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ざまぁされたらやり返す編
39話 They have gone to hell.Cause so fuckin' cool イラストあり
「……なんのために金貨一千万枚も溜めたと思ってるんですか?」
ガイムがすべてを悟った頃合いで、ユーリがにっこりと微笑みながら言った。
「あなたの持っているホットラインは、全部潰させていただきました。いや~、もう本当、イケメンで金持ちで、地位も名誉もあってよかった~」
「…………っ!」
そう。
ガイムから間接的な攻撃を受け始めてから、ずっとユーリはそのために動いていた。
ガイムのホットラインを入念に調べ上げ、その中心となる人物は誰か、そこに関わっている人数と、彼らが欲するもの、恐れるもの、大事に思っているもの……。
『別班』と『ディンキィ』を潜り込ませ、それらを必死に調べ上げたのだ。
そしてこの一年ほど前──ちょうどユーリが勇者引退を言い渡された時期、ガイムが大暴走を利用して大規模攻撃を仕掛けてくることを知った。
もちろん止めようと思ったが、逆にこれを利用するという考えに至った。
数多の人間を陥れながらも、なにひとつ証拠を残さず、自分の手も汚さず、全てを闇から闇に葬る男、ガイム。
そんな狡猾な男が、唯一隙を見せるであろう、その日、その瞬間。
そこを狙って、彼の持つ全てのホットラインを潰し、渾身の一刺しを突き入れることにしたのだった。
「苦労しましたよ~。ま、大体の人はお金でどうにかなったんですけどね、そうじゃない人なんかは……まあちょっとあんまり言えないことしたり、ハニトラ仕掛けたり、勇者連合にいる僕のシンパの勇者とか、クインリィ様に圧力かけて貰ったり……ほんと、いままで積み上げたものを全部崩す覚悟で、頑張っちゃいましたぁ~」
ペラペラとそんなことをのたまうユーリに、ガイムは半ば茫洋としながら問う。
「元老院……は?」
「え?」
「元老院議会は……どうやって黙らせた!? やつらは金にも圧力にも屈しないはずだ! それをどう懐柔したのだ!?」
気が付けば限界まで目を見開き、口角泡を飛ばす勢いでそう叫んでいた。
自分はいま、追い詰められている。
人生で初め経験する窮地に、その人間性が露わになり、感情を抑制するフィルターも消え失せたのだった。
「はは……嬉しいですよ。なんかやっと、本当のあなたと話ができた気がします」
ユーリはそう言って、コツコツと自身のチョーカーを叩いた。
「元老院の方々は、もちろん説得が一番大変でしたけど、一番シンプルな方法で納得していただけました」
そこで彼はチョーカーを軽く握り、その手に【勇装龍気】の青黒い光を纏わせて、
「僕はもう勇者じゃないから、ここからは好き勝手にさせて貰う……そう言ったら、皆さんとっても快く、あなたを切り捨ててくれましたよ?」
バガンッ! と、チョーカーを握りつぶしながら、にっこりと微笑んでそう言った。
ユーリを完全に敵に回すか。それともガイムを切り捨てるか……その二択を突きつけるのは、かなりのリスクを伴うものだった。
元老院がその気になれば、『アンペルマン』など簡単に潰されてしまうのだ。
しかしそれは、こちらも同じこと。
ユーリが本気を出せば、元老院を物理的な意味で潰せるのだ。
地位も名誉も失ったユーリが──何も失うものがなくなったユーリが、敵に回る。
その意味を熟考した結果、彼らは賢い選択を選び取ってくれたのだった。
勇者としての地位を『取り戻す』ことは叶わなかった。
しかし、それを『捨てる』ことで、こちらの要求を通したのだった。
「ガイムさん、あなたは本当に強い人でした。嫌みなんかじゃなくて、本当にそう思っています」
強さとは様々な種類がある。
単純な武力による強さもあれば、権力による強さ、大金を持っているという強さ、そして駆け引きによる強さ。
人を陥れるという強さ。
武力では及ぶべくもないが、その他の強さにおいて、ガイムはユーリを圧倒していた。
そんな相手に、真っ向からやっても勝てるわけがない。
なにも失わずに勝つなど、土台無理な話なのだ。
「だからね、ガイムさん。僕はあなたを倒すために、勇者でいることを諦めたんです。僕の全部を使って、あなたも道連れにすることに決めたんですよ」
ユーリは悲しそうに──しかし、次の瞬間には満面の笑みを浮かべると、ゆっくりとガイムに歩み寄った。
そして、まるでスポーツ試合での対戦相手をねぎらうように、ポフ、とその肩を軽く叩き、
「ナイスファイトでした、ガイムさん! 一緒に地獄に落ちましょう!」
