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願いごと
しおりを挟む俺と第二皇子はひとしきり抱き締め合った後、本当に第二皇子の熱が上がってしまい、今は第二皇子をベットへ寝かせ、持ってきてもらった濡れタオルを第二皇子の額の上に乗せた。
「殿下....大丈夫ですか?」
「....大丈夫だ。」
「殿下の大丈夫は信用できません。こんなに熱があるのに、大丈夫なわけがないです。」
第二皇子の“大丈夫”という言葉を信じすぎてしまった。熱がこんなにあって息だって荒いし汗だってすごいのに、大丈夫なわけがない。
「とにかくお医者さんに言われたとおり今日はしっかり食べて、ベットで安静にしていてください。」
「......分かった。」
第二皇子は仕方ないというような態度で、渋々返事をした。
「まずはご飯を食べないと....」
「....クレノ。」
「はい?」
「今日はちゃんとクレノの言う事を聞く。だから、褒美をくれ。」
「褒美....ですか?」
「あぁ。俺の願い事を一つ聞いてほしい。」
「.....まぁ....はい。俺にできる事なら......」
「大丈夫だ。クレノにしかできない事だ。」
「??わかりました。」
俺が承諾すると、第二皇子は自らお粥の入った容器を手に取り食べ始めた。
そして食べ終わった後、シャツを脱ぎ、絞ったタオルで自分の身体を拭き始める。
(身体を拭く姿もかっこいい.....)
第二皇子の綺麗に割れた腹筋や筋肉をまじまじと見てしまい、途中で第二皇子を見つめすぎていた事に気付いた俺は、恥ずかしくなって第二皇子から目線を逸らした。
「......クレノ。」
「は、はい!」
「医者から言われた事はすべて終わった。俺の願いを聞いてくれ。」
どうやら俺が第二皇子から視線を外しているうちに着替え終わり、薬も飲んだようだ。
「あ....わかりました。俺は一体何をすれば......?」
どんな事を俺に願うのだろうか....
俺が第二皇子にできる事なんて限られている。予想ではキスしてとか、手を繋いでとかかな......なんて勝手に思っていた。
「皇宮にいる間は、私の部屋で私と一緒に眠ってくれ。」
「.....え?」
予想外のその願いに、俺の身体は固まった。
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