっとと下がって!」

「クソッ、オレが前に出る! 二人はどうにかして援護を……」

「―――〝鎮まれ〟」

 魔力の込められた言が、三人の動きを縛り、強制的に黙らせた。

「そこで見ていろと、俺は言ったはずだ」

 幽闇に染まる双眸が流れるように彼らを一瞥する。
 そしてその目が最後にリネージュを捉えたとき……何故か視線は、彼女を見据えてしばらく留まった。

「……?」

 不可解な注視にリネージュが怪訝な面持ちを浮かべたと同時、〝アルヴ〟の口許に薄い笑みが浮かんだ。

「いやなに……、〝と思ってな」

 そんな言葉を残したのち――ツゥ、と。
 緩やかに持ち上げられた人差し指が、正面に迫る魔獣へと無造作に差し向けられる。
 ほんの小さな仕草。だがその動作に、何故かフィアたちはゾクリと背筋に悪寒が走るのを感じた。

 そして、直後。
 彼らの眼前に顕現したのは、荘厳なる地獄だった。


「――『王亡き宮殿の氷霊柩花キグノフクス・グレイディオラ』――」


 詠唱と同時、突如として発生した氷点下の冷気が広間全域を支配した。

 そこに音は無かった。
 静寂の中に広がった極寒が、刹那の間に数百体もの魔獣を残らず氷結の牢獄へと閉じ込める。
 『覆われた狩場セーマ』の空間全てを覆い尽くすように無数の氷柱が出現し、白い霜と共に刹那の時間で数百もの魔獣を凍て付かせた烈寒の監獄は、不思議とどこか遠い文明の頂に聳える王の宮殿をも彷彿とさせた。

 そしてその宮殿には、まるで牢獄に囚われた者たちの最期に対する手向けかの如く、息を呑むほどに美しい花々が咲き誇っていた。

 言うなればそれは、献花のようで。
 牙も咆哮も、恐怖ゆえの狂気もそこに連なる敵意も。尽くを氷漬けとして見せた少年は、けれど一切の興味を抱いていない面差しで雑然と手を横へ振った。

「――『崩御ファグサス』」

 続いた詠唱を合図に、瑠璃の結晶を思わす氷の花々が蒼白い燐光を放ち始める。誰しも目を奪われるような清冽で澄んだその光は巨大な氷宮殿全てを覆い尽くし――

 次の瞬間、耳の奥を引っ掻くような刺々しい破砕音と共に大規模な亀裂を幾つも走らせた。

 荘厳な宮殿が瞬く間に割り砕かれていく。そして当然ながらその〝崩御〟は氷の内部で凍り付いていた魔獣たちにも及び、彼らは亀裂と共にその身を千々に裂かれ、やがて幾千の氷塊となって木っ端微塵に砕け散った。

 それはあまりにも虚しく、そして惨たらしい最期だった。
 あれだけ神々しい威容を誇っていた蒼氷の宮殿は一瞬にして崩壊し、その中にいた命の尽くを引き連れるかの如く一瞬で消え去る。

 そうして残ったのは宮殿に咲き誇っていた無数の花々だけであり、白い霜を棚引かせる美しい花弁の群れは、いまは魔獣の血を受けて赤黒く染まっていた。

 目の前で起きた光景に、フィアたちは言葉を失って硬直していた。
 常識の埒外に存在する見たことのない圧倒的な大魔法、それを行使した少年の背中をただ見詰めるばかりだった。

 やがて、鮮紅を散らす惨状の只中で傲然と佇む〝アルヴ〟が、声の中に低く落ちる感情を乗せてポツリと言う。

「やはり器が脆弱ゆえか、魔法の出力は本来の俺の一割以下と言ったところか……。だがまぁ、器量に関しては今後こやつの成長次第でどうとでもなるだろう。何やら面白い力の伸びしろも持っているようだしな」

 そう言って愉快そうに笑う。だがすぐのちに何かに気付いた様子で、自らの身体を見下ろしながら目を眇めた。

「なんだ、もう綻びが来たか。久々の自由をもう少し味わうつもりであったが仕方あるまい。――おい、貴様ら」

「は、はい……!」

 唐突に視線を向けられ、フィアたちは揃って大きく身を震わせた。
 こちらを向く相貌、立ち姿、けれど黒闇の双眸だけが彼が〝アルヴ〟ではないことを証明している。そのため目が合った瞬間、フィアは喉が干上がったかのような緊張と共に裏返った声を上げてしまった。

 アルヴではあれどアルヴではないその者は、どこまでも傲岸な面差しと物言いで続けた。

「もうこの近域に魔獣共は一匹としておらぬ。魔窟内部どころか外界の森もいまは静寂で満ちているゆえ、とっとと街へ戻るがよい。こやつの意思があったとは言え、他でもない俺が拾い上げてやった命だ。蔑ろにすればそれもまた俺への不敬になると知れ」

「え、あ、あの……?」

「それと」

 ひときわ声の圧が強まった気がした。

「これは何より重要な命令だ。……荷物同然で構わんから、もちゃんと街に持ち帰れ。よいな、必ずだ」

 直後の出来事だった。
 幽闇の色を揺らめかせていた瞳から急速に光が失われたかと思えば、さながら糸の切れた操り人形であるかの如く、途端にその身がドサリと崩れ落ちたのだ。

 突然の光景にしばし唖然と固まったのち、フィアたちが慌てて駆け寄る。
 そうして仰向けに横たわる少年の貌を見下ろせば、頑なに瞼は閉ざされていたものの、ほんの微かに開いた口は小さな呼吸を繰り返していた。

 安堵と同時、ひたすらの困惑と共にフィアたちは揃って顔を見合わせた。

 ――何はともかく。
 そうして訪れた静寂は、今回の一件が呆気なく終息に至ったのだということを、如実に示しているようだった。
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