転生したらBLゲームの攻略キャラになってたんですけど!

朝比奈歩

文字の大きさ
28 / 106
脅迫状パニック!

脅迫状パニック!⑫-3

しおりを挟む
おれはカーテンの隙間から入ってきた光に目を覚まさせられると、軽く目を瞬いた。
身体のだるさはすっかり取れている。
おれはゆっくりと起き上がると、簡易ベッドに視線をやった
敦士は既に起きているのか、ベッドは空になって整えられている。
すると、病室のドアが開き、敦士が入ってきた。
顔を洗ってきたらしい。
ネクタイが緩められ、タオルを首にかけている。
「凛さん、おはようございます。もう起きて大丈夫ですか?」
「はよ。うん、もうだいぶ良いよ」
「退院して大丈夫そうですか?」
「うん。いつまでも寝てられないしな。仕事も山積みになってくし」
おれはそういうと、軽く伸びをする。
トラウマがあるとはいえ、もう犯人は捕まったのだ。
怯えることもない。
おれも顔を洗おうと起き上がると、自分の手首を見てそのアザにドキリとする。
「凛さん!」
「ああ……大丈夫だ」
拘束具を付けられた時のアザ。
このアザが消えるまでどのくらいかかるだろうか。
おれは軽く頭を振ると、冷たい水で顔を洗う。
鏡に映るおれの顔は、知っている様な、知らない様な、不思議な顔。
おれでいて、おれでない。
そんな感覚。
おれは顔を拭くと、髪を整える。
おれは、誰なんだろう。
西園寺凛?徳重雅紀?それともLIN?
きっと、どれもがおれなんだ。
どれが欠けてもおれにはならない。
「なあ、このアザ……メイクで消えるかな?」
「濃いめのドーランを塗ってもらいましょう。駄目なら、リストバンドでも嵌めますか?」
「そうするか」
その後、診察も終わり先生の許可も出たため退院となった。
おれは、荷物をまとめると……って言っても、殆どが敦士が用意してくれたものだけど……タクシーに乗り込む。
敦士はおれを家に送り届けると、玄関で心配そうな顔をした。
「一人で大丈夫ですか?」
「昼間なら多分大丈夫。夜はちょっと辛いかもだけど、皆が居てくれるみたいだし」
「わかりました。また、仕事の合間に様子を見にきますから…何か欲しいものがあれば連絡ください」
「サンキュ」
おれは敦士を見送り、マンションの鍵をかける。
一人の部屋は妙に広くて、おれはソファに膝を抱えて座り込んだ。
腕のアザを見るたび、気持ち悪さが込み上げてくる。
人を性的対象として見た、あのおぞましい目。
おれは頭を振った。
昨日の敦士も恋愛対象としておれを見ていたはずだ。
なのに、気持ち悪さはかけらも感じなかった。
だから、このおぞましさは、ただ男にそういう対象として見られたからと言うわけではないらしい。
他のメンバーとキスした時も、恥ずかしさはあっても気持ち悪いとか嫌とか、そういう感情はなかった。
だから、やはりこの気持ち悪さは『おれ個人』という性質を無視してただ『性的コンテンツとして消費』されていた、歪んだ見方が気持ち悪かったのだ。
おれはため息をつくと、キッチンに立ってコーヒーを淹れる。
久しぶりに帰った我が家は、なんとなく物悲しい。
おれは改めてメンバーや敦士のありがたみを感じる。
おれはコーヒーを持ってリビングに戻ると、テレビのリモコンを探す。
ーーあれ?
確か、出て行く前はここにおいたはず……。
おれはキョロキョロとテーブルの上を見ると、すぐ横にそれは置かれていた。
なんだ、あるじゃん。
おれはリモコンでテレビをつける。
その時、またも軽い違和感を感じた。
おれはいつも、朝は同じニュース番組を見ている。
あの日は朝出て行ったきりだから、朝のツジテレビニュース番組のチャンネルのままのはずだ。
なのに、付けたテレビはテレビ関東を映している。
まさか、な。
おれは、嫌な予感を打ち消すように、部屋の中ををぐるっと眺める。
ーーうん、変なところは無い。
ちゃんと、玄関の鍵もかけてあったし、窓の鍵も掛かっていた。
ざわつく心を押さえるように、おれはテレビを消して音楽をかける。
部屋におれ以外の人の気配はないーー筈だ。
たまたま、チャンネルを替えたまま忘れてしまっただけだ。
うん、そうに違いない。
おれは痛み始めた頭を押さえて、ソファーに横になる。
そのまま、おれはトロトロと眠りに落ちていった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵
BL
 主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。  この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。  そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!     ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。  友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?  オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。 ※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

