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モブ、虐められる
しおりを挟む第二皇子とのお茶会から早一週間____
バッシャーーン!!
(はぁ....またか......)
びしょびしょになった自分の身体を見つめながら、俺は深いため息をついた。
結論から言うと、第二皇子に引きずられた翌日から俺は悪役令息の嫌がらせを受けている。
やはり第二皇子からの呼び出しが気に入らなかったようで、お茶会があった日の翌日に慌てて悪役令息に苦し紛れの言い訳をしたところ、俺が呼ばれた事自体が不愉快だったらしく顔を歪めながら「どうして呼ばれたのが僕じゃなくて、お前ごとき貧乏子爵の次男風情なんだ?!!」と散々俺を罵倒してきた。
暴力を振るわれなかった事が不幸中の幸いだがまずい状況に変わりはなく、それからというもの毎日悪役令息の取り巻き共から水をかけられたり物を隠されたり無視されたりと、小学生並の嫌がらせを受けている。
それも周りに誰もいない、俺が一人になった時を狙って。
(まぁ、仮に周りの人達が嫌がらせをされてるのを目撃していたとしても、誰も助けてはくれないだろうけど。)
みんな悪役令息に関わりたくないだろうし、もし俺を助けて今度は自分がターゲットにされたらって考えるだろう。
「はぁ....」
この世界がBLゲームの世界だと気付いてからというもの、気配を消して取り巻きのモブとして約二年間頑張ってきたというのに、結局悪役令息のターゲットにされてしまった。
結果的に悪役令息の取り巻きを強制的に辞める事になり、自由に動けるようにはなったものの....
いつまでこの学園にいられるのかも分からなくなってしまった。
(退学かぁ....嫌だな......)
まだ卒業後の旅の準備も終わっていないし、金もないし、今退学させられたら本当に困る。
それに.....
(殿下の顔も、もう見れなくなっちゃうのかな....)
優しく微笑む第二皇子を思い浮かべながら、そんな事を考えた。
第二皇子とは、お茶会以降まったく会っていない。
俺が所属している普通科と第二皇子が所属している騎士科は棟が東と西で違うので、普段なら姿すらも見る事が少ないのだ。
しかも、第二皇子は現生徒会の副会長で多忙。
悪役令息の後ろを着いて回ってやっと姿を見る事ができる程度だったのに、それすらなくなってしまったら会わなくなるに決まっている。
(会いたいな......)
そう思いながら、俺は濡れた服を着替える為にここから五分ほどで着くであろう寮に一度戻ろうと歩き出す。
そんな俺の姿を、後ろから睨みつけていた人物がいた事にも気付かずに......
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