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ざまぁされたらやり返す編
36話 “私の痛みに愛を払え” イラストあり
クインリィがユーリの元へと到達する、その数分前。
「……しっかし、本当すげえよな、セイラ様の治癒魔法。アバラが完全にイってたのに、一瞬で完治しやがった」
「俺なんて腕千切れかけたんだぜ? チートなんてもんじゃねえよ、マジで」
神殿跡地の臨時救護所にて、『アンペルマン』討伐部の青年がふたり、あくせくと動き回るセイラを見ながら、そんな会話をしていた。
戦いが始まってから数分。ユーリの予想通りに怪我人が出始め、即席の救護所にはちらほらと戦士たちが運び込まれる事となった。
そんなに大した数ではないのだが、セイラひとりで切り盛りをしている──ユーリが出発するあたりから、なぜか彼女は顔を真っ赤っかにしていたのだが──ため、必然的に稼働量が増えるのだ。
流石に申し訳ないので、青年ふたりもなにか手伝おうと思ったのだが、『こちらは大丈夫なので、皆さんはゆっくり休んでいてください』、と、やんわり断られてしまった。
ヴィジュも良ければ性格も良い。セイラはまさに、聖女という言葉を体現したかのような女性だった。
しかし当の本人は、
(早くユーくん帰って来ないかなぁ。いっぱいエッチなことしたいなぁ~)
と、破戒聖女全開のメンタリティで仕事をしていた。
まあそれはともかく。
「……そんで、こんな近くでセイラ様見られる機会、そうそうねえからさ……その、ありがてぇよな」
「ああ……。近くで見るとさ、ほんっと、とんでもねえプロポーションだしな、セイラ様って……」
柔らかくくびれたウェストに、うっすらとパンティラインの浮き出る、ふくよかで形の良いお尻。
そして動くたびにふるふると揺れ動く、豊満でたおやかな胸。
それがひとつでもあれば、その人にとって自慢の部位になるであろうパーツが、細くも豊満な身体に全て収まっているのだ。そのうえ、先ほど論じた通りの容姿と性格を併せ持っている。
まさに完璧な女性。完璧な聖女だった。
が、当の本人は、
(うぅ~。なんで仕事中ってムラムラするんだろう……。早くユーくんにエッチなことして欲しいよぉ~♡)
破戒聖女……というか、もう普通にちょっとエッチなOLのメンタリティで仕事をしている。
それもともかく。
「……ちょっと、先輩がた。さすがに不謹慎っすよ。聖女様をそんな目で見るなんて、普通にダメでしょ」
モブルドがのっそりと起き上がり、青年ふたりをそのように咎める。
「固ぇこと言うなよ、新人。見てるだけなんから、別に誰にも迷惑かけてねえだろうが」
「そーそー。ちゃんと尊敬もしてるし、ありがてぇとも思ってるよ。そんで、エロい身体してるなぁ~、とも思ってるだけだ」
「エロッ……ちょっと、流石に撤回して下さいよ! 聖女様に向かって、そんな言葉……!」
「ああ、モブルドくん。まだ起き上がってはいけませんよ」
モブルドの声を聞きつけ、セイラがパタパタとこちらに走り寄ってきて、彼の前で膝をつくと……。
バルンッ! と、その巨大な双丘が、モブルドの目の前で派手に揺れ動いた。
「……かっ!」
と、顔を真っ赤にする彼だったが、セイラはそこに追い打ちをかけるように、細くしなやかな手で首元を触り、可愛らしい童顔を寄せた。
「こおぉ……!」
ふわり、と、シャンプーとボディクリームの匂いが鼻腔をくすぐり、それと同時、男としての部分も凄まじい勢いでくすぐられるのも感じた。
そんなことはつゆ知らず、セイラはニコリと優しく笑いかけると、
「ああ、でも体温も安定してきているし、顔色もだいぶいいですね。これなら起き上がっても問題ありません。でももちろん、まだ戦場に出てはいけませんよ?」
