僕の女装学校生活

玉串 ひとみん

文字の大きさ
3 / 9

2. 転入生は女子になりました。

しおりを挟む
---ユウ視点---




転入生である、吉里 優は、寝付けずに寝返りを打った。


「ウソだろ、初日からどうするんだよ……。」


ぼそぼそと独り言をいいながら、布団の中に身体を埋めた。パン屋の屋根裏部屋が、僕の新しい家であった。


「でもなぁ、今さら男です、とか……女友達の部分も否定するし、男同士でキスしてたって……頭おかしいだろ、自分で言うのもアレだけど!」


優は悶々と悩んでいた。実を言えば、男だ。もちろん、書類にもを丸にしたはずなのだが、教師は何かのミスだと思ったらしく、女子として制服を配給されてしまった。


「借金もあるし、新しいのをもらう余裕はないしなぁ……。」


ここの女子の制服は、スカートではなく、短いキュロットだった。何も気づかずに袖を通してしまったのだが、あとからキュロット(短パン)は女子用だと知った。しかも、この学校は相当なケチらしく、返品をしてもお金は戻ってこないらしい。貧乏学生には辛い話だ。


「それよりも! アランがキスなんてしなければ、まだ迷わないのに。」


アランは、剣や魔法の師匠として三年間教わってきた。彼は傭兵上がりのため、授業の時は騎士らしく振舞っていたが、かなり粗暴なところがある。鬱憤は溜まるらしく、優の修行を見ていた間は、他所で晴らすことができなかった。そのため修行の初めは、見た目がまんま可愛らしい女の子な優は、ハッキリ言って気晴らしのために、唇をよく奪っていた。


「まぁ下半身に手を出さなかっただけ、綺麗って言えばそうなはずなんだけれど。いや、一回以上身の危険は感じたっけ。」


アランは基本的に男を愛する趣味はないし、僕も断じてない。二人ともの方が好きなのだ。まぁ、どちらも華と言えそうなほどの、アランとしては絶世の美貌を、優は女子以上の可愛らしさを、持ってはいたが。


「でも今さら男ってカミングアウトしたら……。」


 下半身がどうであろうと関係なく、絶対に僕の趣味がおかしいことにされてしまう。世の中なんてそんなものだ。学生生活が詰みになる、お先真っ暗なのは目に見えた。


「……隠し通して過ごそう。」


決心を口に出す。大丈夫、無理に女として装わなくても、いつも間違えられているのだから。………認めて、自分で悲しくなってくるけれども。


「というか、どうしてアランはいっつもあんなに恥ずかしいことを……!!」


寝付けないもう一つの原因を思い出し、枕を思わず抱え込んだ。


「なんで授業に勝手にいるんだよ!? 権力の乱用だろ!!」


アランは三年間修行をつけてくれた師匠であるが、精神的な年齢はどっちが上なのかよくわからないような騎士将軍……というより、実力故にそれをそんな中身と釣り合わない称号を与えられてしまった、可哀想な『人間兵器』様だ。自称、戦場がAt Homeらしい。

彼とは今日から別れて暮らすことになったのだが、授業を勝手に乗り込んでいて度肝を抜かしてくれた上に、帰り際に再び告白とキスをされた。


「ありえないっ……!! もう何十回断ってると思ってるんだよ。僕は男興味ないのに。」


と呻きつつも、つくづくイケメンのドアップだったと感じる。口づけは、毎回惚れるほどに上手い。三年経ってふと気づくと、本気で優一人に狙いを定めているらしい。女癖が治りつつあると彼の同僚から聞いている。余計な努力だ。


『ねぇ。ユウが前に言ってくれたみたいに、俺様とは繋がってくれるんだろ? 信じてるからな。ちゃんと愛とともに手紙はくれよ。俺様にとって一番大事なハニーなんだから。』


耳に残った不気味だと否定したい、甘いボイスはまだ頭を離れず。「信じてる」なんて以前のアランにはできなかったことができてる成長に嬉しさを噛み締めつつも、一番なんて言わなくていいのに、と思う。僕は男なんだから。一番じゃなくていい。


「というか、ベッドってこんなに広いもんなんだな……。」


いつもベタベタと付きまとわれた三年間。ぽっかりと隣に空いたベッドの空間の広さに驚きを隠せない。なんだってこんなに広いんだ。

いつもなら背中の後ろにもう一つ温もりがあるのに、一人の温もりしか感じないんだと思った、この状況。認めたくないけど、寂しいと心なしか思ってしまう、そんな心情。


「ったく、なんでだよ。わけわかんないよ、僕自身のことが。」


だって男は興味ないんだよ? 一回もそういう目でアランのことを見たこともない。でも、人肌がないことに寂しいのだ。いつもあったものがないことに。


「忘れよ、とにかく寝るんだ。」


僕がようやく自由に僕の人生を歩めるんだから。きっとこれで正しいはずなんだ。


そう言い聞かせながら、優は布団をかぶり直した。


--- --- ---


読んでくださって、本当にありがとうです。

こういう書き方ありなのかな……一人称に慣れていないので結構不安です、説明不十分になってそう。端折ってそう。わからない点があったら、教えてください。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

お兄ちゃん大好きな弟の日常

ミクリ21
BL
僕の朝は早い。 お兄ちゃんを愛するために、早起きは絶対だ。 睡眠時間?ナニソレ美味しいの?

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

処理中です...