ヤンデレ王子が「君を迎えにきた」と言って結婚式をぶち壊しに来ました。可愛かった幼なじみはどこですか?

白ヶ音 雪

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3話

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「待って、エリオット……! ッん……、駄目よこんなこと……」
「駄目じゃない」

 圧しかかられ、ドレスをはだけられ、何度も首筋や胸元に口づけを落とされる。それどころか、エリオットはドレスのスカートの中にまで指を忍ばせ、柔らかな太腿をしつこく撫で回した。
 触れられるたびにその場所に甘い疼痛を感じながら、ローズマリーは息も絶え絶えにエリオットを押しのけようと試みる。

 けれど彼の腕や胸板は、子供の頃のか弱さが嘘のようにがっしりと逞しく、ローズマリー程度の力ではびくともしない。

「誰か……んんっ」

 ならばと、使用人を呼んでエリオットの凶行を止めてもらおうと声を上げたが、すぐに唇を手で塞がれて阻まれた。

「君は今、自分がどんな格好をしているか分かっている? それとも、こんな姿を誰かに見られることを望んでいるの?」
「なっ――」

 思わず言葉を失うローズマリーの耳元で、エリオットがひそやかに囁く。

「男に覆い被さられて、胸元はキスマークだらけ。その上、その男の手をドレスの中に侵入することまで許してる」

 彼が口を開くたび、耳に湿った吐息がかかり、ローズマリーは妙な声が出そうになるのを必死に堪えながらキッと相手を睨み付けた。


「許してなんか、ないわ……っ」
「だけど、周囲からはきっとそうとしか見えない」

 それは脅しだった。この恥ずかしい姿を見られたくないのなら、大人しく自分のやることに従えとエリオットは言っているのだ。

「テッド……! 助けてテッド! んむっ……」

 その手には乗るものかと、先ほど出て行った護衛の名を呼んだローズマリーだったが、再び唇を塞がれ遮られる。
 しかも今度は手のひらではなく、相手の唇で。

「……僕の目の前で、他の男の名前を呼ばないで」
「ッ……」

 底冷えするような低い声に驚き、瞬きを繰り返している間にも、エリオットは再びローズマリーに口づけしてくる。
 家族の挨拶として頬にキスされたり、儀礼的に手の甲に口づけされたりすることはあった。けれど、唇同士の口づけは、ローズマリーにとって初めてのことだった。

 柔らかく湿っていて、温かくて、強引で、押しつけるような口づけ。
 やがてエリオットは舌で強引にローズマリーの唇をこじ開ける。口内に、温かな何かが侵入してきた。すぐにそれが舌であると気づけなかったほどに、ローズマリーは男女の性知識について無知だった。

 家庭教師から初夜の知識についてある程度習ってはいたものの、それは実際に行われることの表面をなぞった程度の、とても簡単な教えだ。
 どこの家庭でもそうであるように、最後には必ず「旦那さまにお任せすれば心配ありませんよ」と締めくくられるようなものだった。

(キスの時に舌を入れるなんて、知らない……!)

 舌で口内をまさぐられるたび、ゾクゾクとした未知の感覚が背筋をせり上がってくるのも、肌が粟立つのも、腹の奥が疼くような感覚を訴えてくるのも。
 歯列をなぞられるのも、口蓋をくすぐるように舐められるのも。
 
(男女のキスが、こんなに淫らなものだったなんて)

 何もかも、ローズマリーにとっては初めての経験だった。

「ん、ぅ……んんっ……やめ、エリー……っ。こんなの間違ってるわ……!」

 口づけの合間に訴えるが、エリオットはまったく聞き入れてくれなかった。

「やめないよ。それにローズマリーは、あの男と初夜でこういうことをするつもりだったんでしょう? だったらその相手が僕でも、なんの問題もないじゃないか」
「彼は――わたしの夫になる人で……」
「自分の母親が君をふしだらな女と責め立てていた時、青白い顔で俯いておどおどするしかなかった男が、君の夫? ははっ、笑えるな!」

 エリオットが顔を上げ、さも愉快そうに片手で目元を覆う。棘のある物言いはローズマリーの知る優しい彼とはまるで違って、別人のようだ。

「エリー……?」
「気弱そうな表情に、凡庸な見た目。その上、花嫁を庇う気概もないつまらない男。あんなやつが君の夫になろうとしていただなんて」

 そこで一旦言葉を切ると、エリオットは目元を覆う手のひらを軽く広げ、その隙間から青い瞳を覗かせてローズマリーを鋭く射貫いた。

「――まったく反吐が出そうだよ、マリー」


まるでその場の温度が、途端に下がったような心地だった。
 ひゅっ、と空気を飲む鋭い音が、喉の奥で響く。
 これは、誰なのか。この突き放すような、冷酷で残虐な目の色をした青年は。先ほどまで、確かに彼はローズマリーの友人エリオットの顔をしていた。だけど今の彼は、纏う雰囲気も声色も眼差しも、すべてが違う。

 青ざめ、凍り付くローズマリーの目の前で、エリオットは自身の首元を彩るタイをしゅるりと解いた。

「正直言って、僕は君にも怒ってるんだよ。……必ず迎えに行くって約束したのに、どうして別の男と結婚なんてしようとしたの?」
「し、知らない……そんなの……」
「そう、あくまで白を切るつもりなんだね。だったら、こっちも容赦はしないよ」

