【完全版製作記念連載再開】金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師

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勇者辞めます編

2話 真面目で一途でクソヤリチン イラストあり

 勇者ユーリが引退宣言をした、その日の夜。
 ユーリはパーティメンバーのひとりであるセイラの家へと赴いていた。
 ユーリの自宅は現在、改装工事中であるため、ここ最近は彼女の家に寝泊まりしているのだ。

 勇者引退を宣言したその日である。
 当然、家の中は重々しい空気が漂って……。


「ユーくんユーくんユーくぅぅぅん♡ 今日一日会えなくて、セイラ寂しかったよぉ~♡」
「セイラちゃんセイラちゃんセイラちゃぁ~ん! 僕も寂しかったよぉ~! 三十秒に一回、セイラちゃんのお写真見てたよぉ~!」
「むふふ~♡ ユーくんはセイラのこと大好きだねぇ~♡」
「当たり前だよぉ~。基本的には毎秒セイラちゃん見てないと、死んじゃうんだよ僕?」
「ええぇぇっ! ユーくん、死んじゃやぁだぁ~! セイラも死んじゃうぅ~!」
「ええぇぇっ! セイラちゃん死んじゃやだぁ~!」

 ……重々しい空気が、漂ってはいなかった。
 ベッドの上でくっつきながら、めちゃくちゃイチャイチャしていた。
 ベッドルームに漂っていたのは、ゴリゴリのエッチな匂いだけだった。

 ふたりはその後も、バカップル全開でイチャつきつき──そしてやることもしっかりやりつつ、ベッドの中で身を寄せ合う。
 そのまましっぽりとした時間が流れ、セイラは不意にユーリへと語り掛けた。
 
「……ねえ、ユーくん」

 ユーリの胸板に顔を埋めると、彼はセイラの青い髪にほっぺたをくっつけながら、

「なぁに、セイラちゃん?」
「私さ、ユーくんのこと好きだよ」
「僕もセイラちゃんのこと大好きだよ」

 そこでキスを挟んでから、再びセイラは口を開く。

「私たち、産まれたときからずっと一緒だったよね。
 故郷の村にいたときも、ユーくんが神託を受けて勇者になったときも、勇者パーティとクランを立ち上げたときも、ずっと、さ……」

 そう。
 ユーリとセイラは幼馴染だ。
 故郷の村で同じ年に生まれ、同じものを食べ、同じ時間を過ごして育った。
 ユーリはかなり早い段階から勇者として見出されたが、セイラにも聖女としての才能があったため、ユーリのサポート役として傍にいることが許されたのだ。

 故に、産まれたときから、ふたりはずっと一緒だった。
 ユーリはセイラの頭を撫でながら、温かな笑みを広げる。

「うん。いまの僕があるのはセイラちゃんのおかげだよ。ありがとう」
「あ、そういう恩着せがましいこと言うつもりはないんだけど……」

 セイラはやや不安げに言った。

「……これからも。
 ユーくんが勇者を辞めた後も、ずっと一緒……だよね?」
「当たり前だよ」

 セイラの不安を打ち消すように、ユーリは間髪入れずにそう答え、そして彼女の身体を力強く抱きしめた。

「いままで散々助けてもらったのに、勇者を辞めたらどっかに放り出すなんて、そんな無責任なことするもんか。
 勇者辞めようが人間辞めようが、僕とセイラちゃんは、死ぬまでずっと一緒だよ」
「……ありがとう。嬉しい」

 ユーリの逞しい手に包み込まれながら、セイラはベッドサイドに置かれた小物に視線を馳せる。
 ビスクドールやガラス細工、ケリオールでは採取されない水晶など、そこには様々な土産品が陳列されていた。
 
 ユーリは遠方に行くときに、必ずセイラにお土産を買ってきてくれる。
 ときには名産品なども買ってきて一緒に食べ、そこで出会った吟遊詩人の話なども面白おかしく聞かせてくれる。
 ──ユーリは優しいのだ。

「でも、さ」

 思い出の品々に視線を馳せながら、セイラはやや声を固くして訊ねた。

「それでもやっぱり……私と、付き合ってはくれないん、だよね?」
「…………」

 そう。
 ふたりは交際関係ではない。

 幼馴染であり、勇者と聖女の関係であり、ビジネスパートナーであり、肉体関係まであるのに、交際はしていないのだ。
 極めて歪な関係性である。
 しかし、もちろん。
 それには深い──深い理由があるのだ。

