【完全版製作記念連載再開】金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師

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勇者辞めますの真相編

19話 全裸勇者  イラストあり

「………………………………大変申し訳ございませんでした」
「………………………………うん。いいよ、もう。僕も自分に酔っちゃてたとこあるし」
「………………………………いえ、まず自分が、お酒に酔わなければ良かっただけなので」
「………………………………もうやめない? この話」
「………………………………そうですね」

 ──あの後。
 エモの最高到達点から一転、ゲロの愛好到達点へと叩き落されたふたりは、そのまま庭に設置してあるシャワーで、服やら身体を綺麗に洗い流し、念入りに歯磨きをした──なぜユーリも歯磨きをする必要があったかは、あまり思い出したくはないのだが──のち、タオルを巻いて温泉へと浸かっていた。

 男女がふたりで温泉に入るのはどうなのか……などという倫理的なことは、互いに全く気にならなかった。
 男女以前に、倫理観がどうとか以前に、人としての尊厳を守るほうが大事だったからだ。
 人の頭にゲロをぶっかけた人と、頭からゲロをぶっかけられた人は、人とは呼び難いのだ。

「はあ~~~。でもなんか、やっとスッキリしてきたよ
 ヒィちゃんも少しはスッキリできたんじゃない? あれだけいろいろ吐き出せば」

 お湯をすくい上げて顔を洗ってから、悪戯っぽい視線をヒィロに振る。すると彼女は、赤い顔で恥ずかしそうにこちらを睨み上げて、

「い、意地悪ですね……。まあでも、身体のほうも楽になってきましたし……。
……それに、気持ちのほうも、少しスッキリしました」

 涙の筋を洗い流すようにして、彼女もバシャバシャと顔を洗う。
 そのたびに、タオルに包まれた豊満な胸が僅かに揺れ、その谷間へと水滴がこぼれ落ちていった。
 ヒィロの身長はマホやエンリエッタとそう変わらないのだが、とにかく胸が大きく、腰回りの肉付きも良い。セイラやファイフほどではないにしろ、あと数年もすれば、そんな美女ふたりに肉薄するようなプロポーションへと到達することだろう。

(さっきまでゲロで頭がいっぱいだったけど、ちょっと落ち着いてみると、やっぱエロイな。この状況……)

 そんな美少女が、タオル一枚で隣にいるという状況に、改めてそんなことを考えてしまうユーリだった。

「……って、どうしたんですか、ユーリ先輩?」
「ごめん。おっぱいガン見してた」
「だとしてもそんなにちゃんと言わないでください」

 赤い顔でタオルの位置を直しつつ、ヒィロは言葉を続けた。

「……まだ気持ちの整理がつかない部分がありますが、ユーリ先輩がそんなふうに思ってくれていたのは、少し……。
 いえ、かなり、嬉しい、です」
「……うん。良かった」

 前にも同じような声かけをしたことは、何度かあった。
 しかし、人はその時々の心境によって、言葉の解釈が違うものだ。
 同じことを言われても、スッと入ってくることもあるし、そうでないときもある。
 彼女の心情とユーリの言葉掛けが、うまくマッチングしたようだ。
 エモだった。

「正直、自分はまだ、自分のことがそんなに信用できません。
 ほとんど勢いだけで『アンペルマン』の……あんな巨大組織のトップになってしまったし、先輩はできると言ってくれましたが、自分では【勇装龍気フランジャー】を使いこなせる気配も感じない……正直、この先やっていけるか、不安しかありません」

 ヒィロは自身の掌を見つめる。
 彼女の不安心の表れのように、その手は僅かに震えていた。

「……しかし、」

 ──その不安を押さえつけるように、ヒィロは力強く手を握り、そして前を向いた。

「ユーリ先輩が……この世界で一番尊敬している人が、自分のことを信じていると、そう言ってくれました。
 あなたが信じているものなら、自分も信用できます。
 だから──もう少しだけ、自分を信じて、頑張ってみようと思います」
「……うん。ありがとう」

 ヒィロの頭をぐしゃぐしゃと撫でつつ、ユーリは内心で胸を撫で下ろしていた。
 彼女の気持ちが折れてしまいそうになったとき、正直かなり焦った。
 ここまで大きな問題なく計画が進んでいたものの、肝心の彼女が折れてしまったら元も子もない。

