【完全版製作記念連載再開】金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師

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ざまぁされたらやり返す編

35話 バレる(後編)  イラストあり

 自信の優位を確証したか、ガイムは畳みかけるように続けた。

「それと……麓の様子を見ましたが、なんですかな、あれは? 地形を変えるかのような魔法を乱発し、そちらの拳闘士のご婦人も、げに恐ろしき勢いで暴れ回っていた御様子。
 我が国との国境付近であんなに大暴れをされたら、困ってしまいます。帝国の国境付近に住まう、罪のない市民が怯えますゆえ」
「ざっけんな! こっちは自衛のために戦ってんだよ! こっちの国民が死んでもいいってのか!?」

 さすがにそう言い返すファイフだったが、その言葉すら予想通りであるかのように、ガイムは言葉を弄する。

「過剰防衛である、と、そう申しているのです。これでは、ああ……やはり、あなたがたが危険な存在である、と、ほうぼうに報告せざるを得ませぬなあ。
 勇者ユーリとその一行は、引退した後も……いや、むしろ、引退してなんの枷もなくなってからのほうが、はるかに危険である、と。
 拘束、軟禁、場合によっては、処分……そのいずれかを検討せねばなりますまい」
「だから、テメエが、辞めさせたんだろうよ……!」

 単語のブツ切りとともに殺意を吐き出すファイフ。もはやその反応を楽しむかのように、ガイムは笑いをこらえるように告げる。

「ともあれ、わたくしも鬼ではありませぬ。いま言ったことは、あくまでもここだけの話。このガイムの胸の内に留めて置けるものでございまする。
 ユーリ殿がこれ以上、、誰に漏れることもありませぬ」

そこでユーリを見やると、話しを締めくくるように

「これは独り言にございますが……。
 今回は痛み分け、ということにしておきましょう」
「…………」

 仮にこの場でガイムを捕えたとしても、きちんと断罪できるか分からないうえに、彼の持つホットラインを活用され、いま彼が話したような事態に発展するかもしれない。
 いや、間違いなく発展するだろう。
 だから、この場は見逃せ、と。
 それは勘弁してやるから、今回は大人しく引き下がれ、と。

 ガイムは、ユーリに対してそう言っているのだった。
 どこが痛み分けなのだ、と思う。
 どころか、めちゃくちゃな言い分だった。
 確かにガイムの損失額はかなりのものだろうが、それは向こうが勝手にやったことだ。しかも、これで『アンペルマン』への攻撃をやめるのではなく、攻め方を変えると言っているだけなのだ。
 
 今後一切『アンペルマン』に関わらないという約束を反故にしていることは元より、こちらを舐め切った対応だと言わざるを得ない。
『アンペルマン』が今後も活動していくうえで、国家間の軋轢を大きくするような組織であってはならない。
 こちらのそういった思惑を、いいように使われているようだった。

(やっぱ強いなあ……この人は)

 足元を見られ、バカにされ、不平等な取引を強いられながらも、やはりユーリの心は冷静だった。
 ボーっと空を見上げ、そんなことを思っているだけだった。
 いままで幾度となく思い、そして現在進行形で思い知らされていること。
 ガイムは、本当に強い。

 ガイムは人を貶める才能しかない。
 たったそれだけの才能で、ここまでのし上がってきたのだ。
 パンダの言う通り、その戦い方は唾棄に値する。
 しかしその精神性だけで見れば、ユーリはむしろ尊敬してすらいた。
 
 ガラクタのようなそれを、研鑽し、研磨し、誰よりも強力な武器として育て上げ、海千山千の政治界を駆け上ってきたのだ。
 まさに努力の人だ。
 対するユーリは、持って生まれただけ。相応に努力はしてきたが、才能が大きすぎたので、それに見合うほど頑張れたかどうかは、よく分からない。
 彼との『強さ』の差は、そういうところに出ているのだろう。

(足止めって言ったって……やっぱ僕ひとりじゃ、勝てないよねえ)

 そう。
 ユーリは彼に勝てない。
 こんな化け物を相手に、勝てるわけがない。
 、絶対に無理だろう。
 だから……。

「では、我々はもう行きまする。よろしいですな、ユーリ殿?」

 自信の勝ち目を確認するかのように、ガイムはユーリに対してそう訊ねる。そのまま黙って去っても良いのだが、ユーリの口から『負けました』という宣言を聞きたいのだ。
 対するユーリは、ボーっと空を見上げたまま、僅かに視線を降ろし、

「あっ。ごめんなさい。なんですか? 全然話聞いてなかった」
「……は?」
「あ、いや、中盤くらいから全然話聞いてなくて……どこに着陸させようかなー、って考えちゃってて……」
「……着陸?」
「まあいいや。えーっと、あれですよね?」

