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11.お祭りで売り子の手伝い
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元気になったので、次は楽な仕事がいいと思っていたけれど、人手が足りないその日限りの売り子なんて、本当に楽。命の危険性がないのが一番。
「いらっしゃいませ」
お祭りでクッキーを売るお手伝い。
「キリーナ、その服に合ってるぞ」
ライゾン様だった。私はちょっと昔の衣装を着ている。白いシャツに赤いベスト、スカートの上にエプロン。
「いらっしゃいませ。お味見どうぞ」
試食を渡そうとすると、
「味見はいい。一種類ずつくれ」
とどれだけあるのかも知らずに注文だけする。
「はーい」
一枚が私の手のひらほどあるクッキー。ナッツ入りとチョコチップが私のおすすめ。
ライゾン様が私にこの仕事を振ったのは、恐怖を拭うためだろう。人と接して免疫をつけ、悪い人ばかりではないと教えたいようだ。大丈夫、もうわかってる。
「170ヌボールです。ありがとうございます」
とライゾン様を見送る。その背にもう恐怖はないと伝えたい。
「キリーナちゃんは計算も早くて愛想もいいからいつでもお嫁においで」
と店主の奥さんは言ってくれるが、息子は私よりもずっと子ども。愛想がいいのは奥さんのほう。旦那さんがお店で焼いたクッキーを運んでくるが、飛ぶように売れる。
いいな。おいしいから売れる。売れるからおいしいものを丁寧に作る。わかりやすくていい。
お祭のお手伝いでは私以外にもライゾン様の会社の人が手伝いに来ているようだった。奴隷商をやめてお仕事あっせんだけでは商売にならないのかしら。裏家業をするにも表の仕事はもっとましなほうがいいと思うのだけれど。
ライゾン様は奴隷のその後まで気にかけている。一年に一度は買い手のみならず本人と手紙などのやり取りをしているらしかった。手紙が読めない人には会いに行ったり、人を使って様子を窺ったりしている。少し前まで奴隷の扱いは本当にひどかった。ごはんを与えられず労働力とされたり暴力を振るわれたり。ライゾン様はそれを改善したいのだと思う。だから堂々と奴隷商をしている。さすがに国外へ渡った人には連絡を取らない。裏家業で誰かに嫁いだり愛妾になった人とも連絡をきっぱり絶っているようだ。それがお互いのため。
隣りはお花屋さん、向かいはお野菜を売っている。そのとなりはカフェかしら。通常のお店の前にも出店がぽつぽつ。
「いらっしゃいませ。おいしいクッキーですよ。いかがですか?」
お客さんを呼び込むために私も声を振り絞る。
「見ない顔だね。かわいい」
そう言われるのは嫌じゃないけど、あの小太りのせいですっかり男の人が怖い。この恐怖、いつまで続くのかしら。
「あんたたち、買わないならあっちにお行き」
店の奥さんがしつこい人を追い払ってくれる。かわいいのは得なことばかりじゃない。普通が一番。
「いらっしゃいませ」
お祭りでクッキーを売るお手伝い。
「キリーナ、その服に合ってるぞ」
ライゾン様だった。私はちょっと昔の衣装を着ている。白いシャツに赤いベスト、スカートの上にエプロン。
「いらっしゃいませ。お味見どうぞ」
試食を渡そうとすると、
「味見はいい。一種類ずつくれ」
とどれだけあるのかも知らずに注文だけする。
「はーい」
一枚が私の手のひらほどあるクッキー。ナッツ入りとチョコチップが私のおすすめ。
ライゾン様が私にこの仕事を振ったのは、恐怖を拭うためだろう。人と接して免疫をつけ、悪い人ばかりではないと教えたいようだ。大丈夫、もうわかってる。
「170ヌボールです。ありがとうございます」
とライゾン様を見送る。その背にもう恐怖はないと伝えたい。
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と店主の奥さんは言ってくれるが、息子は私よりもずっと子ども。愛想がいいのは奥さんのほう。旦那さんがお店で焼いたクッキーを運んでくるが、飛ぶように売れる。
いいな。おいしいから売れる。売れるからおいしいものを丁寧に作る。わかりやすくていい。
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「いらっしゃいませ。おいしいクッキーですよ。いかがですか?」
お客さんを呼び込むために私も声を振り絞る。
「見ない顔だね。かわいい」
そう言われるのは嫌じゃないけど、あの小太りのせいですっかり男の人が怖い。この恐怖、いつまで続くのかしら。
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