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ざまぁされたらやり返す編
48話 “ラブコール”(後) イラストあり
エンリエッタも目を拭いながらその光景を見て、
「うぅ……でも、良かった、良かったです……! 勇者様、あんなに頑張ったのにみんなに嫌われたまんまだなんて、かわいそ過ぎですもん! ちゃんとみんなに伝わって良かったぁ~~~!!」
「ちょ、ちょっと! エリちゃんまで泣かないでよ! あたしもつられて……グスッ!」
と、涙目で鼻をすするファイフを撫でつつ、ブレイダはセイラに話しかけた。
「良かったね、セイラさん。できればこういう形に持っていきたかったんでしょ?」
「ええ。まさかヒィロさんがこんなサプライズを用意してくれるなんて、思ってもみなかったですけどね」
「思ってもみなかった……ねえ」
ブレイダはセイラをジーッと見つめ、
「……ところでこの子たち、なんで今日、私たちがここに来るって知ってたんだろうねえ?」
「さあ。私に訊かれましても」
「ヒィロさんが考えたにしては、サプライズの演出が凝ってるような気もするんだけど……誰かの入れ知恵でもあったのかなぁ?」
「ま、まさか……私たちの中に裏切り者が……?」
「坊ちゃんを裏切るなんて、ひどいことするよねえ~。パンケーキ奢ってあげるの刑に処さなきゃ♡」
「それでは生ぬるいです。ストバの季節限定フラペチーノを奢ってあげるの刑も追加致しましょう」
ふたりがニコニコしながら顔を見合わせていると、ユーリが一際大きな声で叫んだ。
「み、みんな! ありがとう、本当にありがとう! みんなの気持ちは伝わったよ! だから僕も、グスッ、僕も決めたよ!!」
ユーリはぐしぐしと目を拭ってから、声高らかに宣言した。
「──元老院と、戦おう!!
ここにいるみんなで! 力を合わせて! 最後の一人になるまで、戦い抜こうじゃないか!!」
「「「「「「「…………………ん?」」」」」」」
それまでの歓声がピタリと止み、代わりにどえらい空気が流れ始める。
違う。
そうじゃない。
自分たちが言いたいのは、そっちじゃない。
と、誰もがそんな目でユーリを見るが、彼はなぜか力強く頷くのみで、こちらの意図を汲む気配はない。
完全に『ヤリ散らかすぞ』モードに入ってしまったようである。
「……えっと、えーっと……。先輩、先輩? あ、あの、言いづらいんですけど、そういう話、ではなくてですね……」
と、気まずそうに口を挟むヒィロだったが、ユーリは言葉の続きを手で制し、
「分かってるよ、ヒィちゃん! 君の言いたいことは全部分かる。
確かに元老院相手に真っ向から喧嘩なんて売ったら、僕たちはただじゃすまない。それどころか、魔王軍との戦争中に、人同士で争いなんか始めたら、世界中からの批判が寄せられて、各国の軍隊や勇者が僕たちを粛清に来るかも知れない。いや、きっとそうなる。
僕たちが元老院に逆らうことで、全世界を敵に回すことになるんだ。そんなことになったら、たくさんの人が死ぬし、王国の存続すらも危うくなるだろうね」
ユーリは好戦的に笑うと、ヒィロの肩を力強く握りしめ、
「でも、それでもやるって、君たちはそう言ってくれてるんでしょ?
だったらもう、僕から言うことはなにもないよ!
