【完全版製作記念連載再開】金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師

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ざまぁされたらやり返す編

42話 キレ散らかす

「なぜ……だ……!?」

 戦意どころか意識すらも喪失しそうになるヘルデンを他所に、ガイムは震える声を絞り出す。

「この弾丸は、【勇装龍気フランジャー】を貫くことは検証済み……。そもそも、それを発動する暇などなかったはずだ! 
……なのに、なぜ……なぜ生きている!?」
「ん~と。じゃあまず問②のほうから。確かにいきなりぶち込まれたんで、ちょっとびっくりはしたんですけど」

 ユーリは一度【勇装龍気フランジャー】を消し去ると、右手を突き出し、そこに一瞬だけ【勇装龍気フランジャー】を灯し、すぐに消して見せた。
 まるで青い光が点滅しているかのように見えるそれを、何度か繰り返しながら自慢げに告げる。

「めちゃくちゃ訓練したんですよ。こうやって、チョーカーが反応しないくらいの速度で、瞬時に発動させて、すぐに消す技術。
 ……ってか、チョーカーをつけられてから、それくらいしか【勇装龍気フランジャー】の修行ができなかったんで、ほんっとにそれだけの技、なんですけどね」

 そのためだけに練習をする価値があるかどうかと問われれば、正直ないと答えるだろう。
 どころか、それが失敗してしまい、何度かチョーカーが反応してしまったこともあった。
 リスクに対してリターンが見合っていない、無駄な修行と言わざるを得ない。
 が、それでもユーリは続けた。
 それ以外にできる訓練がなかったから、というのもあるが、それ以上に、

「でも、僕の敵ってほら、魔王軍だけじゃないじゃないですか?
 そっちと戦ってるうちに、後ろからズドン! なんてこともあると思って、そういう訓練もしておいたんですよ」

 同じパーティメンバーの拳闘士から、いきなり【奥義】をズドンされることもあったし。

「だから、ほら、前からズドン! ってされても、大丈夫だったでしょ?」
「…………ッ」

 パンパンと胸を叩くユーリに、ガイムは再び銃口を突きつける。
 が、ユーリは全く焦った様子無く、両手を広げて見せると、

「で、これが問①の答え……【勇装龍気フランジャー】を貫く弾が、なんで防げたかって質問に対する答えなんですけど」

 ゴゥンッ、と。
 先ほどの倍以上の量、重さ、そして威圧感を伴った【勇装龍気フランジャー】が、ユーリの全身から迸った。

「「「「「…………っひ!」」」」」

 帝国兵士やヘルデンはもちろん、味方であるはずの者ですら、命の危険を感じるほどの、圧倒的な圧力。
 そんな物騒な力を身に纏ったユーリは、しかし柔和な笑顔を浮かべると、

「その検証をしたのって、お宅の国にいる、有象無象の勇者の人たちですよね?
 そんなのと一緒にされたら困りますよ~。
 僕ってほら、世界でも一番強くてイケメンな勇者って言われてるじゃないですか?
 そりゃあ、それくらいの銃弾くらい防げますよ~!」
「…………っ!!」

 ガイムの口から、血の筋が伝う。
 強く歯噛みをし過ぎて。歯ぐきから出血したのだ。
 怒り、悔しさ、焦燥感……。
 それらすべてが凝集されたような彼の顔を見て、ユーリは思う。
 、と。

「……だからね、ガイムさん。こんなことされても、僕は全然痛くないんです」

 笑顔を取り下げたユーリは、ガイムに向けて歩いていく。

「そっちがそう来るなら、僕だってキレ散らかしてもいいですよね……!?」
「ひっ……く、来るなあッ!!」

 ガイムは半ば反射的に引き金を引く。放たれた弾丸はユーリへと向かうが、もはやそれは軽く手を振るだけで弾かれた。
 はるか後方で、山の一部が爆砕する音を聞きながら、ユーリは静かに告げた。

「罪のない国民を傷つけられることのほうが、よっぽど痛い……!
 クランメンバーを傷つけられることのほうが、よっぽど痛い!!」

 三発、四発と銃弾が発射されていくが、ユーリはそれを歯牙にもかけず、ガイムに肉薄する。
 そして【勇装龍気フランジャー】を纏わせた拳を、大きく振りかぶると、

「センテンススプリング砲を食らったときのほうが、よっぽど痛かったぞおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」
「ぐああああぁぁぁぁッ!!」

 ユーリの拳が顔面へとめり込み、ガイムはもんどりうつようにして倒れ込んだ。
 かろうじで意識は手放さなかったようだが、鼻は曲がり、前歯は完全に砕け散っている。
 そんな死に体の男の胸倉を掴むと、ユーリは怒り口調で畳みかける。

大暴走スタンビートを意図的に引き起こす……って、なに考えてんだよ、あんた!? 僕たちを潰すためだけに、何千人もの命を巻き込むんじゃないよ!
 あと、去年クルーズ船でラウンジ嬢の女の子と乱交したの、センテンススプリングに売ったの、アンタだろ!?」
「うぐぅ……う、うう……」

「僕らのクランメンバーだって死にかけたんだ! その子が死んだら、僕はアンタを殺してた! それくらいの覚悟はあったんだろうなぁ!?
 一昨年、アーリア王国のお姫様に手を出したときもすっぱ抜かれた! それもアンタが情報提供したって、『別班』から情報が入ったぞ!」

「ぐっ、う、うぅ……」
「メルドラ王国のときもそうだ! お姫様もイったし、お后様もイった! 最終的には親子ふたりと一緒に仲良くしたさ! その帰りに記者が待ち構えてて……!」
「落ち着いてください、ユーリ。後半あなたの下半身の話しかしていません」

 クインリィの言葉で我に返ったユーリは、胸倉を掴み上げてガイムに顔を寄せると、

「僕が辞めれば、今後一切『アンペルマン』には手を出さない……。あんたがそんな約束を守るなんて、ハナから思ってないよ。
『アンペルマン』が今後も活動していく上で、あんたは絶対に潰しておかなくちゃいけない相手だ。
 もう逃げられないよ、ガイムさん。あんたにはここでリタイアしてもらう!」
「ぐぅ、うッ……はっ! バカな男だ! このわしを消したところで、帝国は『アンペルマン』にも……貴様にも攻撃も続けていくぞ!」

 血塗れの口で凄絶に笑いながら、ガイムは言葉を返した。
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