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閑話-嫁入り準備の花嫁修業?①
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その日、猫村ほなみは悩んでいた。
ここ最近は料理の腕も上がってきて、作れるメニューが増えたこともあり、客足は順調に伸びていた。故に、定休日なんて無視して店を開いていたのだ。
まさに順風満帆。この調子でどんどん頑張っていくぞ、と張り切っていた矢先、まさかの自体が舞い降りた。
どうやら今日の午前十時から二時間程は水道管の点検で水が使えず、午後二時から二時間程はガスの点検で火が使えない。そんなの、休みにするしかないじゃあないか。
そんなこんなで突然休みを得てしまったほなみだが、特に予定も無いのでまだ朝日が昇りだした時間だというのにボケーっと呆けてしまっていた。
「休み……休み……いったい、何をすればいいんだろ」
ほなみは誰もいない喫茶店の一角で呟く。もちろんその声に返事をする者などいない。
「休みは嬉しいけど、突然すぎるよぉーっ! ……でもでも、事前にお手紙貰ってたし……」
ほなみの言う通り、水道とガスが使えなくなる旨は一週間程前からポストに投函されていた。だが、その確認をほなみは疎かにしていて、気付いたのは前日の夜だった。
「……孝文さんがいたら、デートでもしたかったのになぁ」
つい、孝文の名を口にしてしまう。孝文が引っ越してからかれこれ半年弱経過しているが、ほなみが孝文を想う気持ちは指数関数的に上昇する一方だった。
ほなみには恋愛の経験が皆無だった。中、高と学生時代は女子高で過ごし、その後は兄の喫茶店の手伝い。そんな状況では異性と触れ合う機会なんて少なく、恋愛なんてしている余地は無い。そんな時に危機を救った孝文は、ほなみからすれば理想の異性。恋愛耐性クソザコなほなみが恋に落ちるのは必然だった。
「そうだっ、今日はお買い物をしよう! エプロンとかボロボロだし!」
ほなみは休日を使って買い物をすることにした。
確かにほなみの言う通り、エプロンは跳ねた油で穴が開き、飛んだ火の粉で黒く焦げ、よくわからないシミがこべりついていて綺麗とは言えない状態になっていた。
「そうと決まれば準備をしなきゃ! 久しぶりの休日だしオシャレして……しなくていっか。孝文さんとデートする時に取っておこうっと。ひとまず買う物をメモに……」
ほなみは座っていた椅子からピョンと飛び跳ね、買い物の準備をする。何が必要で、どれを買うべきかキッチンに足を運び確認しながらメモ用紙に書き綴っていく。
今日はまだ始まったばかり。ゆっくりマイペースに、休日を満喫しよう。
午前十時頃。
ほなみは街へ繰り出していた。平日という事もあり、人も少なくストレス無く買い物ができるだろう。
「まずは何から買おうかな?」
そんな事を呟きながらほなみはメモを取り出す。
書かれているのはエプロンやふきんといった布製の軽い物もあれば、フライパンや鍋といった少々重い物もある。
重い物を先に買ってしまうと後の買い物が辛くなってしまうので、まずは軽い物から買っていくのが堅実だろう。
「まずはエプロンから買おっと。可愛いのあるといいなぁ~」
今まで使ってきたエプロンが無地の物だっただけに、今回は可愛い柄のエプロンに挑戦してみようかと思うほなみは、メモに書いている物が一通り揃うであろう百貨店に向かうのだった。
エプロンを買いに来たほなみは、戦慄していた。
今ほなみの目の前には――純白のレース生地で出来たエプロンが飾ってあった。胸元には大きなハートがあしらってあり、これはただの偏見だが、こういったエプロンは新婚の新妻なんかが着る印象がある。
(こ、こここここれはぁぁぁぁぁー---っ!)