ひみつのモデルくん

おにぎり
BL
有名モデルであることを隠して、平凡に目立たず学校生活を送りたい男の子のお話。 高校一年生、この春からお金持ち高校、白玖龍学園に奨学生として入学することになった雨貝 翠。そんな彼にはある秘密があった。彼の正体は、今をときめく有名モデルの『シェル』。なんとか秘密がバレないように、黒髪ウィッグとカラコン、マスクで奮闘するが、学園にはくせもの揃いで⁉︎ 主人公総受け、総愛され予定です。 思いつきで始めた物語なので展開も一切決まっておりません。感想でお好きなキャラを書いてくれたらそことの絡みが増えるかも…?作者は執筆初心者です。 後から編集することがあるかと思います。ご承知おきください。

BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。 しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。 転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。 恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。 脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。 これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。 ⸻ 脇役くん総受け作品。 地雷の方はご注意ください。 随時更新中。

最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??

雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。 いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!? 可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?

乙女ゲームの攻略キャラに転生したけど、他の攻略キャラ達の好感度が上がる一方で……!?

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
 〜来世ポイントマイナス1000から始める善行魔法学園生活〜  喧嘩大好きな一匹狼の不良・主人公は不良グループに襲われ、意識を失う。呼び声が聞こえて目を覚ますとそこには神様の姿があった。  神様は主人公に来世ポイントの使用権があると言う。  主人公は来世ポイントを使用し、 〖全てのクイズや試験の答えが分かる〗 〖世界一のイケメンになる〗 〖吸血鬼になる〗 〖喧嘩が一番強い〗 と言う設定を追加した。転生後も来世ポイントを稼ぐことが出来ると知り、残りのポイントは残すことにする。  乙女ゲーム《アルマタクト》の攻略キャラ《ヴォンヴァート・リリア・インシュベルン》に転生し、前世でクラスメイトだった秋月千夜(あきづきせんや)もこの世界に転生していることを知る。  クラスの担任の先生(ヒロイン)になった彼はどうやらチヨと呼ばれたがっているらしいww  せんやもどうやら、〖みんなに可愛いって思われる〗〖どこかにキスしたらメロメロになる〗と言う設定を追加したらしい。せんやの魔の手に落ちていく攻略キャラ達、しかし主人公・ヴォンヴァートの〖喧嘩が一番強い〗設定が魔法を全消しする効果があるっぽくて、せんやの魅了魔法を次々と解いていってしまう。  そして〖世界一イケメン〗設定のあるヴォンヴァートは、普通親密度100%になってから増えるはずの好感度が少し話しただけで上がっていくと言う迷惑スキルが付いてきた。  攻略キャラの好感度は上がり、せんやには怒られ、そんな様が仲良く見えるのかせんや好きな攻略キャラには目を付けられ、喧嘩に発展したそれに喧嘩大好きヴォンヴァートは喧嘩を買い、全員蹴散らした後に知る。  戦って貯める前世の来世ポイントとは違い、善行を積むことで貯められる来世ポイントとなった今世では、喧嘩に注意が必要であると言うことを。 注意: 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! 作者が息抜きに書いていた小説です。 ※毎日15:30に更新する予定です、ある分だけ投稿されます。(終了中、再開時は近況ボードで報告いたします)

処理中です...