「は……………はい……………」
ガチガチになりながらも、かろうじてそのような声を返すと、セイラはもう一度優しく微笑んでからその場を後にした。
すると青年ふたりが、意地の悪い笑顔を浮かべ、
「……で、なんだっけ? エロいって言葉? 使っちゃダメなんだっけ?」
「……そ、そ、そうっすよ。ダメっすよ、そんなの……」
「じゃあお前ちょっと立ってみろよ」
「そ、そそそ、それは! 傷がまだちょっと痛いから、無理です……!」
「たってんだろ?」
「たってないっす! 立てないだけっす!」
「ガチガチなんだろ?」
「き、緊張でガチガチなだけっす! そういうガチガチじゃないっす!」
──と。
彼らが平和なやりとりに興じていた、そのとき。
「悪ぃ、セイラ! そっちに一匹デカいの行った!」
マホが拡声魔法を使い、そのように呼びかけるとともに、
「ぐおおおおぉぉ!」
巨大なトロールが、神殿跡地に向けて走り寄ってくるのが見えたのだった。
救護所に緊張が奔る中、青年ふたりは武器を手に立ち上がる。
「お前ら下がってろ! 俺たちもう、ちったぁ動けるからよ!」
「セイラ様も下がって下さい! ここは俺たちにお任せを!」
そしてあわよくば、カッコいい俺を見て~! と、そんな風に息巻きながらトロールへと向かおうとすると、
「……【変態】」
ガチャン、ガチャンガチャンッ! と、固くて重い音を響かせながら、セイラの持つ錫杖が変形していき……。
2メートルを優に超える、巨大なウォーハンマーへと変貌を遂げた。
「聖女武装魔法【愛憎相殺】」
「「……へ?」」
なにその物騒な色々……と、呆気に取られる青年ふたりに、セイラは聖母の如き笑顔で笑いかける。
「大丈夫ですよ──すぐ終わります」
そう言ったセイラの姿が、かき消えた。
瞬間移動のような速度でトロールへと肉薄した彼女は、海老反りのような姿勢で大槌を振りかぶり、
「しゃおらああああああぁぁぁいいぃぃッ!!」
「ぎいいぃぃぃぃぃッ!」
その先端を、トロールの脳天へと叩きつけ、頭蓋骨を大きく陥没させた。
そうして槌を振り切った彼女は、地面に向かう槌を腕力だけで翻し、今度はその顎へと叩きつける。
「死ならあああああああぁぁぁッ!」
(((死ならあぁ……………)))
「あんのヤロ……浮気ばっしゃってなんかいってッソがよおおぉぉぉぉぉ!!」
(((あんのヤロ、浮気ばっしゃってなんかいってッソがよ……………)))
「ちょん切ったろかいいぃぃぃぃ!?」
(((ちょん切ったろかい……………)))
と、トロールを瞬殺──一打目で勝負は決していた気もするのだが──したセイラは、息のひとつも切らさずにこちらへと戻ってくると、先ほどと同様に慈愛に満ちた笑顔を浮かべ、
「神敵は去りました。皆さん、安心して静養なさって下さい」
「「「「「「………………」」」」」」
腰を抜かしていた青年ふたりも、モブルドも、そして他のものたちも、全員一斉に立ち上がると、
「……あ、なんか俺もう、大丈夫みたい、なんで、あの……持ち場戻ります」
「お、俺ももう……もど、戻ります、ね」
「おおおお、お俺も行くっす!」
「僕もいきます!!」
「ひぃっ! ねえ、ちょっと! 置いていかないでよ! 私も行くってば!」
止める間もないほどの速度で、戦場へと逃げ帰って行ったのだった。
「あ! ちょ、ちょっと皆さん! まだ動いては……!
え、え? なんで、なんで!? 私なんかした!? なんか悪いことし……はっ!」
オロオロとしながら考えることしばし、セイラはあるひとつの傍証へと至った。
「もしかして、ちょっとエッチなこと考えながらお仕事してるの、バレちゃった……!?」
「絶対違うと思います」
背後からフラットなツッコミが入ったので、涙目になりながら振り返ると、そこには……!
