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一緒にご飯を食べよう!
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私は玄関を閉めると、外履きのサンダルを脱ぎ捨て、慌てて子狐くんの後を追いかける。
そして台所に着いたとき、子狐くんはちょうど出来上がった頃合いの私の夕食が入っている鍋を見上げていた。
今日の夕食に作った、雑炊が入っている鍋は美味しそうにくつくつと音を立てている。子狐くんは目を輝かせて鍋に熱い視線を送っている最中のようだ。
「ねえ、沙耶! あれちょっと食べてみてもいい!」
「ん? 別にいいけど、でも熱いよ。大丈夫かな…」
「うん! それは平気。気をつけて食べるから」
「それじゃ、ちょうど明日も食べるつもりで少し多めに作ってあるから、良かったら一緒に食べてみる」
「わ~い。やった― 凄く楽しみだな」
子狐くんは、嬉しそうにふさふさの尻尾を大きく振って、ぴょんと跳びはねたのだ。
神様の御使い――見習い子狐くんの食生活は、どうやら野山にいるふつうの狐と同じと考えてもよさそうだ。
お供え物の油揚げから考えてみても、人間の食べ物はもちろん食べるし野山で暮している狐と同じように、ネズミも大好物のようだ。
私は子狐くんが食べやすいように、少し深めの柔らかで丸い曲線を描く器を用意する。
戸棚を見てみるとたくさんの器があったが、その中で私はこれを選んだ。どうやらお祖母ちゃんが昔使っていたようで…陶器のちょっと高そうな器のようだ。私はそれを水場で丁寧に洗い清潔な布で拭くと綺麗にする。
神様の正式な御使いを目指す子狐くんが使う器としては、相応しい気がする。
子狐くんが使うなら死んだお祖母ちゃんも許してくれるはず。
子狐くん専用の器を用意すると、鍋から雑炊を二すくい。そっと子狐くんが食べる器へおたまでよそう。その時、ちょうど食べごろになっている半熟の卵も入れてみた。
雑炊をよそった器を近くに置くと、子狐くんは目を輝かせていた。
私も自分の雑炊をいつも使う器に入れると、
『いただきます!』
一人と一匹の声が重なり、同時に食べ始める。
子狐くんは、一番熱い真ん中を避けるように端の方から円を描くように少しずつ、美味しいそうに雑炊を食べていった。
私は自分のあつあつの雑炊を食べつつ、その光景を見ながら心が温かくなるような、ほっこりした気分になっていったのだ。
そして台所に着いたとき、子狐くんはちょうど出来上がった頃合いの私の夕食が入っている鍋を見上げていた。
今日の夕食に作った、雑炊が入っている鍋は美味しそうにくつくつと音を立てている。子狐くんは目を輝かせて鍋に熱い視線を送っている最中のようだ。
「ねえ、沙耶! あれちょっと食べてみてもいい!」
「ん? 別にいいけど、でも熱いよ。大丈夫かな…」
「うん! それは平気。気をつけて食べるから」
「それじゃ、ちょうど明日も食べるつもりで少し多めに作ってあるから、良かったら一緒に食べてみる」
「わ~い。やった― 凄く楽しみだな」
子狐くんは、嬉しそうにふさふさの尻尾を大きく振って、ぴょんと跳びはねたのだ。
神様の御使い――見習い子狐くんの食生活は、どうやら野山にいるふつうの狐と同じと考えてもよさそうだ。
お供え物の油揚げから考えてみても、人間の食べ物はもちろん食べるし野山で暮している狐と同じように、ネズミも大好物のようだ。
私は子狐くんが食べやすいように、少し深めの柔らかで丸い曲線を描く器を用意する。
戸棚を見てみるとたくさんの器があったが、その中で私はこれを選んだ。どうやらお祖母ちゃんが昔使っていたようで…陶器のちょっと高そうな器のようだ。私はそれを水場で丁寧に洗い清潔な布で拭くと綺麗にする。
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子狐くんが使うなら死んだお祖母ちゃんも許してくれるはず。
子狐くん専用の器を用意すると、鍋から雑炊を二すくい。そっと子狐くんが食べる器へおたまでよそう。その時、ちょうど食べごろになっている半熟の卵も入れてみた。
雑炊をよそった器を近くに置くと、子狐くんは目を輝かせていた。
私も自分の雑炊をいつも使う器に入れると、
『いただきます!』
一人と一匹の声が重なり、同時に食べ始める。
子狐くんは、一番熱い真ん中を避けるように端の方から円を描くように少しずつ、美味しいそうに雑炊を食べていった。
私は自分のあつあつの雑炊を食べつつ、その光景を見ながら心が温かくなるような、ほっこりした気分になっていったのだ。
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