 ゆえに、不本意ながらもジゴロな手段に出てしまった。
彼女への気持ちを誤魔化してしまうで申し訳なかったが、結果としてはこの通り。
 彼女はきちんと、自分の力で前を向いてくれた。
 過程はどうあれ、こちらの意図したとおりの結論に結びついたのだ。
 ユーリもヒィロもメンタルはよわよわだが、一度決めたことに関しては、一定の信念を持って邁進することができる。
 だからきっと、彼女はもう大丈夫だろう。

(って、毎度毎度、綱渡り過ぎて泣けてくる……。こんなんでよくいままでやって来られたな、僕。全部終わったら、ほんとに田舎に帰って稼業継ごうかな……)

 などと、今度はこちらが弱気に陥りかけたところで、いかんいかんと小さく首を振る。
 ユーリには、まだやるべきことが残っているのだ。

「それでね、ヒィちゃん。実はもうひとつ、話しておかなきゃいけないことがあるんだ」
「ええ、それもセイラ様から概要は聞いているので、なんとなくは把握しています。ユーリ先輩の口から詳細をお聞かせ願いたい」
「うん。じゃあまずは……」
「……し、しかし、その前に……っ」

 そこでヒィロは大きく深呼吸をすると、その高鳴りを抑えるように胸に手を置く。
 そして、覚悟を固めるように立ち上がると、ユーリの前に屹立し、


「……その前に、その……し、鎮めていただけませんか?」
「……え?」

 水滴の伝う大きな乳房と、柔らかな曲線を描く腰回りと太もも。
 タオル一枚に包まれた肢体を晒しながら、美少女がそんなことを言っているのだった。

「……えっと、えーっと」

 と、二秒ほど固まってから、ユーリは数回瞬きし、

「……こ、この流れで、そうなるの?」
「この流れだからそうして欲しいんです」

 と、ヒィロはとろんとさせていた目を僅かに眇め、

「だいたい、ユーリ先輩は昔から無責任過ぎるんですよ。ふざけたり、酔った勢いでキスしてきて、そ、そのあと、ワンチャンなにかあるかなって思っても、そのまま放っておかれて……!
 自分だって女なんです! そんな中途半端なことをされたら……た、溜まるものは溜まるんですよ!
 さっきのだって……か、かなり、ヤバかったんですから……!」

 その言葉が示す通り、彼女は下腹あたりを抑えながら、下半身をもじもじと揺り動かした。それに伴って大きな乳房も揺れ、ユーリは思わず息を飲む。
 ヒィロは常日頃から厳しく自身を律し、勇者らしく在ろうと心がけていた。
 しかしやはり、その反動はかなりのものになっていたようだ。

「……えっと、イケメンでごめん」
「謝って済む問題じゃありません!」
「わっぷ!」

 ザバッ! と、ユーリの前に迫った彼女は、渾身の勇気を振り絞るようにして、言った。

「で、ですから、自分をこんなにした責任は、きちんと取ってください! 話を聞くのはそのあとです!」
「すごい交渉術使うね! ってか、するって言ったって……君、その、初めてだよね?
 本当にできるの? たぶん結構痛いよ?」
「……ですから、子ども扱いしないでください!」

 もう一度大きく深呼吸をすると、ヒィロはユーリの顔を掴み、その唇に自身のそれを重ねた。

「おお」
「……ほ、ほら。自分だってする気になれば、これくらいはできるんです!
 あまり、自分を舐めないでいただきたい……!」
「……う~ん。困ったねえ」

 ユーリは小さく唸りながら、軽く頬を掻いて──。





「……子ども扱い、してなかったでしょ?」

「…………はい♡」

 で、こうなった。

 具体的にどうなったかというと、あの申し出の後、ヒィロを二階の部屋へと連れ込んだユーリが、がっつりとすることをして、それも先ほど終わり、ふたりでベッドへと横たわって、

「ああ、でも『舐めないでいただきたい』って約束は、守れなくてごめんね?」
「は、恥ずかしいこと、言わないでください……♡」

 で、こうなった。

 シーツにくるんだ身体をモジモジと動かせながら、ヒィロは上目遣いでユーリを見上げると、

「……というか、初めからこうするつもりだったのなら……なぜ気のない素振り見せたんですか?」
「ちょっと焦らしたほうが楽しんでもらえるかなと思って」
「もう……意地悪……♡」

 好青年のイメージが優り、そちらのイメージが置き去りになりがちだが、決して忘れてはいけない。
 ──ユーリは、ちゃんとヤリチンなのだ。

 ともあれ、彼女のことを大事に思っていることは本当だ。
 その実力を信じ、『アンペルマン』を継がせるために育ててきたことも、また事実。
 本物の妹のように可愛がってきたし、楽しい思い出を共有してきた事実も変わらない。
 ユーリはヒィロの後輩にして、大事な仲間なのだ。
 その事実はなにがあっても揺るがないし、これからもその関係は変わらないだろう。