「ク、クインリィ、様……!」
ユリウス王国女王、クインリィ。
本来ならば、決してこのような場所には来ないであろう重鎮が、少数の従者を従えてその場にいたのだった。
跪こうとするセイラを手で制し、彼女は申し訳なさそうな表情を浮かべ、
「遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。途中で馬の調子が悪くなってしまって……。
これだったら、最初から迎えに来ていただいた方が、早く着きましたね」
そう。
王都を出る際、ユーリ一行は飛空挺で彼女らも迎えに行こうとしたのだ。
が、彼女は従者とともにすでに王都を経ち、この場所に向けて出発していた。
不測の事態に備え、ナーセの街へと前ノリして滞在してくれるつもりだったらしい。
ユーリらが連絡したときには、すでに街のすぐ近くまで来ているとのことだったので、そのまま向かって貰ったのだ。
「いえ、勇者様も先ほど出たばかりですし、作戦になんの不備もございません」
「それならば良かったです。では早速、ユーリの元へ行かせていただきましょう」
「承知いたしました。……って、え? まさか、クインリィ様ご本人が行かれるわけではないですよね?」
これはクインリィ本人ではなく、従者のほうに訊ねる。すると彼らは困ったように互いの顔を見合わせ、代表するように黒髪黒瞳の女性が口を開いた。
「本来なら、私が名代として行く予定だったのですが……。本人が直接行くと言って聞かないので、そのような形とさせていただきます」
「ジージョも他の皆も、ご理解いただけてなによりです」
「あなたが一度言い出したら聞かない人であることを、熟知しているだけですよ」
ジージョと呼ばれた女性はやれやれとばかりに眼鏡をすり上げ、セイラへと向き直った。
「もちろん、おひとりで行かせるわけにはいきませんので、私もお供いたします。飛空艇までご案内をお願いできますでしょうか?」
「承知いたしました。ではこちらに」
そう言って一同を案内しつつ、マホへと連絡を取るセイラ。
その背について行きながら、クインリィは少し悲しそうに告げた。
「それでは、見届けさせていただきましょう。
勇者ユーリの、最後の戦いを……」
「……しっかし、本当すげえよな、セイラ様の治癒魔法。アバラが完全にイってたのに、一瞬で完治しやがった」
「俺なんて腕千切れかけたんだぜ? チートなんてもんじゃねえよ、マジで」
神殿跡地の臨時救護所にて、『アンペルマン』討伐部の青年がふたり、あくせくと動き回るセイラを見ながら、そんな会話をしていた。
戦いが始まってから数分。ユーリの予想通りに怪我人が出始め、即席の救護所にはちらほらと戦士たちが運び込まれる事となった。
そんなに大した数ではないのだが、セイラひとりで切り盛りをしている──ユーリが出発するあたりから、なぜか彼女は顔を真っ赤っかにしていたのだが──ため、必然的に稼働量が増えるのだ。
流石に申し訳ないので、青年ふたりもなにか手伝おうと思ったのだが、『こちらは大丈夫なので、皆さんはゆっくり休んでいてください』、と、やんわり断られてしまった。
ヴィジュも良ければ性格も良い。セイラはまさに、聖女という言葉を体現したかのような女性だった。
しかし当の本人は、
(早くユーくん帰って来ないかなぁ。いっぱいエッチなことしたいなぁ~)
と、破戒聖女全開のメンタリティで仕事をしていた。
まあそれはともかく。
「……そんで、こんな近くでセイラ様見られる機会、そうそうねえからさ……その、ありがてぇよな」
「ああ……。近くで見るとさ、ほんっと、とんでもねえプロポーションだしな、セイラ様って……」
柔らかくくびれたウェストに、うっすらとパンティラインの浮き出る、ふくよかで形の良いお尻。
そして動くたびにふるふると揺れ動く、豊満でたおやかな胸。
それがひとつでもあれば、その人にとって自慢の部位になるであろうパーツが、細くも豊満な身体に全て収まっているのだ。そのうえ、先ほど論じた通りの容姿と性格を併せ持っている。