口には出していないが大絶叫である。
(し、新婚さんが着るエプロンだっ!? えっ、カワイイ……私もこれを着て孝文さんと――ダメダメ何を考えてるの私っ!? でもでも――)
意中の孝文との新婚生活を想像して身悶えながら赤面させる様子は周りから見ても異様だった。
「お、お客様……?」
誰が見ても異様と言えるその光景を目の当たりにしてしまい、ついつい店員は声をかけてしまう。
「はっ! す、すみません、カワイイエプロンだったのでつい……」
「あはは、確かにこのエプロンは可愛らしいですよね。どうです、彼氏さんに見せたら大喜び間違いなしですよ」
「そ、そんな彼氏なんて……っ! まだ恋人になったわけじゃ無いですし……」
「あら……では、これを着て迫れば一発で堕とせますね! お客様はとっても綺麗なんですから自信を持ってください!」
「えぇぇぇーっ!? そ、そんな大胆な事私には無理ですよぉっ!」
「そんな事ありませんっ! 自信を持って! さぁ買っちゃいましょうー!」
「えぇぇぇぇーっ!?」
こんな具合で純白のエプロンを買わされそうになるほなみだったがどうにか断り、胸元に猫の刺繍があしらわれた控えめなエプロンを購入してその店を後にするのだった。
●あとがき
モブ「オイオイオイ、可愛いなアイツ」
ほぅ、純白のエプロンですか……たいしたものですね。(眼鏡クイッ)
サクラコ「絶対似合うから買えばよかったのにぃっ!」
ほなみ「うぅっ、あんなにカワイイの、着る勇気が出ませんよ……」
クロエ「何よ、タカフミだったらあれでイチコロよ」
烏骨隊長「うむ、タカフミ様であればあれで即堕ちだろうな」
ちょっ、何で急に皆出てきてんだよ。
鷺ノ宮「はっはっはー! 純白の花嫁とな、面白いではないかっ! だがしかし、奴はその程度では折れぬぞ、もっと強力な精神攻撃魔法を付与した――」
おい厨二病、煩いぞ。本編で全然本領を発揮できなかったからってあとがきで力を開放するな、見苦しいぞ。
鷺ノ宮「なんでそんな事言うのぉぉぉぉっ!」(半泣き)
ここ最近は料理の腕も上がってきて、作れるメニューが増えたこともあり、客足は順調に伸びていた。故に、定休日なんて無視して店を開いていたのだ。
まさに順風満帆。この調子でどんどん頑張っていくぞ、と張り切っていた矢先、まさかの自体が舞い降りた。
どうやら今日の午前十時から二時間程は水道管の点検で水が使えず、午後二時から二時間程はガスの点検で火が使えない。そんなの、休みにするしかないじゃあないか。
そんなこんなで突然休みを得てしまったほなみだが、特に予定も無いのでまだ朝日が昇りだした時間だというのにボケーっと呆けてしまっていた。
「休み……休み……いったい、何をすればいいんだろ」
ほなみは誰もいない喫茶店の一角で呟く。もちろんその声に返事をする者などいない。
「休みは嬉しいけど、突然すぎるよぉーっ! ……でもでも、事前にお手紙貰ってたし……」
ほなみの言う通り、水道とガスが使えなくなる旨は一週間程前からポストに投函されていた。だが、その確認をほなみは疎かにしていて、気付いたのは前日の夜だった。
「……孝文さんがいたら、デートでもしたかったのになぁ」
つい、孝文の名を口にしてしまう。孝文が引っ越してからかれこれ半年弱経過しているが、ほなみが孝文を想う気持ちは指数関数的に上昇する一方だった。
ほなみには恋愛の経験が皆無だった。中、高と学生時代は女子高で過ごし、その後は兄の喫茶店の手伝い。そんな状況では異性と触れ合う機会なんて少なく、恋愛なんてしている余地は無い。そんな時に危機を救った孝文は、ほなみからすれば理想の異性。恋愛耐性クソザコなほなみが恋に落ちるのは必然だった。
「そうだっ、今日はお買い物をしよう! エプロンとかボロボロだし!」
ほなみは休日を使って買い物をすることにした。