「……そう、だね。うん……セイラちゃんと付き合うことは、できない……」

 シュボ、と、ブックマッチでタバコに火をつけ、その煙を肺に送り込むユーリ。
 ふたりが付き合えないのは、ひどく複雑で大変な理由があるからだ。
 タバコでは吸わなければ、そんな話はしていられない。
 紫煙が漂うシリアスな雰囲気の中、ユーリは重々しく口を割った。

「──だって僕、女の子大好きだから、めちゃくちゃ浮気しまくっちゃうもん!!」
「死ねええええええぇぇぇぇぇェェェェェェッ!!!!!!」

 ガヅッ! と、水晶でユーリの頭をぶん殴ってから、セイラはショートの青髪を掻きむしった。

「ねぇーもうホンット最悪! なんでこんなヤツ好きになっちゃったんだろう!?」
「イケメンでスタイル良くて金持ちだからじゃないかな!?」
「自分で言うな!! まあでもそれはあるけど!」
「あとあれ、ビジネスと体の相性が最高だったから!」
「もう喋らないで!! それもあるけど!」

 ユーリとセイラが初めて関係を結んだのは、かなり昔のことだ。
 お互いに初めてだった。
 当然、セイラはユーリと付き合うつもりでいたが、『いやぁ、そういうのはアレ……もっと大人になってから、とかじゃない?』と、のらりくらりとはぐらかされた。

 そうこうしているうちに、ユーリは他の女の子とも関係を持つようになった。セイラは何度も注意したが、ユーリの女癖の悪さは収まらず。

 それでも定期的に逢瀬を重ねるようになっていたので、そのままズルズルと関係が続き、なんとなく愛人的な距離感が定着してしまったのだ。

 セイラはベッドの上に割座すると、両手で顔を覆っておいおいと泣き始めた。

「ひどいよぉ! 私、ユーくんのために色々頑張ってきたのに! 一生懸命ついてきたのに! あんまりだよぉ! 責任取ってよぉ!!」
「ご、ごめんごめんごめん! そ、そうだよね! いつまでもこんな関係、嫌だよね!」

 と、タバコを押し消してからセイラの目の前に座り、その肩に手を置こうとするが、

「うぇーん! もうユーくんなんか知らない! 責任取ってくれないなら、死んでやるぅ!」
「…………」

 なんとなく、その泣き声に違和感を覚えた。

「…………」

 ユーリはセイラの両手をガッと掴み、グググ、と下げて顔から降ろしてみると、

「…………」

 彼女は涙など流していなかった。
 めちゃくちゃ真顔だった。

「…………」
「…………」

 セイラはセイラで、まあまああざとい系女子なのだった。
 ユーリは苦笑しながらセイラの頭を撫でると、

「あざと可愛い」
「そういうの嫌い?」
「ううん。好き」

 そう言ってセイラにキスをすると、そのまま彼女の身体を押し倒した。

「あぁん♡ ちょっとぉ、エッチなことしてはぐらかさないでぉ♡」
「えぇ~、じゃあもうしない?」
「やぁだ~♡ いっぱいするぅ~♡」

 そうして、なし崩し的に二回戦が始まるのだった。
 大体いつもこんな感じの流れになり、セフレ的な関係が続いている。
 勇者と聖女、などという大層な肩書きがついてはいるが、その実態は、ただのヤリチンとチョロい女なのだ。

 とはいえ、ユーリがセイラとの交際を断る理由は、他にもあった。
 それは……。

「あん♡ あ、ちょっと……♡」
「ああ、セイラちゃん!」

 なし崩しで始まったそれは、二回戦では終わらない。

 三回戦でも終わらない。
 四回戦、五回戦、六回戦でも終わらない。
 そうして、七回戦目を迎えようとしたとき、

「ご、ごめっ……もう、無、理……ッ」

 ──セイラは、バッタリとベッドに倒れ込んだ。

「……うわ! ああ、あ! ごめん! ごめんねセイラちゃん! つい夢中になっちゃって!」

 ユーリはセイラの身体を仰向けにして寝かせ、ベッドサイドにあった水をゆっくりと唇にあてがう。

 コクコクと細い喉を鳴らして水を飲むと、セイラは何度か深く呼吸をして、力なく笑った。

「う、うん。大丈夫。いつもごめんね? 最後までできなくて……」
「いや、僕の方こそ、ごめん。こんな化け物性欲で……」

 そう答えてから、ユーリも悲しげな笑顔を浮かべる。

「……僕の女癖の悪さが直ったとしても、やっぱり僕、セイラちゃんとは付き合えないよ。
 っていうか、他の誰とも付き合えない……。
 ……僕が本気出したら、女の子を壊しちゃうもん」
「……ユーくん」