まさに完璧な女性。完璧な聖女だった。
が、当の本人は、
(うぅ~。なんで仕事中ってムラムラするんだろう……。早くユーくんにエッチなことして欲しいよぉ~♡)
破戒聖女……というか、もう普通にちょっとエッチなOLのメンタリティで仕事をしている。
それもともかく。
「……ちょっと、先輩がた。さすがに不謹慎っすよ。聖女様をそんな目で見るなんて、普通にダメでしょ」
モブルドがのっそりと起き上がり、青年ふたりをそのように咎める。
「固ぇこと言うなよ、新人。見てるだけなんから、別に誰にも迷惑かけてねえだろうが」
「そーそー。ちゃんと尊敬もしてるし、ありがてぇとも思ってるよ。そんで、エロい身体してるなぁ~、とも思ってるだけだ」
「エロッ……ちょっと、流石に撤回して下さいよ! 聖女様に向かって、そんな言葉……!」
「ああ、モブルドくん。まだ起き上がってはいけませんよ」
モブルドの声を聞きつけ、セイラがパタパタとこちらに走り寄ってきて、彼の前で膝をつくと……。
バルンッ! と、その巨大な双丘が、モブルドの目の前で派手に揺れ動いた。
「……かっ!」
と、顔を真っ赤にする彼だったが、セイラはそこに追い打ちをかけるように、細くしなやかな手で首元を触り、可愛らしい童顔を寄せた。
「こおぉ……!」
ふわり、と、シャンプーとボディクリームの匂いが鼻腔をくすぐり、それと同時、男としての部分も凄まじい勢いでくすぐられるのも感じた。
そんなことはつゆ知らず、セイラはニコリと優しく笑いかけると、
「ああ、でも体温も安定してきているし、顔色もだいぶいいですね。これなら起き上がっても問題ありません。でももちろん、まだ戦場に出てはいけませんよ?」
「は……………はい……………」
ガチガチになりながらも、かろうじてそのような声を返すと、セイラはもう一度優しく微笑んでからその場を後にした。
すると青年ふたりが、意地の悪い笑顔を浮かべ、
「……で、なんだっけ? エロいって言葉? 使っちゃダメなんだっけ?」
「……そ、そ、そうっすよ。ダメっすよ、そんなの……」
「じゃあお前ちょっと立ってみろよ」
「そ、そそそ、それは! 傷がまだちょっと痛いから、無理です……!」
「たってんだろ?」
「たってないっす! 立てないだけっす!」
「ガチガチなんだろ?」
「き、緊張でガチガチなだけっす! そういうガチガチじゃないっす!」
──と。
彼らが平和なやりとりに興じていた、そのとき。
「悪ぃ、セイラ! そっちに一匹デカいの行った!」
マホが拡声魔法を使い、そのように呼びかけるとともに、
「ぐおおおおぉぉ!」
巨大なトロールが、神殿跡地に向けて走り寄ってくるのが見えたのだった。
救護所に緊張が奔る中、青年ふたりは武器を手に立ち上がる。
「お前ら下がってろ! 俺たちもう、ちったぁ動けるからよ!」
「セイラ様も下がって下さい! ここは俺たちにお任せを!」
そしてあわよくば、カッコいい俺を見て~! と、そんな風に息巻きながらトロールへと向かおうとすると、
「……【変態】」
ガチャン、ガチャンガチャンッ! と、固くて重い音を響かせながら、セイラの持つ錫杖が変形していき……。
2メートルを優に超える、巨大なウォーハンマーへと変貌を遂げた。
「聖女武装魔法【愛憎相殺】」
「「……へ?」」
なにその物騒な色々……と、呆気に取られる青年ふたりに、セイラは聖母の如き笑顔で笑いかける。
「大丈夫ですよ──すぐ終わります」
そう言ったセイラの姿が、かき消えた。
瞬間移動のような速度でトロールへと肉薄した彼女は、海老反りのような姿勢で大槌を振りかぶり、
「しゃおらああああああぁぁぁいいぃぃッ!!」
「ぎいいぃぃぃぃぃッ!」
その先端を、トロールの脳天へと叩きつけ、頭蓋骨を大きく陥没させた。
そうして槌を振り切った彼女は、地面に向かう槌を腕力だけで翻し、今度はその顎へと叩きつける。