確かにほなみの言う通り、エプロンは跳ねた油で穴が開き、飛んだ火の粉で黒く焦げ、よくわからないシミがこべりついていて綺麗とは言えない状態になっていた。
「そうと決まれば準備をしなきゃ! 久しぶりの休日だしオシャレして……しなくていっか。孝文さんとデートする時に取っておこうっと。ひとまず買う物をメモに……」
ほなみは座っていた椅子からピョンと飛び跳ね、買い物の準備をする。何が必要で、どれを買うべきかキッチンに足を運び確認しながらメモ用紙に書き綴っていく。
今日はまだ始まったばかり。ゆっくりマイペースに、休日を満喫しよう。
午前十時頃。
ほなみは街へ繰り出していた。平日という事もあり、人も少なくストレス無く買い物ができるだろう。
「まずは何から買おうかな?」
そんな事を呟きながらほなみはメモを取り出す。
書かれているのはエプロンやふきんといった布製の軽い物もあれば、フライパンや鍋といった少々重い物もある。
重い物を先に買ってしまうと後の買い物が辛くなってしまうので、まずは軽い物から買っていくのが堅実だろう。
「まずはエプロンから買おっと。可愛いのあるといいなぁ~」
今まで使ってきたエプロンが無地の物だっただけに、今回は可愛い柄のエプロンに挑戦してみようかと思うほなみは、メモに書いている物が一通り揃うであろう百貨店に向かうのだった。
エプロンを買いに来たほなみは、戦慄していた。
今ほなみの目の前には――純白のレース生地で出来たエプロンが飾ってあった。胸元には大きなハートがあしらってあり、これはただの偏見だが、こういったエプロンは新婚の新妻なんかが着る印象がある。
(こ、こここここれはぁぁぁぁぁー---っ!)
口には出していないが大絶叫である。
(し、新婚さんが着るエプロンだっ!? えっ、カワイイ……私もこれを着て孝文さんと――ダメダメ何を考えてるの私っ!? でもでも――)
意中の孝文との新婚生活を想像して身悶えながら赤面させる様子は周りから見ても異様だった。
「お、お客様……?」
誰が見ても異様と言えるその光景を目の当たりにしてしまい、ついつい店員は声をかけてしまう。
「はっ! す、すみません、カワイイエプロンだったのでつい……」
「あはは、確かにこのエプロンは可愛らしいですよね。どうです、彼氏さんに見せたら大喜び間違いなしですよ」
「そ、そんな彼氏なんて……っ! まだ恋人になったわけじゃ無いですし……」
「あら……では、これを着て迫れば一発で堕とせますね! お客様はとっても綺麗なんですから自信を持ってください!」
「えぇぇぇーっ!? そ、そんな大胆な事私には無理ですよぉっ!」
「そんな事ありませんっ! 自信を持って! さぁ買っちゃいましょうー!」
「えぇぇぇぇーっ!?」
こんな具合で純白のエプロンを買わされそうになるほなみだったがどうにか断り、胸元に猫の刺繍があしらわれた控えめなエプロンを購入してその店を後にするのだった。
●あとがき
モブ「オイオイオイ、可愛いなアイツ」
ほぅ、純白のエプロンですか……たいしたものですね。(眼鏡クイッ)
サクラコ「絶対似合うから買えばよかったのにぃっ!」
ほなみ「うぅっ、あんなにカワイイの、着る勇気が出ませんよ……」
クロエ「何よ、タカフミだったらあれでイチコロよ」
烏骨隊長「うむ、タカフミ様であればあれで即堕ちだろうな」
ちょっ、何で急に皆出てきてんだよ。
鷺ノ宮「はっはっはー! 純白の花嫁とな、面白いではないかっ! だがしかし、奴はその程度では折れぬぞ、もっと強力な精神攻撃魔法を付与した――」
おい厨二病、煩いぞ。本編で全然本領を発揮できなかったからってあとがきで力を開放するな、見苦しいぞ。
鷺ノ宮「なんでそんな事言うのぉぉぉぉっ!」(半泣き)
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