包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 パーティでライターに捕まって、後日雑誌のインタビューを受けることになってしまった。

「奥様はどういう存在ですか?」
 洋服の雑誌なのにいきなりその質問に面食らう。
 確かに、世の中的にはそちらのほうが知りたいのだろう。歳の差の離れたおじさんと美女。
 失礼な質問ばかりで、おじさんなのに泣きたくなった。


 パーティに連れて行ったのは妻であるからなのに、仕事復帰と捉えられたのかよのぎさんへの仕事の依頼が前事務所に殺到。

「僕のところにも連絡が来たよ」
「ごめんなさい」
 実際にあのドレスは似合っていた。襟足が結構開いていて、目のやり場に困った。

 よのぎさんの写真を載せると雑誌の売り上げが伸びると編集者も話していた。
 これから伸び盛りというときにささっと引退して、まだ時代に求められているのかもしれない。

 すぱっと辞めたからファンの人が喜んでいる。
『女神』
『内面の美しさが滲み出ている』
 いや、よのぎさんの内面なんて夫の僕でもわからないけど。たぶんちょっと変態。

 SNSをやらないからわからないけど、決めつけられている気がする。
『金につられて結婚したようだけど、夫婦仲良さそう』
 良さそうではなく良い。前半のことは知らん。


 取材を受けた雑誌の献本が届く。
 よのぎさんの存在について、僕はこうライターさんにこう答えていた。

『妻さんは当たり前に恋しいですね』
 外では『妻さん』と呼んでいるらしい。
『かわいいし、愛しい。すぐに会いたくなるから、これ以上彼女の話をするなら帰っちゃいますよ』

 それを読んでよのぎさんは、
「七さん、それでなくても私たち二人とも顔バレしてるんだから、こんなに恥ずかしいこと答えないで」
 と顔を手で覆った。

「あ、ごめん。嫌だった?」
「嫌じゃないけど、僻まれちゃう」
「ははっ。こんなにきれいな奥さんがいるんだから既に僻まれてるよ」
 それでも君が好きだし、よのぎさんとこの甘々生活を続けたい。

「世の中には悪い人もいるんです。私、七さんがお金持ちだから結婚したって思われたくない」
「周りのことなんてどうでもいいけどな。僕ら二人がわかっていればよくない?」
「すぐそうやって正論で言い包めるんだから」
「よのぎさんが僕のどこが好きなんだろうってたまに思うよ」
 肩ではなく、胸に寄りかかって来た。そのまっすぐな愛にたじろぐ。

「否定をしないところかな。自分にも私にも他の人にも。きっとモテるんだろうなって心配になります」
 それは羽切さんのことを指しているのだろう。君はそっと僕にくっつくのに僕はぐっと抱き締めてしまって、今が永遠ならいいのにって思う。


 周囲の恋愛事情はさっぱりのようだった。由愛ちゃんは仕事のせいで恋人と別れ、黒田くんと旗本さん以外は社内恋愛もなし。今の若い子が恋に興味ないというのは本当らしい。
 どうして自分は大丈夫だったのだろう。選ばれた。そのことが誇らしくて、今日もなんだか世界が眩しい。
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