 物心ついた頃から、ユーリの性欲は凄まじかった。
 絶倫といえば聞こえは良いが、本当に満足をしたことはなく、1人の女性に受け止められる性欲ではないことも自覚していた。

 ユーリはセイラのことが本当に好きだった。
 しかし、自分の性欲を全開にしてしまったら彼女を壊してしまう。
 好きだからこそ付き合えないというジレンマを抱えていた。
 そんなユーリの心中を察するように、セイラは彼の手をギュッと握り、

「で、でもいつか、それを受け止められるように、頑張るから……」
「……無理だよ。セイラちゃんが色んなトレーニングして頑張ってくれてること、僕知ってるもん。
これ以上はもう負担かけられない……」

 ユーリはセイラの手を握り返し──そして、その手を離してポツリと呟く。

「誰かひとりの人と付き合ったら、きっと僕はいつか、その人をセックスで殺してしまう……!」

 傍目から見れば、ここは笑うところなのか、悲しむところなのか、エロい気分になるところなのか、いやエロい気分にはならないだろうが、ともかく、感情が迷子になることだろう。

 しかし、少なくともユーリは真剣だった。
 ユーリはセイラを抱き寄せて、涙声で告げる。

「……セイラちゃん、大好きだよ。
 でも、だから、浮気してセイラちゃんを悲しませたくない。
 エッチし過ぎて壊したくもない。
 だから……君とは付き合えない」

 ベッドの下に降りて、ユーリは正座して床に頭を擦り付けた。
 いわゆる土下座の姿勢で、もう一度きちんと謝罪を口にする。

「無責任なことして、本当にごめんなさい」
「そ、そんな! やめて、やめてよ!」

 セイラは慌ててベッドから降りると、グイグイと身体を引っ張ってユーリの姿勢を正す。
 そうして彼女も正座すると、正面からしっかりとユーリを見据えた。

「私の方こそ、ごめん。そういうことは全部分かってるつもりだし、納得もしてた……。
 でも、勇者を辞めるっていうなら、ワンチャンあると思って、言ってみただけなんだ。
 だからもう、気にしないで」
「セイラちゃん……」
「それに、ユーくんは無責任なんかじゃないよ。もう私に、いっぱいよくしてくれてるじゃない」

 そう。
 セイラが共に上京してきた時点で、ユーリははセイラに対して、金銭的な面倒を見ることに決めていた。
例えクランを辞めても、他の誰かと結婚しても、一生涯一定額を援助する契約を結んでいる。

 セイラは何度も断ったが、ユーリは頑として譲らなかった。
 結婚することはできないから、それに近しいような保証をしたい、という、彼の意思の表れだったのかもしれない。

 金銭的にも精神的にも、ユーリはセイラに対して十分な誠意を見せている。それはセイラも充分承知の上だった。
 しかしやはり、彼氏彼女という一般的な関係になりたくて、思わず口に出してしまったのだった。

「だから気にしないで、ユーくん……このままの関係でも、私は満足だよ」
「……うん。ごめんね」
「謝らないでってば」
「うん……じゃあまたこうやって、時々とエッチしてくれる?」
「え~! 時々じゃ、やぁだぁ♡ もっといっぱいしたい~♡」
「ぼぉ~くぅ~もぉ~! え、じゃあ毎週?」
「ん~ん~。毎日ぃ~♡」
「やった~! じゃあいっぱいする!」
「私もしたい~~~~っ♡」

 傍目からは激イタカップルにしか見えないふたりにも、色々あるのだった。

「……さて、じゃあ明日も早いし、お風呂だけ入って寝ますか」

 一通りイチャイチャし終えると、セイラはタオルを巻いて立ち上がった。
 そうしてその目に、僅かに悲しげな光を灯し、

「明日から本格的に、始めないと、だね……」
「……うん」

 ユーリも同様に伏し目がちとなり、老人のように疲れた声音で応じる。

「そうだね……
「……ユーくん」

 心配そうにそう告げるセイラに、ユーリは微苦笑をしながら立ち上がると、彼女の細い身体を力いっぱい抱きしめた。

「大丈夫だよ。僕は大丈夫。心配してくれてありがとうね」
 ……それよりいまは、みんなのこと──クランのことを考えよう」
「……うん」

 そんなやりとりをしつつ、ふたりは浴室に向かうのだった。

「はぁ~い♡ じゃあセイラはぁ、ユーくんの背中洗う係さんで~す♡」
「じゃあ僕は、セイラちゃんのおっぱい洗う係さんです!」
「いやぁん♡ も~、ユーくんのえっち~♡」

 で、もう一回おっぱじまった。
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