彼と私は時々キスをする

美衣

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2章

秘密Ⅴ

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「ねぇ、お願い。電気つけないで……」


「電気つけなきゃ、俺が洗えないよ。大丈夫、泡風呂だから見えないって」


そう言って彼は、浴室の照明を少し暗くしてくれた。一矢纏いっしまとわぬ姿で浴室に入ってきて、シャワーのお湯を出す。静かだった浴室に勢いよく出る水の音が響いた。


「それに、志乃は泡があるから見えないだろ。恥ずかしいのは、俺の方だよ。」


は、はずかしい……。

私は彼の姿を見てさらに恥ずかしくなり、背中を向け壁側を向いた。彼は暗くしてくれたけど、なかなか身体のラインが分かるほどにはまだ明るい。
私は浴槽の水面を手の平で何度も弾いた。


「え?なになに、なにしてるの?」


私が弾いていたバシャバシャという水音は出しっぱなしになっているシャワーの音にも勝るほどに浴室内に響いて、彼から困惑の声が漏れた。


「あ、泡をね?もう少し復活させようかなー…って」


自分の今の行動を説明させられると恥ずかしくなる。ちらりと彼の方を振り向くと、彼はちょうど頭を洗っている時だった。泡が目に入らないように目をつむっている。
視界がさえぎられている状態でいきなりバシャバシャと音がしたから、あんなに変な声を出していたのか。


「………ふふっ」


彼の心情を想像したら笑いが漏れてしまった。笑ってから、彼に聞こえてしまったかと心配になったが、シャワーの音が凄くてその心配はすぐ消えた。

彼はシャワーを手に持ち、頭からお湯を流す。
……私が先に入る形にして良かった。洗っている状態をこんなふうに彼に見られたらとてもじゃないけどその後一緒に過ごしていられない。




一緒に入ろうと誘ってくれた泡まみれの彼を浴室に残し、わたしは部屋を出て扉をしめた。


「いやいや、なんで」


「高城さんが、先入ってよ。一緒に入るなんて、恥ずかしすぎる……!!」


「泡風呂なんだから見えないだろう。なにが恥ずかしいの」


高城さん……力、つっよ……!!!!

この浴室に繋がる扉は引くタイプで、お互いが引き合って私は閉じるのを、彼は開くのを求めた。当然彼の方が力強いので簡単に開けられてしまうのだけれど…。


「……わぁっ!!」


勢いよく開いた扉くっ付いて行ってしまった際で、開いた先にいる彼の胸にダイブした。

力では勝てない……。こうなったら、説得しか……


「洗ってるとことか…見られるの嫌だし……。入る時に、裸だって見られちゃうし……」


「なんだ、そんなこと。それなら志乃が先に入れば良いよ。洗い終わって湯船に浸かって落ち着いたら呼んで?そしたら、俺入るから」


………あれー?


「って言うか、もともとそのつもりだし。風邪ひくから早く入ってきて。」


そう言って、彼は脱衣所にあったバスタオルを1枚手に持ち、私を浴室に残し部屋を出ていった。
1人取り残された私は、予想だにしなかった展開にきょとんとするしかなかった。
………わかった事は、どうやら、一緒にお風呂に入ることは回避できなかったらしい事。
私は、諦めて服を脱いだ。
そうして先に体を洗い終え、湯船に浸かった状態で、彼を呼んだ。



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