俺はモブなので。

バニラアイス

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喧嘩はやめて

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「なぜクレノに会いに行く度にお前がいる?いい加減うざいぞ。」

「そちらこそ。毎日毎日クレノに付き纏って、生徒会といっても暇ですのね。」

「あの....二人共喧嘩はやめて......」

あのお茶会以降シャーロットは第二皇子同様、毎日俺に会いに来るようになった。

その結果第二皇子とシャーロットは毎日のように鉢合わせしてしまい、こうやって口喧嘩をする。もうこの二人の喧嘩を見る事に慣れて、俺の毎日の日課になっているくらいだ。

だが周りの人間はなかなか慣れないらしく、二人を止めて欲しいと言わんばかりに視線を送ってくるが、俺が逆に助けてほしい。

そんな俺の思いとは裏腹に、クラスメイト達は近付きたくないのか教室の端にいる。
俺に助けを求めるだけで、助ける気は一切ないらしい。

(だよね...そりゃ近付きたくないよな...関わりたくないよな.....

俺だって本来なら、モブとしてそっち側にいるはずだったのに....)

そう思いながら、睨み合っている二人を見て頭を抱える。

(なんで俺なんだよ.....誰か替わってくれ!!)

心の中でそう叫んだ。


「...そうだ、クレノ。」

第二皇子が何かを思い出したのか、睨み合いを止めて俺に話しかけた。

「はい。」

「私はこれから生徒会で忙しくなってしまう。だからしばらくの間お前の所へ来る事ができない。」

「え。」

「もうすぐ体育祭がある。その準備で忙しくてな。」

(あ....最近色々ありすぎて忘れてたけど、体育祭......そういえばもうすぐだった。
じゃあ、しばらく殿下には会えないのか....)

毎日喧嘩されても困るが、いないとそれはそれで寂しい。

俺は周りの人達にも分かってしまうくらい残念そうに肩を落とした。

そんな俺を見て、第二皇子が優しく頭を撫でてくれる。

「寂しいのか?
体育祭が終わったら、また一緒に茶でもしよう。それまで我慢していてくれ。」

「そ、そんな事.....」

第二皇子に自分が思っている事を勘づかれ、恥ずかしくなった俺は顔を赤くしながらその言葉を否定した。


「.....そうか。私は寂しいがな。」

「......っ」

そう言って第二皇子は俺の頭を撫でる。

(な....なんでそんなセリフ、恥ずかしげもなく言えるんだ?!)

第二皇子の言葉に余計恥ずかしくなり、もう顔が見れない。

そして俺が赤面する様子を隣で見ていたシャーロットが、不満そうに声を荒らげた。

「ちょっと!二人の世界に入らないで!!私もいるのよ!?」

そう言って俺の頭から第二皇子の手を振り払い、俺と第二皇子の間に無理矢理身体を捩じ込ませてきた。

そんなシャーロットを不愉快そうに見つめながら、第二皇子が告げる。

「シャーロット・バーベル。
ついでにお前を特別に体育祭実行委員へと推薦しておいた。お前もこれから忙しくなるだろう。

....私がいない間、クレノと二人きりでお茶をする暇もないだろうな。」

「なっ.....!」

「私はこれから生徒会があるのでな。

またな、クレノ。」

そう言って第二皇子は俺に挨拶をして、呆然と立ち尽くしているシャーロットを置き去りに教室を出て行ってしまった。

「ちょ......待ちなさい!ごめんねクレノ!またあとで!!!」

そしてシャーロットも、足早に行ってしまった第二皇子のあとを追いかけ教室を出て行った。


(そっか....二人共忙しくなるのか.....
じゃあしばらくはお茶会もなく、のんびり穏やかに過ごせるのかな?)

取り残された俺はそう思いながらも、二人がしばらく来れない事を寂しく感じ、窓から空を眺めた。



    
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