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編入~カグラside~
しおりを挟む迎えた編入当日の朝。
新品の制服に着替え、髪を綺麗に整えた僕は心がうきうきと踊っていた。
「やっと...やっと本物のレイ様に会える....」
だって画面越しじゃない、音声CDでもない、話して動く本物のレイ様に会えるのだから。
(早くレイ様の姿を見たい....正門前で待ち伏せしないと!!)
そう思った僕は急いで寮の部屋を出た。
そして正門前___
(レイ様、まだかなぁ.......あ!)
見つけた。
皇太子と並んで歩いているレイ様はゲームの設定通り無表情で、でも気品が溢れ出ていて、画面より断然僕の好みどストライクだった。
(やば...かっこいい....!!)
どうにかしてレイ様の目に留まりたい。
だが他の生徒達が皇太子とレイ様の周りに群がっていて、なかなか近寄れなかった。
(邪魔だ!どけよブス共!!僕はもっと近くに....)
「うわっ....!!」
無理矢理身体をねじ込ませたが、誰かに突き飛ばされ転んでしまった。
(....クソが....今突き飛ばした奴、絶対虐めてや「大丈夫かい?」
心の中で悪態をついていると誰かに手を差し出され、僕は顔を上げる。
「あ....、し....皇太子殿下....」
転んだ僕に手を差し伸べてくれたのは、皇太子だった。
そして僕の顔を見た瞬間、皇太子は目を大きく見開き顔を真っ赤にさせた。
(あ...そういえばこのシーン、シンルートの最初のストーリーだ。)
皇太子がカグラに一目惚れするシーン。
「.....あの、皇太子殿下....?どうかしましたか?」
動く気配のない皇太子に、主人公のカグラがこのシーンで言っていた言葉をそのまま言ってみた。
「......っ!!すまない!その....可愛くて...つい.....、怪我はなかったかい?」
「あ、はい....」
僕は皇太子に起こしてもらいながら第二皇子がいた方を見たが、もうそこに第二皇子はいなかった。
どうやら皇太子を置いて、一人で先に行ってしまったらしい。
「それで、その....君の名前は?」
「今日からこの学園に編入してきた、カグラ・ミルズと申します。」
「そうか、君が例の編入生か。
私はシン・スティード。この学園の生徒会長だ。
それでその....もし良ければ、私が君を学園長室まで案内したいのだが....」
そう恥ずかしそうに言う皇太子を眺めながら、僕は考えた。
(このままじゃ、シンルートまっしぐらだ。
でもレイルートに入るには、皇太子のシンルートの第一部を攻略しないとダメだったから......)
ここまですべてゲーム通りなのだ。
この世界が現実で画面上ではなくとも、シンルートの第一部を攻略しないかぎりレイルートには進めないはず。
「......はい。よろしくお願いします。」
「それじゃあ、行こうか。着いておいで。」
僕はレイルートに行く為にまずシンルートを攻略する事を決意し、皇太子の後ろを着いて行った。
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