 
 ユーリは昔から、ヒィロのことをがっつりと女として見ていたのだった。
 ヒィロにキスやボディタッチをし続けていたのも、すべて計算の上の行動。
 彼女をムラムラさせるためにやっていたことだった。
 いずれこうなったとき、美味しくいただくつもりでいた。

 ユーリ・ザッカ―フィールド。
 彼は、のヤリチンだった。
 同じような手法で落としたうぶな女の子は数知れない。
 それはセンテンススプリング砲もぶち食らうというものだった。

「ごめんね。ヒィちゃん可愛いから、ついついイジめたくなっちゃって」

 そんなスキャンダラス勇者はしかし、ヒィロの肩を抱きながら、気遣うような視線を彼女に向け、

「お腹痛くなったり気持ち悪かったりしたら、すぐ言うんだよ? そのときは痛くなかったかも知れないけど、あとでどっか痛くなることもあるみたいだからね。
 薬もあるから、なんか変な感じがしたらちゃんと言って?」
「は、はい……ありがとう、ございます……♡」

 その気遣いに、ヒィロは嬉しそうに目を細め、ユーリの手を愛おしそうに握った。
 これだけヤリ散らかしているユーリが、未だに刺されたり訴訟を起こされたりしないのは、こういった気遣いができるからだった。

 相手が行きずりの女の子だったとしても、事後のピロートークやアフターケア欠かさずに行い、あと腐れないが無いように全力で務める。
 シゴデキなヤリチンなのだった。
 それはともかく、

「それでね、ヒィちゃん。さっきの話の続き、してもいいかな?」

 ユーリがそう言うと、ヒィロはとろんとした目をぱちくりとさせて、

「えっと……ふたりのこれからの話……でしたっけ? 赤ちゃんの名前とか……♡」
「うん。してないかな、そんな話は」

 ヤッベ意外と重い系だこの子……などと危機感を感じつつも、ユーリは続ける。

「僕たちの作戦について、だよ」
「あ、ああ、ああ! す、すいません! そうでした。そうでしたね」

 ヒィロはほっぺたをパチパチと叩くと、仕事モードの顔でユーリを見た。

「すいません。お聞かせいただきたい」
「うん。まあ、作戦ってほど大げさなもんじゃないけど……」

 そのように前置きをしてから、ユーリは一度目を閉じる。
 確かにこれは、作戦と呼べるほど大層なものではない。
 穴だらけな計画だし、何度も躓きそうになってきた。
 が、ここまではどうにかうまくいっている。
 そして、この調子でこのままいけば──。

「いままで僕たちはさ、非友好国の帝国にうまいことやられて、勇者としての活動を制限されて生きてきた。
 そんでとうとう、引退にまで追いやられた。
 ここまではマジでやられっぱなしだ。
でもね。ヒィちゃん」

 ユーリは目を開け、ひどく好戦的な顔で笑った。


 今度はこっちが刺す番だ。
 本当は君を巻き込むつもりはなかったけど、真相を知ったからには協力して貰うよ、ヒィちゃん」
「……はい!」

 威勢よく返事をするヒィロ。その顔にも精悍な面魂が宿っており、作戦に対する熱意が感じられた。
 ……が。

「……すいません。先輩のその顔、カッコよすぎて無理なんで……ちょっと、イチャつきながら聞かせて貰ってもいいですか♡」
「……うん。いいよ、全然。うん。大丈夫だよ」

 ──生まれて初めて、刺される系の子に手を出してしまったかもしれない。
 そんな予感に戦々恐々としつつ、ユーリは甘えてきた彼女の頭を撫でながら、作戦を話し始めるのだった。




※※以下筆者後書き※※


ユーリ「やられたら、やり返す……」
ヒィロ「あ、それ絶対言わないほうがいいと思います」
ユーリ「……ダメかなあ」
ヒィロ「ダメですね」
ユーリ「そっかぁ」
ヒィロ「はい。かわいそうですけど……」
ユーリ「言いたいなあ」
ヒィロ「言わせてあげたいですけど……」
ユーリ「…………」
ヒィロ「…………」
ユーリ「倍返しだ!!」
ヒィロ「なんで言っちゃうんですか!?」




今回もご覧いただきありがとうございました!
本日は18時にもう一本投稿となっております。よろしければご一読下さい!



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