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ハーレム編
66話 初クエスト
胸を撫でおろしつつマホの胸を揉んでいると、ブレイダも柏手を叩きながら口を開いた。
「そういえば、そうだねえ。『アンペルマン』にいた頃は仕事が忙しくて、連絡もろくにできてなかったから、私もちょっと帰ろうかな。坊ちゃんもそうしたらどうです?」
「……うん。もうちょっとしたらって考えてはいたけど、確かにいい機会っちゃいい機会だよね。僕も仕送りするだけで、パパともママともあんまり連絡とってないや」
「わ、勇者えらっ。仕送りなんてしてるんだ?」
と、話に入って来たファイフに、ユーリは少し気恥しそうに、
「うん。まあ、月々800万くらいだけだけどね」
「『だけ』の使い方と庶民感覚バグらせんのやめてよ……。
ま、とにかく、実家がある人はちょくちょく帰ってあげたほうがいいよ。あたしなんかスラム出身で帰る家もないんだからさ。そういうのは大事にしたほうがいいって思うな」
暗い話カラカラと喋るファイフに、エンリエッタもうんうんと頷いている。彼女の家庭も複雑なので、帰郷に関しては思うところがあるのだろう。
そしてファイフは、触れづらい話題を先んじて口に出すことで、気まずい雰囲気になるのを未然に防いでくれたのだ。
その心遣いにも感謝しつつ、ユーリはファイフに向けて言った。
「ありがとう、ファイフさん。じゃあそうさせて貰うよ。久々に妹とも会いたいしね~」
「おう、帰れ帰れ! ……って、ん? 妹?」
「うん、妹。可愛い三つ子ちゃん。写真見せたことあったでしょ?」
「あるけど、あの子たちは妹っていうか……」
「妹、だよ」
遮るでもなく。声を尖らせるでもなく。
「あの三人は、僕の妹だよ。誰がなんと言おうとね」
ただ柔らかに笑いながら、ユーリはそう言った。
その言葉に一同は視線を伏せ──あるいは優しく微笑み、ファイフもなにかを察したように、『あ……』と、気まずそうな声を出してから、気を取り直したように呵々大笑と笑った。
「あっはっはぁ~! 誰もなんも言わないよ。いいよ、勇者! とっとと帰って、可愛い妹ちゃんたちにハグしてやんな!」
「うん、そうさせて貰う! でもファイフさんもスラムに顔出してきて欲しいな。実家はないって言うけどさ、あの辺がファイフさんの実家みたいなもんだと思うんだよね。みんなファイフさんに会いたがってると思うから、できれば顔出してあげて。
それとエリちゃんは実家に帰らなくてもいいけど、手紙かメールくらいはしてあげてね。君はあんまりご両親のこと好きじゃないかもだけど、向こうはエリちゃんのこと心配してるみたいだからさ」
「っしゃい!」
「はい……。でも、うぅ、やっぱり気まずいなあ~……。スタンプだけじゃダメですかね?」
「それだと逆になんか深読みされるくない?」
「じゃあチュムチュムのハートをプレゼントします! いまなら200コインついてくるし!」
「まだやってんだ、チュムチュム!」
そんな掛け合いを興じるファイフとエンリエッタから目を離し、ユーリはカリナとハンナのほうに顔を向けた。
「カリちゃむとハンナさんはどうする? 帰るなら一緒に行こうよ」
元はユーリの実家でメイド(兼御庭番、兼殺し屋)を務めていた彼女らである。里帰り、とまではいかずとも、懐かしい空気に触れることくらいはできるだろう。
そう思ったのだが、カリナとハンナは特に示し合わせた風もなく小さく首を振ると、
「カリナたちはいいや。旦那様と奥様には、定期的に連絡入れらせて貰ってるしね~」
「それに、このお屋敷を空ける訳にもいきませんので、いい子にお留守番させていただきますわ」
「あ、それもそっか……。なんかごめんね?」
「お気になさらないでください……勇者様がお戻りになられたとき、たっぷりご褒美をいただきますので♡」
と、ハンナは唇に指を這わせ、カリナは胸元を強調するように寄せて見せた。速攻戻らせる気かな……などと思いつつその光景をガン見してから、煩悩を振り払うように首を振り、
「そ、それじゃあセイラさん。僕の実家……ライベルの町に戻るのは、僕とブレイダさんとセイラさんの三人ってことで。馬車の手配して貰えるかな?」
「かしこまりました。日程はどうなさいますか?」
「……んっん~。そうだな」
ユーリは女の子たちを見回してから、いつもの調子で大きく笑った。
「明日! 朝イチ! 速攻で行こう!」
──かくして。
『アンペルマン』改め『ハーレム・スクエア』の初クエストは、『里帰り』に決まったのだった。
「……ところで勇者。テメエ、いつまでボクのおっぱい揉んでる気だ?」