 ユーリはケータイを取り出し、大きな声で告げた。

「要は、ガイムさんが悪いことをしたって証拠があってぇ、で、それを断罪するための、その、偉い人? がこの場に居れば、気持ちよぉく掴まってくれるって……そういうことでいいんですよね?」
「……なにを言っているのですか?」

 苛立ちを乗せながらそう問う。負けを認めたくないにしても、もう少しまともな切り返しができる男だと思っていた。
 こちらのそんな態度を歯牙にもかけず、ユーリは変わらずあっけらかんとした様子で、

「いや、なにを言っている、じゃなくて……そういうことでいいんですよね?」
「……ですから、我々はなにもしていませぬ」
「いやいや、まあそのスタンスでいるのは全然いいんですけど。いいんですけどぉ、ね? なんか証拠とかがあったらぁ、それはちゃんと認めて、偉い人にも怒られてくれるっていう、ことでいいんですよね?」
「──身の程を弁えろよ、下郎が」

 あまりにも舐めた態度に、思わず本来の口調がまろび出る。

「先ほどにも言ったように、貴様はすでに勇者ではない。どころか、なんの肩書も持たない、薄汚い冒険者に過ぎんのだ!
 このわしに! 一国の大臣に対して! 意見をできるような立場ではない!
 貴様のほうこそ不敬罪に処されたくなければ、いますぐわしの前から消え失せろ!!」

 相応の剣幕が込められた怒声に、セイリーヌには僅かに肩を跳ね上げ、周囲の兵士たちもびくりと身じろぎする。
 群雄割拠の政治界を生き抜いてきた、修羅の顔がのぞいた瞬間だった。
 が、ユーリは変わらずに空を見上げたまま、うんうんと何度か頷いて、

「そっかそっか~……そういう態度取っちゃうかあ……。じゃあ、もういいや」

 そう言って、念話を繋げっぱなしにしておいたケータイに話しかけた。

「だってさ、マホちゃん。降ろしてくれる?」
『あいよ~……解呪魔法【アンチェイン】っと』

 ──途端。

「「「「「!!」」」」」

 一同の上空に、突如として飛空艇が現れた。
 いや、おそらくは隠蔽魔法で隠されたまま、ずっと一同の上空に居たのだろう。
 いつからいたのかは不明だが、ともかく……。

「っは。なんだ、今度は実力行使にでも出るつもりか? それこそ国際問題に発展……!」

 と、ガイムが口を開きかけたとき、飛空艇のハッチも開いた。

「ちょっと待っててな。いま浮遊魔法で降ろし……」
「不要です。ユーリに抱っこして貰いますので」
「あ、おい、ちょっと!」

 そんな会話ののち、ひとりの女性が飛空艇から飛び降りてきた。

「わ! わ! ちょっと! 危ないことしないでよ!」

 と、ユーリは焦りながらもその女性をキャッチすると、ファイフとセイリーヌが度肝を抜かれたような表情をする。
 彼女の登場方法に、ではない。
 彼女自身に、である。

「え? え? ちょ……名代の人が、来るって話じゃなかったっけ?」
「ま、まさか……ご本人に、こ、このような場所に来ていただけるなんて……!」
「ええ。その方が早いと思いましたので」

 そう言って地面に足を降ろした女性に、ガイムも……いや、そこにいた誰もが驚愕の表情を浮かべる。
 腰まで届く銀色の髪。
 威厳を宿した赤い双眸。
 豪奢な金色のローブと、荘厳な雰囲気を纏った、その女性は……。

「クインリィ……女王、陛下……!!」

 クインリィ・ヴァレンティア・ユリウス。
 ユリウス王国の女王が、この場に馳せ参じたのだった。










※※以下筆者後書き※※

今回もご覧いただきありがとうございます!

>>「クインリィ……女王、陛下……!!」

ま、ま、ま、ま、まままま、まさか……。

クインリィが……。

女王陛下だったなんてーーーーーーーーーーーー!!!!

全然気が付かなかったーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

クインリィのクインが、クイーンということだったんなんてーーーーーーーーー!!!


そういったコメントで感想欄を埋め尽くしたい気持ちは大いに分かりますが、皆様どうか落ち着いて下さい。

そんなことをしたらサーバーがパンクし、再び削除騒動になりかねません。
ですので大変申し訳ないのですが、クインリィの正体に関するコメントは、ご遠慮いただければと思います。


また、「知ってた」や「分かっていたので意外性のある展開として成立していない」や「テメエ予約投稿ミスって自分でネタバレしてたろ」などのコメントもお控え下さい。

それと「タイトル詐欺がひどい」や「あらすじと内容が違い過ぎる」や「タイトルと内容が乖離しているので、旨味となる要素が分かりづらい。目が散る」などのご意見もご遠慮ください。

もちろん全部冗談なので、意見ご指摘、ブックマーク登録やいいね、大会ポイントの投票など、よろしかったらお願いいたします!!
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