俺はモブなので。

突然の....

デリク・グレイと別れ、第二皇子は俺と行きたい場所があると言って歩みを進めていく。


「殿下、どこに向かっているんですか？」

「私の好きな場所とだけ言っておこう。」

「好きな場所？」

(第二皇子の好きな場所....とりあえず人混みは嫌いそうだから静かな場所だとは思うけど.....


......ダメだ、全然思い浮かばない。
第二皇子の事だから変な所には絶対に行かないだろうし、とりあえずは大人しく第二皇子の後ろを着いて行こう。)

そう思いながら、俺は歩いて行ってしまう第二皇子の後を追いかけた。


そしてしばらく歩くと人混みも建物もない、森のような場所の前で第二皇子が立ち止まった。


「行こう。」

第二皇子は躊躇なく森の中へと足を踏み入れる。
俺も鬱蒼としている森に少々ビビりながら、第二皇子に続いて森の中へと入った。

「足元に気をつけろ。」

「は...はい。」

道なき道を進み、体力のない俺が疲れ果て息を荒らげていた時だった。

前を進んでいた第二皇子が立ち止まり、振り返った。


「ここだ。」

俺は第二皇子の場所へと近付き、その視線へと目線を向けた。


「うわぁ....！」


そこは、とても幻想的で美しい世界だった。

満開の花々が咲き乱れ、湖の水は青く澄み、まるでここに天国があるかのような、そんな景色が目の前に広がる。


「綺麗.....」

「気に入ったか？」

「はい！こんなに綺麗な場所、生まれて初めて来ました！」

(本当に....すごく綺麗......)

景色に見惚れている俺を見て、第二皇子が優しく微笑んだ。

「ここは私の秘密の場所だ。今まで誰にも教えた事はない。

私以外では、クレノが初めてだ。」

「俺が...初めて....？」

(そんな場所を....俺に？)


「この場所は今日から、私とクレノの秘密の場所だ。他の者達には絶対に秘密だぞ？」

目を細めながら俺を優しく撫でる第二皇子に胸が高鳴ったのと同時に、どうしようもない嬉しさが俺の中に込み上げてくる。


「殿下....この場所は絶対に誰にも言いません！

こんな素敵な場所に連れてきてくださって、本当にありがとうございます！！」

本当に嬉しくて、俺は満面の笑顔で第二皇子に感謝の言葉を伝えた。


「っ....！！」

第二皇子の頬が赤く染まる。



そして.....




ちゅっ＿＿＿



気付いた時には、俺の唇と第二皇子の唇が重なっていた。