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第38話不安
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俺が入学試験を終えてから1週間が経ち、いよいよ合格発表の日となった。
試験に合格しているのは間違い無いだろう。唯一心残りがあるとすれば、訓練所の壁に穴を開けてしまったことくらいか。
本当に申し訳ない。修理費とか請求されないよね?
試験の日は少し遅く起きたが、今日は早く目が覚めた。
そんなこともあり、合格発表を見に行く前に、屋敷の庭で体術と剣術の練習をしていた。
俺の場合、体力という項目がステータスにはある。
戦闘では魔法ばかり使っているが、いざという時は体を使い相手をねじ伏せることが出来なければならない。どんなにチートスキルを所持していても、油断は禁物だ。
前世の地球でも、強い人が呆気なく殺されたりしていることからも、学べるだろう。
「アルバート様、朝食ができましたのできりの良いところでリビングに来て下さい。ご家族が待っておられます」
「ああ、分かったよ。今行く」
俺のことを呼びに来たのは俺の専属メイドであるマーサさんだった。
専属メイドということもあり、ハワード領の屋敷に帰らず、こちらに残っている。
俺は返事をした後、手に持っていた木剣をアイテムボックスの中に入れ、リビングに向かった。
もちろんマーサさんには見られていない。
その後、軽く朝食を食べた後、余裕を持って合格発表に行く事になった。
そんな時だった。
「スーザン様、王城から使いの者がいらっしゃったのですが、どうされますか?」
門番の人がリビングにやってきた。
父さんのジャックが王都の屋敷にいない今、この屋敷の主人は第二夫人である、スーザン母さんだった。俺の実のお母さんである。
「少し待って。3分だけ待ってください、とお伝えください」
母さんはそれをいうやいなや、部屋を出ていった。
リビングの外からはガシャンガシャンとこの屋敷が広くなければ近所迷惑なほどの音が聞こえた。
どうしたんだ? なんか怒ってるのかな。
そうしてきっかり3分後、薄く化粧された母さんの姿が俺の目に入った。
なるほど、女の人はどんな人に対しても綺麗な自分を見せたいということか。でも化粧をしてもしなくても美人なのにな。けど、それは言ってはいけないと俺の本能が告げている。
「母上、美しいです!」
「あらそう? アルは口がお上手ね」
「アル、私は? 私はどうなの?」
そう言ってきたのはジェシカ姉さんだった。
ブラコン治ったと思ってたのに、どうやら俺の勘違いだったようだ。
「お姉ちゃんは、かわいいよ」
少し成長し、しかしまだ幼さが顔に残っている。ハワード家は皆美形だ。もっと成長すればきっと美人になるだろう。
「そ、そうかな? ありがとう」
そんな会話をマーク兄さんは口を出さず、聞いていた。賢明な判断だろう。
「おっといけない。王城の使者を通してあげて」
母さんが話を振り出しに戻した。
そうして数分後、食事を片付けたリビングに使者を通した。
「本日は朝早くから申し訳ございませんでした。急な用件のため、迷惑かとは思いましたがこちらに来させていただいた次第です」
王城からの使者はセバスチャンさんだった。
「いえいえ、構いませんよ。それで要件とは一体どのような事でしょうか?」
母さんがそう返した。
「ええでは手短に。四男である、アルバート様を王であるエドワード国王陛下がお呼びです。本日は入学試験の合格発表があるということもあり、それが終わり次第、王城へ出頭せよとのことです。私はそれを伝えに参りました」
「息子のアルバートが何か致しましたか?」
「国王陛下からは呼び出す理由を聞かされておりません」
「なら、アルは身に覚えのある事はないの?」
「いえ、僕は何もしておりません」
これ絶対陛下怒ってるよね!? 修理費とか請求されたらどうしよう。
「まあいいわ。じゃあ、合格発表が終わったらすぐに王城へ行くように」
「分かりました」
「それでは私はこれにて失礼させていただきます」
「ええ、朝早くからお伝えいただきありがとうございました」
そんな社交辞令のような挨拶をした後、セバスチャンさんは帰っていった。
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試験に合格しているのは間違い無いだろう。唯一心残りがあるとすれば、訓練所の壁に穴を開けてしまったことくらいか。
本当に申し訳ない。修理費とか請求されないよね?