「…………っ!」
もはやなにも言うことができず、ガイムはその場に頽れるようにして膝をついた。
ガイムがすべてを悟った頃合いで、ユーリがにっこりと微笑みながら言った。
「あなたの持っているホットラインは、全部潰させていただきました。いや~、もう本当、イケメンで金持ちで、地位も名誉もあってよかった~」
「…………っ!」
そう。
ガイムから間接的な攻撃を受け始めてから、ずっとユーリはそのために動いていた。
ガイムのホットラインを入念に調べ上げ、その中心となる人物は誰か、そこに関わっている人数と、彼らが欲するもの、恐れるもの、大事に思っているもの……。
『別班』と『ディンキィ』を潜り込ませ、それらを必死に調べ上げたのだ。
そしてこの一年ほど前──ちょうどユーリが勇者引退を言い渡された時期、ガイムが大暴走を利用して大規模攻撃を仕掛けてくることを知った。
もちろん止めようと思ったが、逆にこれを利用するという考えに至った。
数多の人間を陥れながらも、なにひとつ証拠を残さず、自分の手も汚さず、全てを闇から闇に葬る男、ガイム。
そんな狡猾な男が、唯一隙を見せるであろう、その日、その瞬間。
そこを狙って、彼の持つ全てのホットラインを潰し、渾身の一刺しを突き入れることにしたのだった。
「苦労しましたよ~。ま、大体の人はお金でどうにかなったんですけどね、そうじゃない人なんかは……まあちょっとあんまり言えないことしたり、ハニトラ仕掛けたり、勇者連合にいる僕のシンパの勇者とか、クインリィ様に圧力かけて貰ったり……ほんと、いままで積み上げたものを全部崩す覚悟で、頑張っちゃいましたぁ~」
ペラペラとそんなことをのたまうユーリに、ガイムは半ば茫洋としながら問う。
「元老院……は?」
「え?」
「元老院議会は……どうやって黙らせた!? やつらは金にも圧力にも屈しないはずだ! それをどう懐柔したのだ!?」
気が付けば限界まで目を見開き、口角泡を飛ばす勢いでそう叫んでいた。
自分はいま、追い詰められている。
人生で初め経験する窮地に、その人間性が露わになり、感情を抑制するフィルターも消え失せたのだった。
「はは……嬉しいですよ。なんかやっと、本当のあなたと話ができた気がします」
ユーリはそう言って、コツコツと自身のチョーカーを叩いた。
「元老院の方々は、もちろん説得が一番大変でしたけど、一番シンプルな方法で納得していただけました」
そこで彼はチョーカーを軽く握り、その手に【勇装龍気】の青黒い光を纏わせて、
「僕はもう勇者じゃないから、ここからは好き勝手にさせて貰う……そう言ったら、皆さんとっても快く、あなたを切り捨ててくれましたよ?」
バガンッ! と、チョーカーを握りつぶしながら、にっこりと微笑んでそう言った。
ユーリを完全に敵に回すか。それともガイムを切り捨てるか……その二択を突きつけるのは、かなりのリスクを伴うものだった。
元老院がその気になれば、『アンペルマン』など簡単に潰されてしまうのだ。
しかしそれは、こちらも同じこと。
ユーリが本気を出せば、元老院を物理的な意味で潰せるのだ。
地位も名誉も失ったユーリが──何も失うものがなくなったユーリが、敵に回る。
その意味を熟考した結果、彼らは賢い選択を選び取ってくれたのだった。
勇者としての地位を『取り戻す』ことは叶わなかった。
しかし、それを『捨てる』ことで、こちらの要求を通したのだった。
「ガイムさん、あなたは本当に強い人でした。嫌みなんかじゃなくて、本当にそう思っています」
強さとは様々な種類がある。
単純な武力による強さもあれば、権力による強さ、大金を持っているという強さ、そして駆け引きによる強さ。
人を陥れるという強さ。
武力では及ぶべくもないが、その他の強さにおいて、ガイムはユーリを圧倒していた。
そんな相手に、真っ向からやっても勝てるわけがない。
なにも失わずに勝つなど、土台無理な話なのだ。
「だからね、ガイムさん。僕はあなたを倒すために、勇者でいることを諦めたんです。僕の全部を使って、あなたも道連れにすることに決めたんですよ」
ユーリは悲しそうに──しかし、次の瞬間には満面の笑みを浮かべると、ゆっくりとガイムに歩み寄った。
そして、まるでスポーツ試合での対戦相手をねぎらうように、ポフ、とその肩を軽く叩き、
「ナイスファイトでした、ガイムさん! 一緒に地獄に落ちましょう!」
「…………っ!」
もはやなにも言うことができず、ガイムはその場に頽れるようにして膝をついた。
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