彼と私は時々キスをする

美衣

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2章

進展

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2ヵ月ぶりにこの駅に降りるなぁ……。
なんか、すごく久しぶりな感じ。

私は2ヶ月前まで当たり前に歩いていた自分の店への道を、どこか懐かしい気持ちで歩いていた。
店の自動ドアの前に立つと、受付付近に立っていた_真琴まことが、私を見るなり驚いた顔をして奥に走って行ってしまった。

私は幽霊かよ…。

そんな事を思いながらわたしはお店の自動ドアを通り、店内に入った。


「いや、本気マジなんですって!!」


壁で見えないけれど、向こう側から懐かしい声が聞こえる。


「はーー?日下部さんは3ヵ月行ってるの!まだ2ヵ月しか経ってないんだから。もー、その嘘何回目?」


どうやら真琴まことと他のスタッフが言い合いをしているらしい。私が帰ってきたとか来てないとか?
そして、過去にそれについて嘘をついたことがあるらしく誰も信じてくれないらしい。

な、なんだよ……それ……っ

状況を想像したら顔が緩んできて、必死に真顔を作った。なんて事も無かったかのように登場したくて、涼しい顔で奥にあるスタッフルームに向かおうと歩くと、途中のフロアに懐かしい顔ぶれが揃って朝の掃除をしていた。懐かしいと言ってもたった2ヵ月なのだけれど。


「えっ」


掃除の手を止め、全員がきょとん顔で私を見てきた。


「…………ちゃ、ちゃお!」


「ほらーーーー!本物の日下部さんっすよーーー!だから、言ったじゃないですか俺ーーーーーー!!!」


「えっ!…え?………え?え?え?」


彼が1番驚いていた。

まぁ、驚かせたくて、誰にも言わずに帰ってきたのだけれど。
もちろん、彼にも。


「えへへ、帰ってきちゃった」


「いやいや、お前……え?いや、だってお前、昨日のメールでは何も……」


「いやー驚かせたくて。今日まで言わないでいるのきつかったんだよ?」


私は彼の驚いた顔とその反応を見られて満足し、そしてまた、この空間で一緒に過ごしていることに嬉しさが込み上げてくる。自然と顔が緩んだのが自分でもわかった。


「いや、えへへって…お前……。」


彼はまだ、この状況についてきていないようで混乱の色が顔から抜けない。その顔すら、今は私を喜ばすのだけれど。


「あーびっくりした。あ、でも日下部さん!今日、佐藤さんくるからちょうど良かったです!!日下部さんしか嫌だって言い張るから、正直どうしようかと思っていたんですよ」


私が急に登場したことにより、途中になってしまった受付の仕事に戻った真琴が、予約表を見ながら、大きい声を出す。


「あ、ほんと?じゃあ本当にタイミング良かったわ。今日から完全にこっちに戻ってくるからさ」



そうして、自店に戻った私は、いつも通り仕事をして彼との秘密を増やしていき、変わらない日常をまた続けていった。













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