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デリク・グレイのせいで
しおりを挟む「クレノくーん!!」
「げ......」
(また来た.....)
あれからというものデリク・グレイは第二皇子に殴られたというのに、懲りず俺の元へ足を運んで来るようになった。
「今日もあからさまに嫌そうな顔だね。」
「嫌ですからね。」
「つれないなぁ。眉間にシワまで寄せちゃって、クレノくんは本当に俺の事が嫌いだよね。」
「はい。」
もう本当にうざい。頻繁に俺の前に現れるデリク・グレイに嫌気がさす。
「でもクレノくんのそういうところが俺は好きなんだよねー。」
「そうですか。俺は公爵令息の事が嫌いですけどね。」
毎日毎日、いい加減にしてほしい。
「ふふっ、その反応すごく良いよ。やっぱりクレノくん最高!」
「......」
もうため息すら出てこない。
どうして俺は、こんなヤバい人に気に入られてしまったのだろうか。
「クレノくん、やっぱりレイじゃなくて俺と付き合お「どうやらお前は死にたいようだな。」
デリク・グレイに両手を握られた瞬間、いつの間にか隣にいた第二皇子が俺を掴んでいた手を捻り、氷のような冷えた目でデリク・グレイを睨みつけていた。
「いたたた!折れる!手首が折れるって、レイ!!」
「本当に折ってやろうか。」
「悪かった!クレノくんにちょっかい出すのやめるから!!」
「.........」
デリク・グレイが謝ると、第二皇子はため息を付きながら手の力を抜いた。
「......今日のところは....ね?」
「お前.....!!」
「おぉ怖っ、今日はもう退散しよっと!レイに殺される前に♪
じゃあまた明日ねー、クレノくん♪」
「おい、待て!!」
第二皇子の静止も虚しく、デリク・グレイは楽しそうに口角を上げながら足早に去って行った。
「「......」」
そしてデリク・グレイがいなくなり、第二皇子と二人きりになった俺は......
「クレノ。」
「....はい.....」
「今、デリクに手を握られていたよな.....?」
「えっと.....」
「私以外の男に、自分の身体を触れさせたな?」
「その....突然の事で避けられなかったというか......」
「どうやら、おしおきが必要らしいな。」
「ひっ......」
こうして俺は誰もいない空き教室に連行され、第二皇子から酷いおしおきを受けた。
そしてそうなった原因であるデリク・グレイを憎みながら、二度と自分には触れさせない事を誓った。
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