やろう、ヒィちゃん! みんな! 最後のひとりになっても、国が滅んでも、元老院に一泡吹かせてやるんだ!!!!!!」
「「「「「「「…………………」」」」」」」
嫌です。
吹かせないです。
そういう話じゃないです。
勇者様を見送るっていう、あの、やつです。
これはそういうやつです。
と、そこにいる誰もがそう思ったものの、ユーリがあまりにも熱くなっているため、誰もなにも言えなかった。
なにも言えなかったが、ヤベェことになっているという思いも、ひしひしと募っていく。
引退したとはいえ、彼は世界最強と言われるほどの勇者である。
彼がやると言ったら、ワンチャンマジでそうなる可能性もあるのだ。
「……ファイフさん」
「はいよ」
不穏な空気が渦巻いていくなか、セイラの指令でファイフが動き出す。
彼女が迫っていくことにも気づかずに、ユーリは熱い演説を続けていた。
「Fortune favors the bold!! Power to the people!! 僕たちの力を世界に! 元老院に見せつけてやろう!!
僕たちの冒険は、これかぐぼぉッ!!」
全てを言い切る前に、ファイフのガゼルパンチが鳩尾に突き刺さり、ユーリは意識を刈り取られた。
そのままファイフに抱き抱えられる彼の元へ、マホは「あ、あ~」と発声練習しながら近づくと、
「な~んてね。冗談冗談。みんなが元気にやってくれれば、それだけで僕は満足さ。みんな、これからも『アンペルマン』をよろしくね(裏声)」
「「「「「「「…………………」」」」」」」
と、一瞬の変な沈黙が空いたのち、青い顔をしたヒィロがポンと柏手を打ち、
「は、はは、は、ははは! なぁ~んだぁ~! 冗談ですかぁ~! 先輩ったら、お茶目なんですからぁ~!」
その声に、「だ、だよなぁ~。冗談だよなぁ~」「いやぁ、俺は、な? か、かましてやっても、いいと思ってるけどな~」「でも勇者様がそう言うなら、な? やめた方がいいよな」と、わざとらしい声と乾いた笑いが続く。
「良かったあ~~~~!!」と、全力の安堵の息をつきながら、そうしていたのである。
そんな紆余曲折はあったものの、ともかく、こうして……。
「じゃあね、みんな。僕たちがいなくなった後も、しっかりやるんだよ(裏声)」
「「「「「「「はい!! ありがとうございました!!!!」」」」」」」
感謝の言葉と温かな思い、そして若干引き攣った笑顔に見送られながら、ユーリたちはアジトを後にしたのだった。
「うぅ……でも、良かった、良かったです……! 勇者様、あんなに頑張ったのにみんなに嫌われたまんまだなんて、かわいそ過ぎですもん! ちゃんとみんなに伝わって良かったぁ~~~!!」
「ちょ、ちょっと! エリちゃんまで泣かないでよ! あたしもつられて……グスッ!」
と、涙目で鼻をすするファイフを撫でつつ、ブレイダはセイラに話しかけた。
「良かったね、セイラさん。できればこういう形に持っていきたかったんでしょ?」
「ええ。まさかヒィロさんがこんなサプライズを用意してくれるなんて、思ってもみなかったですけどね」
「思ってもみなかった……ねえ」
ブレイダはセイラをジーッと見つめ、
「……ところでこの子たち、なんで今日、私たちがここに来るって知ってたんだろうねえ?」
「さあ。私に訊かれましても」
「ヒィロさんが考えたにしては、サプライズの演出が凝ってるような気もするんだけど……誰かの入れ知恵でもあったのかなぁ?」
「ま、まさか……私たちの中に裏切り者が……?」
「坊ちゃんを裏切るなんて、ひどいことするよねえ~。パンケーキ奢ってあげるの刑に処さなきゃ♡」
「それでは生ぬるいです。ストバの季節限定フラペチーノを奢ってあげるの刑も追加致しましょう」
ふたりがニコニコしながら顔を見合わせていると、ユーリが一際大きな声で叫んだ。
「み、みんな! ありがとう、本当にありがとう! みんなの気持ちは伝わったよ! だから僕も、グスッ、僕も決めたよ!!」
ユーリはぐしぐしと目を拭ってから、声高らかに宣言した。
「──元老院と、戦おう!!
