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2 強烈な一撃
しおりを挟む「うーん...今日はこの辺りで描こうかな。」
悩んだ結果、今日は校舎裏の大きな樹木を描く事にした。
画材を出し、スケッチブックをめくり、サンドイッチを食べながら下書きを書き始める。
これも彫り師になる為の第1歩。絵が上手い方がいいに決まっている。別に絵を描く事自体嫌いじゃないし、先生に美術部へ勧誘されるくらいには上手い。
「...ん?」
微かだが声が聞こえる気がする。声のする方へ顔を向けると、そこには二人の男女がいた。ネクタイの色からしてどちらも上級生だろう。
男の人の方は耳がピアスだらけで、この暑い時期に長袖を中に着ている。
「最低!!!」
バチン!!!!
女の先輩がそう叫び、背の高い男の先輩の頬を思い切り叩いた。
「うっ...」
強烈な一撃に男の先輩はよろける事はなかったが、呻き声をあげる。
「地獄に落ちろ!!!」
そう言い残して女の人は大股で去って行った。
「い...痛そう....」
すごい音だったし、大丈夫かな...
「クソが...」
先輩は痛いのか、頬を抑えながらしゃがみ込んでしまった。
「....」
それがあまりにも痛々しくて放っておけなかった俺は、急いでポケットに入っていたハンカチを水で濡らし、先輩がいる場所へと戻る。
「あ...あのっ...!」
「あ゙?」
イライラしてるのかものすごい剣幕で睨まれたが、気にせず赤く腫れた頬に濡れたハンカチを無理矢理押し当てる。
「おい...」
「冷やさないと、もっと腫れちゃいますよ!」
結構赤くなっていたので気休め程度にしかならないだろうが、ないよりはマシだろう。
「....」
最初は抵抗していた先輩も、俺のしつこさに諦めたのか次第に大人しくなった。
「本当は湿布でもあればよかったんですけど....」
「いい。あとで保健室に寄る。」
そう言って顔を上げた先輩と目が合う。
(うわぁ...綺麗な顔....)
あまりにも美しいその顔に目を逸らせない。
「...何?」
「い、いえ!俺もう行きますね!そのハンカチはあげますから!じゃ!!」
「は?お、おい!」
(何、人の顔をガン見てしてるんだよ俺は!)
結局俺はろくに挨拶もせず、気恥ずかしさにその場を後にした。
「....」
そして急に立ち去った俺の背中を先輩が見えなくなるまで見つめている事に、俺は気付かなかった。
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