【完全版製作記念連載再開】金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師

文字の大きさ
53 / 78
ざまぁされたらやり返す編

50話 おわりのおわり、からの始まり イラストあり

「さあ~、まず紹介するのは、階段の上に飾ってある、あの絵! 見えます? あのでっかい抽象画です! ねえ、なにが描いてあるか分からないですよね~。
でもあれ……なんとなんとォ、新進気鋭の前衛芸術家、ドルベオの作品なんですね~! サザリーピークのオークションで一目惚れしちゃってね、買っちゃいました~! お値段なんと……102億ルードで~す!! はいっ、すご~い! サザリーピークのオークションレコード更新しちゃいました~!
 あ、サザリーピークといえばね、そこで買ったこんなのもありますよ! この灰皿とか宝剣とかはね、初代勇者の銀武(ぎんぶ)が使ってたやつで~……」

 彼はその後もエントランスホール内を歩き回り、調度品や家具などを紹介して回った。
 そのいずれも高価のもので、庶民に手が出るものではなかった。
 もちろん、調度品はここにあるものだけではない。
 この屋敷のところどころに、高価な品々が点在しているのだ。
 ユーリに買えないものなど、この世にないのだ。

「いやあ~、もうほんとそうなんですよぉ~。確かにガイムさん倒すのにかなりお金使っちゃいましたけどね、それでも1000億ルード以上持ってますから、僕。『アンペルマン』の子会社でねえ、株を半数以上所有してるところがいっぱいあるんでね、もうなんもしなくてもお金が集まっちゃって集まっちゃって……。困っちゃうなあ、もぉ~!」

 再びエントランスホールの中心へとやって来たユーリは、入り口に背を向け、

「……だか、ら……だからぁ!
 僕が! この世で! 手に入らないものなんて……グスッ! ひとつも! ないんだよお!!」

 調度品に……いや、屋敷全体に向けて、叫ぶようにしてそう言った。
 すべてを持っている男は、なにひとつ持っていないかのように。
 豪奢な屋敷の中心で、泣きわめいていたのだった。

「一等地のでっかい家! たっかいお酒に食べ物、あと変な絵! 一生遊んで暮らせるお金! かわいい女の子!!
 僕は全部持ってる! この世の全部を持ってるんだ! 好きなときに寝て! 好きなときに好きなもの食べて! 好きなときに好きな女の子とエッチする! そういうことができるんだよ!
 なんの不満もない! なんの不自由もないぞ! 僕はこれから好きに生きるんだ!
 どうだあぁ!? 参ったかあああぁぁ!?」

 そうとだけ叫ぶと、ユーリはヨロヨロと壁際のソファへと向かい、倒れ込むように座り込んだ。
 肩で荒い呼吸を繰り返し、それが落ち着いてきたころ、ケータイを取り出してとある相手へと念話をかけた。

『……もしもし、どうしたんですか、先輩?』

 念話の相手──ヒィロに向けて、ユーリはボロボロと泣きながら情けない声で告げる。

「どうしよう、ヒィちゃん。やっぱ勇者辞めんの死ぬほどしんどい。元老院ぶっ潰すから、そっち戻ってもいい?」
『なにがしたいんですか、あなたは……』

 呆れ半分、そして『やはりこうなったか……』という思い半分で、ヒィロは言葉を返した。
 何度も論じたように、ユーリのメンタルはそこまで強くない。
 ガイムを倒すという大きな目標があるうちは良かった。
 メンケア担であるセイラたちが周りにいるときも、まだ大丈夫だった。

 しかし目標が達成され、独りぼっちになった瞬間、この通り。
 よわよわなメンタルが顔を覗かせ、ひとりで立てなくなるほど凹んでしまっているようだった。

『自分も戻って欲しいのは山々ですが……さすがにもうどうしようもありません。新体制で動き始めてしまっているし、本当に元老院を敵に回すようなことも、その……』
「うん、分かってる、分かってる。あのときはちょっとテンションバグっちゃって、わあああってなっちゃって、思わずそう言っちゃっただけ」

 ファイフに気絶させられ、馬車の中で目を覚ましたユーリは、その発言に対して大いに反省した。自分のやりたいことを通すために、国にいる何千万人もの命を犠牲にするなど、それはもうどっちかっていうと魔王のメンタリティである。

「全部わかってる。分かってるんだよ……でもやっぱ、いざそうなってみると、やっぱり寂しくなっちゃってさ……」
『……先輩、まさか変なこと考えていないでしょうね?』
「さすがにそこまでじゃないけど……なんか、もう、なにしていいか分からなくてさ」

 生まれたときから勇者として生きてきたので、他の生き方が分からない。
 趣味らしい趣味もない。どころか、休日を取るなど久々過ぎて、その過ごし方すら分からない。
 勇者を辞めると決めた瞬間から、こうなることは分かっていた。
 しかし、思ったよりもヤバいメンタルになってしまったようだ。

 ──と。
 ユーリが更なる泣き言を吐こうとした、そのとき、

「……それを一緒に考えるために、私たちがいるのでしょう?」

 視界の端から、セイラの優しい声が鳴り響いた。
 反射的に首を巡らせると、

「……え?」

 そこには案の定、聖母のような笑顔を浮かべたセイラが、他のメンバーとともに屹立していた。
 が、その手に持たれているのは……。

「……えっと、なんでセイラさん、ウォーハンマーなんて持ってんの? 他のみんなも、ゴリゴリに武装して……」

 セイラはウォーハンマーを、ブレイダは剣を、カリナとハンナはリボルバーを。
 各々の獲物を手に、彼女らはユーリへと歩み寄ってきているのだった。

『どうしたんですか、先輩? え、武装って……き、聞き間違いですよね?』

 と、ヒィロの心配そうな声が響くケータイを、セイラがそっと取り上げる。そして『大丈夫ですよ。また掛けなおします』と言って念話を切り、ユーリへと返した。
 そうしてから、再びユーリに向けて優しく笑いかけ、

「ユーリ・ザッカ―フィールド。あなたに決闘を申し込みます」
「……は?」

 と、二秒ほど時間を空けて頓狂な声を返す。
 決闘とは、メンバー間でどうしても折り合いがつかないとき、最終的な交渉手段として使われる、『アンペルマン』の裏ルールともいえる解決策だ。
 文字通り、対立する意見を持つ者同士が、話し合いによって決闘方法を決め、ガチンコでやり合うのだ。
 以前ファイフが、理不尽な理由でユーリに挑んだアレである。
 そのときも唐突だったが、それ以上にわけの分からないタイミングで発動されたため、ユーリは大きく眉をひそめながら、

「えっと……な、なんで? 別に僕たち、戦う理由なんて……」
「ありますよ。勇者様。私が勝ったら……」

 そこでセイラは大きく息を吸い込み──やがて覚悟を固めるようにして……。
 その言葉を、言った。

「──私たちを、あなたのハーレムに入れていただきます」

「……………………は?」

 ガチャンッ! と、一同の持つ武器が、物騒な音を打ち鳴らした。









※※以下筆者後書き※※

今回もご覧いただきありがとうございます!!

これにて三編は終了となります! 
ここからがようやく、ようやく筆者が本当にやりたかった展開となります……長かった……!!

そしてそして、本日は14時に登場人物紹介②も投稿させていただきますので、よろしければそちらのほうもご一読ください!

ご意見ご指摘、ブックマーク登録やいいね、大会ポイントの投票など、よろしかったらお願いいたします!!
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。