転生したらBLゲームの攻略キャラになってたんですけど!

朝比奈歩

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パパラッチフィーバー!

パパラッチフィーバー!15-3

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騒ぎに気がついて逃げられないように、VIPルームの入り口を一哉と清十郎が塞ぐ。
「まず、ここは今『おれたち』が居ると目撃情報があったクラブです」
にわかにおれたちの周りがざわつきはじめた。
どうやらおれたちに気がつきはじめたようだ。
当然かもしれない。
おれたちは照明でしっかり光を当て顔を出し、尚且つ公式チャンネルから中継しているのだ。
多少の変装はしているが、ファンにはわかるだろう。
対して、偽物の中継はわざと暗くして変装した状態で、声もボソボソと喋るだけ。
どちらが本物かは一目瞭然だ。
「今もなぜか公式外でライブ中継をしてますよね?……というわけで、今からVIPルームに突入したいと思います!」
おれたちはVIPルームの入り口へ向かうと、スタッフに止められる。
「お客様、ここから先はVIPルームでして……お借りいただいたお客様以外の入場はお断りさせていただいております」
「うん。知ってる」
そう言うと、おれは帽子と眼鏡を取り変装を解いた。
同じように秋生と嘉神も変装を解く。
その様子にスタッフは驚いたように目を見開いた。
「だって、借りたのおれたちでしょ?入っていいよね?」
「え?あ、はあ……」
スタッフはまったく訳がわからないと言った様子でドアから離れる。
その様子もしっかり敦士がライブカメラに収めている。
「ありがと」
おれたちはそう言うと、容赦なくVIPルームのドアを開けた。
部屋の主は驚いてこちらを見る。
そこには、果たして数人の撮影班に囲まれたおれたちの偽物の二人がいた。
「おい、ここはおれたちが借りたVIPルームだぞ!部外者は……」
そこまで言って、撮影班の一人はポカンと口を開けた。
当たり前だ、突然おれたち本物が現れたんだから。
「さっき入り口のスタッフにも言ったけどさ、この部屋を借りたのは『おれたち』なんだろ?だったら部外者じゃあないよな?」
秋生がニヤリと笑いながらそう言う。
初めて見た偽物は、たしかに髪型や服装など、遠目に見れば似ている。
しかし、近くで見れば全くの別人だ。
よくある「あー、A’sの秋生にちょっと似てるね?」って言われる程度の姿。
照明に照らされた彼らは動画でも一発で偽物だとわかるだろう。
「不思議なことに、おれたちが二人います!」
おれはカメラにむかってそう言うと、ポカンとしていた偽物はハタと気がつき、大慌てで逃げ道を探す。
しかし、VIPルームの入り口は他のメンバーがしっかりと塞ぎ、逃げ場がない。
諦めたように偽物はその場に頽れた。
「はは、こいつらのユーチューブライブ、今コメント欄大荒れだぜ!」
偽物のユーチューブライブを監視していた翔太がそう言う。
「逆に公式は大盛り上がりだ」
一哉は楽しそうにそう笑った。
「せっかくだし『おれたち』にインタビューしてみようぜ!」
秋生がそう言うと、ズンズンと近づく。
偽物はすっかり意気消沈し、怯え切ったように震えている。
「なあ……おれたち別に怒ってない……事もないが、まあ、今更責めるつもりはない。なんでこんなことしたんだ?」
秋生が質すと、偽物は帽子やサングラスを取り、自ら素顔を晒すと、ぽつりぽつりと経緯を話しはじめた。
曰く、そもそもは二人ともおれたちの熱烈なファンだったと言うこと。
「最初は……もともとおれたちはお互いLINさんと秋生さんのファンで、それぞれのなりきりファッションを楽しんでいました……それが、お二人の仲良さそうな投稿を見て、テンションが上がってしまって……」
おれの偽物はそこで口を止めると、秋生の偽物が跡を引き継ぐ。
「ちょっとした出来心で、二人でなりきって仲良さげな写真投稿をするだけのつもりでした。もちろんおれたちが本物だなんて言うつもりもなく」
それが、ひょんなことから二人の投稿がバズってしまった。
二人は驚いたが、そこで火がついてしまった。
そのままおれたちになりきって、目撃情報として二度目の投稿をあげる。
再びバズり、それに気を良くした二人はインタビューとして二人のユニットを発表した。
それがこんな問題に発展するとは思いもせずに。
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