「明日の朝まで」
「……しょうがねえな」
「しょうがねえな!?」
「そういえば、そうだねえ。『アンペルマン』にいた頃は仕事が忙しくて、連絡もろくにできてなかったから、私もちょっと帰ろうかな。坊ちゃんもそうしたらどうです?」
「……うん。もうちょっとしたらって考えてはいたけど、確かにいい機会っちゃいい機会だよね。僕も仕送りするだけで、パパともママともあんまり連絡とってないや」
「わ、勇者えらっ。仕送りなんてしてるんだ?」
と、話に入って来たファイフに、ユーリは少し気恥しそうに、
「うん。まあ、月々800万くらいだけだけどね」
「『だけ』の使い方と庶民感覚バグらせんのやめてよ……。
ま、とにかく、実家がある人はちょくちょく帰ってあげたほうがいいよ。あたしなんかスラム出身で帰る家もないんだからさ。そういうのは大事にしたほうがいいって思うな」
暗い話カラカラと喋るファイフに、エンリエッタもうんうんと頷いている。彼女の家庭も複雑なので、帰郷に関しては思うところがあるのだろう。
そしてファイフは、触れづらい話題を先んじて口に出すことで、気まずい雰囲気になるのを未然に防いでくれたのだ。
その心遣いにも感謝しつつ、ユーリはファイフに向けて言った。
「ありがとう、ファイフさん。じゃあそうさせて貰うよ。久々に妹とも会いたいしね~」
「おう、帰れ帰れ! ……って、ん? 妹?」
「うん、妹。可愛い三つ子ちゃん。写真見せたことあったでしょ?」
「あるけど、あの子たちは妹っていうか……」
「妹、だよ」
遮るでもなく。声を尖らせるでもなく。
「あの三人は、僕の妹だよ。誰がなんと言おうとね」
ただ柔らかに笑いながら、ユーリはそう言った。
その言葉に一同は視線を伏せ──あるいは優しく微笑み、ファイフもなにかを察したように、『あ……』と、気まずそうな声を出してから、気を取り直したように呵々大笑と笑った。
「あっはっはぁ~! 誰もなんも言わないよ。いいよ、勇者! とっとと帰って、可愛い妹ちゃんたちにハグしてやんな!」
「うん、そうさせて貰う! でもファイフさんもスラムに顔出してきて欲しいな。実家はないって言うけどさ、あの辺がファイフさんの実家みたいなもんだと思うんだよね。みんなファイフさんに会いたがってると思うから、できれば顔出してあげて。
それとエリちゃんは実家に帰らなくてもいいけど、手紙かメールくらいはしてあげてね。君はあんまりご両親のこと好きじゃないかもだけど、向こうはエリちゃんのこと心配してるみたいだからさ」
「っしゃい!」
「はい……。でも、うぅ、やっぱり気まずいなあ~……。スタンプだけじゃダメですかね?」
「それだと逆になんか深読みされるくない?」
「じゃあチュムチュムのハートをプレゼントします! いまなら200コインついてくるし!」
「まだやってんだ、チュムチュム!」
そんな掛け合いを興じるファイフとエンリエッタから目を離し、ユーリはカリナとハンナのほうに顔を向けた。
「カリちゃむとハンナさんはどうする? 帰るなら一緒に行こうよ」
元はユーリの実家でメイド(兼御庭番、兼殺し屋)を務めていた彼女らである。里帰り、とまではいかずとも、懐かしい空気に触れることくらいはできるだろう。
そう思ったのだが、カリナとハンナは特に示し合わせた風もなく小さく首を振ると、
「カリナたちはいいや。旦那様と奥様には、定期的に連絡入れらせて貰ってるしね~」
「それに、このお屋敷を空ける訳にもいきませんので、いい子にお留守番させていただきますわ」
「あ、それもそっか……。なんかごめんね?」
「お気になさらないでください……勇者様がお戻りになられたとき、たっぷりご褒美をいただきますので♡」
と、ハンナは唇に指を這わせ、カリナは胸元を強調するように寄せて見せた。速攻戻らせる気かな……などと思いつつその光景をガン見してから、煩悩を振り払うように首を振り、
「そ、それじゃあセイラさん。僕の実家……ライベルの町に戻るのは、僕とブレイダさんとセイラさんの三人ってことで。馬車の手配して貰えるかな?」
「かしこまりました。日程はどうなさいますか?」
「……んっん~。そうだな」
ユーリは女の子たちを見回してから、いつもの調子で大きく笑った。
「明日! 朝イチ! 速攻で行こう!」
──かくして。
『アンペルマン』改め『ハーレム・スクエア』の初クエストは、『里帰り』に決まったのだった。
「……ところで勇者。テメエ、いつまでボクのおっぱい揉んでる気だ?」
「明日の朝まで」
「……しょうがねえな」
「しょうがねえな!?」
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