ここにいるみんなで! 力を合わせて! 最後の一人になるまで、戦い抜こうじゃないか!!」
「「「「「「「…………………ん?」」」」」」」
それまでの歓声がピタリと止み、代わりにどえらい空気が流れ始める。
違う。
そうじゃない。
自分たちが言いたいのは、そっちじゃない。
と、誰もがそんな目でユーリを見るが、彼はなぜか力強く頷くのみで、こちらの意図を汲む気配はない。
完全に『ヤリ散らかすぞ』モードに入ってしまったようである。
「……えっと、えーっと……。先輩、先輩? あ、あの、言いづらいんですけど、そういう話、ではなくてですね……」
と、気まずそうに口を挟むヒィロだったが、ユーリは言葉の続きを手で制し、
「分かってるよ、ヒィちゃん! 君の言いたいことは全部分かる。
確かに元老院相手に真っ向から喧嘩なんて売ったら、僕たちはただじゃすまない。それどころか、魔王軍との戦争中に、人同士で争いなんか始めたら、世界中からの批判が寄せられて、各国の軍隊や勇者が僕たちを粛清に来るかも知れない。いや、きっとそうなる。
僕たちが元老院に逆らうことで、全世界を敵に回すことになるんだ。そんなことになったら、たくさんの人が死ぬし、王国の存続すらも危うくなるだろうね」
ユーリは好戦的に笑うと、ヒィロの肩を力強く握りしめ、
「でも、それでもやるって、君たちはそう言ってくれてるんでしょ?
だったらもう、僕から言うことはなにもないよ!
やろう、ヒィちゃん! みんな! 最後のひとりになっても、国が滅んでも、元老院に一泡吹かせてやるんだ!!!!!!」
「「「「「「「…………………」」」」」」」
嫌です。
吹かせないです。
そういう話じゃないです。
勇者様を見送るっていう、あの、やつです。
これはそういうやつです。
と、そこにいる誰もがそう思ったものの、ユーリがあまりにも熱くなっているため、誰もなにも言えなかった。
なにも言えなかったが、ヤベェことになっているという思いも、ひしひしと募っていく。
引退したとはいえ、彼は世界最強と言われるほどの勇者である。
彼がやると言ったら、ワンチャンマジでそうなる可能性もあるのだ。
「……ファイフさん」
「はいよ」
不穏な空気が渦巻いていくなか、セイラの指令でファイフが動き出す。
彼女が迫っていくことにも気づかずに、ユーリは熱い演説を続けていた。
「Fortune favors the bold!! Power to the people!! 僕たちの力を世界に! 元老院に見せつけてやろう!!
僕たちの冒険は、これかぐぼぉッ!!」
全てを言い切る前に、ファイフのガゼルパンチが鳩尾に突き刺さり、ユーリは意識を刈り取られた。
そのままファイフに抱き抱えられる彼の元へ、マホは「あ、あ~」と発声練習しながら近づくと、
「な~んてね。冗談冗談。みんなが元気にやってくれれば、それだけで僕は満足さ。みんな、これからも『アンペルマン』をよろしくね(裏声)」
「「「「「「「…………………」」」」」」」
と、一瞬の変な沈黙が空いたのち、青い顔をしたヒィロがポンと柏手を打ち、
「は、はは、は、ははは! なぁ~んだぁ~! 冗談ですかぁ~! 先輩ったら、お茶目なんですからぁ~!」
その声に、「だ、だよなぁ~。冗談だよなぁ~」「いやぁ、俺は、な? か、かましてやっても、いいと思ってるけどな~」「でも勇者様がそう言うなら、な? やめた方がいいよな」と、わざとらしい声と乾いた笑いが続く。
「良かったあ~~~~!!」と、全力の安堵の息をつきながら、そうしていたのである。
そんな紆余曲折はあったものの、ともかく、こうして……。
「じゃあね、みんな。僕たちがいなくなった後も、しっかりやるんだよ(裏声)」
「「「「「「「はい!! ありがとうございました!!!!」」」」」」」
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