試験の日は少し遅く起きたが、今日は早く目が覚めた。
そんなこともあり、合格発表を見に行く前に、屋敷の庭で体術と剣術の練習をしていた。
俺の場合、体力という項目がステータスにはある。
戦闘では魔法ばかり使っているが、いざという時は体を使い相手をねじ伏せることが出来なければならない。どんなにチートスキルを所持していても、油断は禁物だ。
前世の地球でも、強い人が呆気なく殺されたりしていることからも、学べるだろう。
「アルバート様、朝食ができましたのできりの良いところでリビングに来て下さい。ご家族が待っておられます」
「ああ、分かったよ。今行く」
俺のことを呼びに来たのは俺の専属メイドであるマーサさんだった。
専属メイドということもあり、ハワード領の屋敷に帰らず、こちらに残っている。
俺は返事をした後、手に持っていた木剣をアイテムボックスの中に入れ、リビングに向かった。
もちろんマーサさんには見られていない。
その後、軽く朝食を食べた後、余裕を持って合格発表に行く事になった。
そんな時だった。
「スーザン様、王城から使いの者がいらっしゃったのですが、どうされますか?」
門番の人がリビングにやってきた。
父さんのジャックが王都の屋敷にいない今、この屋敷の主人は第二夫人である、スーザン母さんだった。俺の実のお母さんである。
「少し待って。3分だけ待ってください、とお伝えください」
母さんはそれをいうやいなや、部屋を出ていった。
リビングの外からはガシャンガシャンとこの屋敷が広くなければ近所迷惑なほどの音が聞こえた。
どうしたんだ? なんか怒ってるのかな。
そうしてきっかり3分後、薄く化粧された母さんの姿が俺の目に入った。
なるほど、女の人はどんな人に対しても綺麗な自分を見せたいということか。でも化粧をしてもしなくても美人なのにな。けど、それは言ってはいけないと俺の本能が告げている。
「母上、美しいです!」
「あらそう? アルは口がお上手ね」
「アル、私は? 私はどうなの?」
そう言ってきたのはジェシカ姉さんだった。
ブラコン治ったと思ってたのに、どうやら俺の勘違いだったようだ。
「お姉ちゃんは、かわいいよ」
少し成長し、しかしまだ幼さが顔に残っている。ハワード家は皆美形だ。もっと成長すればきっと美人になるだろう。
「そ、そうかな? ありがとう」
そんな会話をマーク兄さんは口を出さず、聞いていた。賢明な判断だろう。
「おっといけない。王城の使者を通してあげて」
母さんが話を振り出しに戻した。
そうして数分後、食事を片付けたリビングに使者を通した。
「本日は朝早くから申し訳ございませんでした。急な用件のため、迷惑かとは思いましたがこちらに来させていただいた次第です」
王城からの使者はセバスチャンさんだった。
「いえいえ、構いませんよ。それで要件とは一体どのような事でしょうか?」
母さんがそう返した。
「ええでは手短に。四男である、アルバート様を王であるエドワード国王陛下がお呼びです。本日は入学試験の合格発表があるということもあり、それが終わり次第、王城へ出頭せよとのことです。私はそれを伝えに参りました」
「息子のアルバートが何か致しましたか?」
「国王陛下からは呼び出す理由を聞かされておりません」
「なら、アルは身に覚えのある事はないの?」
「いえ、僕は何もしておりません」
これ絶対陛下怒ってるよね!? 修理費とか請求されたらどうしよう。
「まあいいわ。じゃあ、合格発表が終わったらすぐに王城へ行くように」
「分かりました」
「それでは私はこれにて失礼させていただきます」
「ええ、朝早くからお伝えいただきありがとうございました」
そんな社交辞令のような挨拶をした後、セバスチャンさんは帰っていった。
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