 唇は弧を描きながらも、その目は完全に笑みを消していた。
 エリオットが、自らの着ていたシャツの胸元をはだける。そこから覗く胸板はしっかりと筋肉が付いていて厚く、彼がかつての弱々しい少年ではないことを如実に物語っていた。
 彼はそのまま、中途半端にはだけていたローズマリーの衣服の胸元を乱暴に引き裂く。

「きゃぁあッ!」

 ピリィッと絹の裂ける甲高い音と、ローズマリーの悲鳴が重なる。それと同時に、ふるりと二つの乳房がこぼれ出た。
 惜しげもなく晒された白い双丘を前に、エリオットの喉がごくりと上下する。

「すごく……綺麗だ、ローズマリー」
「だめ、見ないで……! 見ちゃ、いや……」
「駄目だよ、ちゃんと見せてくれないと。君は僕の花嫁なんだから」

 ローズマリーの制止などものともせず、エリオットは手を伸ばし、右の胸を手のひらに収めた。軽く力を加えてやわやわと揉みしだき、まだ柔らかな先端を指先で優しく捏ねる。

「いやっ、あ……あっ……」

 触れられている内に、じん、と甘い痺れが胸を中心に全身に広がっていく。自分でも聞いたことのないような甘ったるい声が零れ、ローズマリーは自然と腰をくねらせ、与えられる快感から逃れようともがいた。
 けれど、エリオットは決して逃してはくれない。
 もう片方の胸に唇を寄せ、まるで赤子が乳を求めるようにしつこく吸い立てる。

「あ……あっ、いやぁ……、だめ、だめなの……っ」
「何が駄目なの? 君の胸、こんなに嬉しそうに勃ち上がってるのに」
「っぁあ!」

 一方の胸を丹念に揉まれながら、もう一方の胸もじゅっと音を立てて吸い上げられる。薄紅色だった先端は今や薔薇色に染まり、男を誘うように固く勃ち上がっていた。
 真っ白な胸の中央で色づく、淫らな果実をエリオットは丹念に愛撫する。
 舐めて、吸って、甘噛みして、舌で押し込んで、嬲り尽くす。

 そうされている内に、ローズマリーの中に甘い何かが溜まっていき、やがて一際強く吸い上げられると同時に、身体の内部で泡のように弾けた。
 身体がびくりと跳ね、頭の中が一瞬真っ白に染まる。身体の中心からとぷりと何かが零れるような感覚があり、慌てて両足を閉じようとするも、間にエリオットの身体があるためできなかった。

「可愛い。達したんだね」

 嬉しそうに、エリオットが微笑む。
 先ほどの衝撃的な現象の後遺症で朦朧とするローズマリーは、覚束ない声で彼の言葉を繰り返した。

「達する……?」
「いく、って表現することもあるみたいだけど……。快感が許容量を超えた時にそうなるんだよ」

 快感。気持ちいいということだ。
 けれど、ローズマリーがこれまでに経験した快さや心地よさとこれとでは、まったく種類が違う。

「ほら……君のここも、物欲しそうに濡れてるでしょう? 早く僕のものをぶち込んでほしいって、君が望んでる証だよ」
「ぶ、ぶち……?」

 貴族令嬢として生きてきた上で、ほとんど耳にしたことがない下品な言葉に目を剥いてしまう。 
 その間に下着の隙間を割って、エリオットの指が秘めた場所に触れる。くちゅりと濡れた音が上がり、エリオットの口の端が満足そうにつり上がった。

「やだ、そんなとこ……!」
「だけどここに触れないと、子作りできないよ。初めては痛いものだって聞くけど、出来る限り解してあげたいし……」
「子……ッ!?」

 色々ととんでもない言葉を言われた気がするが、中でも最もローズマリーを驚かせたのはその言葉だった。
 エリオットはローズマリーの結婚を破談にした上、身体を蹂躙しようとするばかりか、子供まで孕ませようと言うのか。

「お願い、やめてエリオット……!」
「何度も同じことを言わせないで。絶対にやめないよ」

 エリオットの指が下着の紐をはらりと解き、秘められた場所を無防備にする。
 悲鳴を上げても、拒絶の声を上げても、そのすべてをエリオットは無視して強引にことを進めていった。

 濡れた場所に指を突き入れ、ゆっくりと前後に動かす。
 ちゃぷちゃぷと水たまりに足を踏み入れたような音が上がり、そのあまりの淫らさに頬が熱くなる。

「いやぁぁっ、あ、あン……っ」
「……可愛い声。もっと聞かせて」

 エリオットの指先が、繊細な内襞を甘くくすぐる。そのたびにローズマリーの唇からはあられもない嬌声が上がり、エリオットが満足そうに口角を釣り上げる。
 エリオットの指は、かつてローズマリーよりも細く、すぐ折れる小枝のように細かったはずだ。
 けれど今、ローズマリーの中をまさぐる彼の指はごつごつと骨っぽく、大人の男性らしい感触をいかんなく伝えてくる。

「あぁっ、あっ、んぅ……っ」
「ほら、ここはどう? 中よりも感じやすいでしょ?」
「ぅあっ……!」

 エリオットが触れたのは、丁度彼が指を埋めている場所の少し上。ローズマリー本人ですらほとんど意識したことのない、小さな突起だった。
 濡れた指でくるくると優しく撫でられ、胸を愛撫された時の比ではないほどの快感がせり上がってくる。

「いや、だめ、やめてぇ……!」

 堪えきれない掻痒感にも似たその感覚に、ローズマリーは目を潤ませながら懇願した。これは駄目だ。このまま触られ続ければ、きっと自分はおかしくなってしまう。
 それなのにエリオットは満足そうに目を細めるばかりで、決してその場所をいじることを止めてはくれない。
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