転生したらBLゲームの攻略キャラになってたんですけど!

朝比奈歩

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パパラッチフィーバー!

パパラッチフィーバー!⑤3

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「……い」
「ん?」
「……抱きしめたいし、キスしたいし……それ以上も、したい……」
そう言って、綾斗は真剣な目をおれに向ける。
ーーな、なんだって?
おれは自分がした質問の答えに動揺すると、綾斗のいつになく真剣な視線にも狼狽えた。
「あや……」
「アキが、好きだ。誰よりも、何よりも、世界で一番」
そう言うと、綾斗はおれの唇に触れるだけのキスをする。
おれは動揺して心臓がバクバクと破裂しそうなくらい高鳴っているのを感じ、目の前がグルグルと回った。
まさか。
この大型犬は、自分に異常に懐いているだけだと思っていた。
親愛の延長だと思っていたものが打ち崩され、おれは自分の顔が今更ながら赤く火照ってくるのを感じる。
綾斗が、おれのことを好き。
それも、恋愛対象として。
おれは、軽々しく質問したことを激しく後悔した。
「アキ?」
不意に綾斗がおれの頬を撫でる。
おれは身体をビクッと跳ねさせると、思わず綾斗から距離をとった。
今までは、親愛の情だと思っていたから平気だった。
けど……恋愛感情があると分かって仕舞えば、意識するなと言われる方が難しい。
おれは火照る顔を隠して、綾斗を見上げる。
綾斗はおれが距離をとった事によって離れた自分の手を見た。
あ、ヤバい傷つけたかな。
実際、気持ち悪いとかでは一切ない。
だから、拒絶反応というより意識してしまって離れただけなのだ。
「綾斗、ごめ……」
「……やっと」
「?」
「やっと、おれのことを意識してくれた」
そう言うと、綾斗はその端正な顔を優しく微笑ませる。
「……?!」
おれは綾斗の言葉にさらに動揺すると、もっと顔を火照らせた。
「アキ。おれ、本気だから。おまえに振り向いてもらえるまで、ずっと口説き続けるからな」
そう言って、綾斗はおれの髪をサラサラと撫でる。
「だから、覚悟しておいてくれ」
耳元で囁かれたその言葉に、おれは脳内キャパが完全にオーバーし、その場にしゃがみ込んだ……。

それからのおれは散々だった。
ゲストで呼ばれた先のトーク番組のリハでは噛みまくり、トチリまくりで現場を苦笑させるし、ダンスリハでもステップを踏み間違えてあわや転びそうになると言う、このおれにはありえないミスを連発した。
その度に綾斗に支えられて、その度に顔を赤くすると言う悪循環。
これではダメだ。
おれは軽く頬を叩くと、思考を整理した。
綾斗はおれを好き。
そういう意味で。
けど、おれはどうだ?
もちろん、綾斗のことは好きだ。
でもそれはメンバーとして、だ。
恋愛対象として見たことは一度もない。
そうだ。
だから、おれが慌てる必要は全くない。
あくまでもこの思いはまだ一方通行。
うん、よし。
落ち着けおれ。
おれはふうーっと息を吐くと、トーク番組の歌パート本番に向けて精神統一をした。
「A’sのお二人、本番入りまーす」
スタッフさんにそう呼ばれ、おれは立ち位置に立った。
スッと血が冷えていく感じに、感覚が研ぎ澄まされていく。
キューがでて、前奏が掛かった。

『線路の上を 二人歩く
夕日が僕たちを照らし
長い影が伸びている
君の瞳が 赤く染まり
キラキラと輝いていて
僕はその横顔を見つめた
Trust 僕と共に
手を取って歩こう
Trust 僕が必ず
君の事を守るから
Trust 君と共に
前を向いて歩こう
Trust 君は僕の
大切な人だから』

ダンスパート。
冷静になれば、いつも踊っている曲だ。
ステップは身体が覚えている。
おれは後奏まで完璧に踊り終えると、ラストのポーズをビシッと決めた。
「カット!オーケーです!」
「さすが日比野さん、本番はしっかり決めますね!」
当たり前だ、おれは日比野秋生だぞ。
本番でトチるとかダッセー事できるか。
おれは一息つくと、こちらを見ていた綾斗と目が合う。
「うん、さすがだな。格好良かった」
綾斗はそう言って優しく微笑んだ。
何度も綾斗の口から言われ慣れた台詞なのに、何故か今日はドキッとする。
「お、おう……」
それは何故か、ソワソワ感と心地よさが同居したような、なんとも言えない心臓の高鳴りだ。
おれは耐えきれずクルリと綾斗に背を向けると、ペットボトルの水に口をつける。
「ーーアキ、ペットボトルのフタが開いてない」
「……うっ」
綾斗に指摘され、おれはマゴマゴしながら蓋を開けると漸く水を飲む。
本当に、今日のおれはどうかしてしまったらしい。
それもこれも全部綾斗のせいだ。
おれは心の中で自分勝手にそう決めつけると、ため息をついた。
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