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サイドストーリー① シャーロットとデリク
しおりを挟む「お前、ブスだな。」
デリクとの初対面。開口一番に言われた一言。
「誰がブスですって!?」
そんな衝撃的な初対面から十五年後...
「おい、ブス。俺と結婚しろ。」
まさか犬猿の仲とも言えるこの男に、プロポーズされるとは思っていなかった。
「...は?今なんて?」
「だから、俺と結婚しろ。」
「...はぁ?」
突然過ぎてそんな声しか出ない。
「私達...恋人だったかしら?」
「いや?」
「婚約者だったかしら?」
「違うな。」
「...ふざけないで。」
デリクの事だ。私を揶揄っているに決まってる。どうせ怒ってる私を見て楽しんでるだけ。
「ふざけてねぇよ。」
揶揄ってるだけのはず...なのに....
「本気だ。」
その表情が、本気だという事を物語っている。
「っ....、な...なんで私なのよ。」
幼少期は散々からかわれ続け、学園に入学してからはほとんど関わる事もなかった。会っても喧嘩ばかりで、ただ公爵家の子供同士だというだけの腐れ縁...だったはずだ。
「好きだからに決まってんだろ。」
「はぁ!!?」
ありえない言葉がデリクの口から出た。
「好きって、いつから!?」
「出会った時から。」
出会った時...から!?
「...初対面で私にブスって言ったわよね?」
「言ったな。」
「その後、怒ってる私にキーキー喚く猿みたいだと言ったわよね。」
「言ったな。」
「...どこにあんたが私を好きな要素があるのよ。」
デリクとの思い出を思い返すほど、散々バカにされてきた日々に怒りが湧いてくる。
「よく言うじゃねえか。好きな奴ほどいじめたいって。」
悪びれる事もなく、あっけらかんとデリクは言う。
「いじめたいって...本当に最低ね!」
「あー、ごちゃごちゃうるさいな。さっさと結婚するって言えよ。」
「嫌よ!誰があんたと結婚なんてするもんですか!」
クレノに出会ってから決めたんだ。今度は私をちゃんと愛してくれる、素敵な人と結婚するって。
私の中でデリクはその素敵な人には入っていないし、恋愛的な意味で見た事もない。
つまり、答えはNO以外ありえないという事だ。
「...そうか。まぁいい。」
以外にもあっさり引いたかと思えばデリクが私に近付き、左手を取る。
「時間はこれからたくさんある。必ず俺に惚れさせてやるから、覚悟しとけよ。」
自信満々なデリクに指先を口付けられ、顔が熱くなっていくのを感じた。
「だ...誰が惚れるもんですか!!!」
八年後...
広い庭園を走り回る子供達。そして自分の腕の中で眠る産まれたばかりの小さな命。
「愛してるぜ。シャーロット。」
「...うるさい。」
結局デリクの数年に及ぶ怒涛の愛してるアピールに折れたシャーロットは、隣でニヤニヤと愛の言葉を囁くうるさい男の口を自分の唇で塞いだ。
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