「死ならあああああああぁぁぁッ!」
(((死ならあぁ……………)))
「あんのヤロ……浮気ばっしゃってなんかいってッソがよおおぉぉぉぉぉ!!」
(((あんのヤロ、浮気ばっしゃってなんかいってッソがよ……………)))
「ちょん切ったろかいいぃぃぃぃ!?」
(((ちょん切ったろかい……………)))
と、トロールを瞬殺──一打目で勝負は決していた気もするのだが──したセイラは、息のひとつも切らさずにこちらへと戻ってくると、先ほどと同様に慈愛に満ちた笑顔を浮かべ、
「神敵は去りました。皆さん、安心して静養なさって下さい」
「「「「「「………………」」」」」」
腰を抜かしていた青年ふたりも、モブルドも、そして他のものたちも、全員一斉に立ち上がると、
「……あ、なんか俺もう、大丈夫みたい、なんで、あの……持ち場戻ります」
「お、俺ももう……もど、戻ります、ね」
「おおおお、お俺も行くっす!」
「僕もいきます!!」
「ひぃっ! ねえ、ちょっと! 置いていかないでよ! 私も行くってば!」
止める間もないほどの速度で、戦場へと逃げ帰って行ったのだった。
「あ! ちょ、ちょっと皆さん! まだ動いては……!
え、え? なんで、なんで!? 私なんかした!? なんか悪いことし……はっ!」
オロオロとしながら考えることしばし、セイラはあるひとつの傍証へと至った。
「もしかして、ちょっとエッチなこと考えながらお仕事してるの、バレちゃった……!?」
「絶対違うと思います」
背後からフラットなツッコミが入ったので、涙目になりながら振り返ると、そこには……!
「ク、クインリィ、様……!」
ユリウス王国女王、クインリィ。
本来ならば、決してこのような場所には来ないであろう重鎮が、少数の従者を従えてその場にいたのだった。
跪こうとするセイラを手で制し、彼女は申し訳なさそうな表情を浮かべ、
「遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。途中で馬の調子が悪くなってしまって……。
これだったら、最初から迎えに来ていただいた方が、早く着きましたね」
そう。
王都を出る際、ユーリ一行は飛空挺で彼女らも迎えに行こうとしたのだ。
が、彼女は従者とともにすでに王都を経ち、この場所に向けて出発していた。
不測の事態に備え、ナーセの街へと前ノリして滞在してくれるつもりだったらしい。
ユーリらが連絡したときには、すでに街のすぐ近くまで来ているとのことだったので、そのまま向かって貰ったのだ。
「いえ、勇者様も先ほど出たばかりですし、作戦になんの不備もございません」
「それならば良かったです。では早速、ユーリの元へ行かせていただきましょう」
「承知いたしました。……って、え? まさか、クインリィ様ご本人が行かれるわけではないですよね?」
これはクインリィ本人ではなく、従者のほうに訊ねる。すると彼らは困ったように互いの顔を見合わせ、代表するように黒髪黒瞳の女性が口を開いた。
「本来なら、私が名代として行く予定だったのですが……。本人が直接行くと言って聞かないので、そのような形とさせていただきます」
「ジージョも他の皆も、ご理解いただけてなによりです」
「あなたが一度言い出したら聞かない人であることを、熟知しているだけですよ」
ジージョと呼ばれた女性はやれやれとばかりに眼鏡をすり上げ、セイラへと向き直った。
「もちろん、おひとりで行かせるわけにはいきませんので、私もお供いたします。飛空艇までご案内をお願いできますでしょうか?」
「承知いたしました。ではこちらに」
そう言って一同を案内しつつ、マホへと連絡を取るセイラ。
その背について行きながら、クインリィは少し悲しそうに告げた。
「それでは、見届けさせていただきましょう。
勇者ユーリの、最後の戦いを……」
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