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閑話・特になんてことの無い日の話
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「ねぇねぇ、ゼロさんや」
「ん?どうした」
ちょっと肌寒いお昼前。本日のお宿で休憩してから買い出しに出掛けてるなうなんですが、なんだか違和感を感じます
「勘違いだったら申し訳ないんだけどさ…、なんというかこの街…ピンクじゃない?」
いや、けしてアダルティなピンクじゃなくてね?例えばあそこの花屋さんはピンクと白のお花が沢山飾られてて、あっちのお店は濃いピンクと薄ピンクのリボンが可愛らしく扉を飾ってる
ついでに道行く人の帽子とか胸ポッケにもお花が飾ってあって、赤いお花を持った男の子達がわぁわぁ盛り上がっていたり、白いお花を飾ってる女の子達がそわそわしていたり
そんでもって、
「めっちゃカップルが多い!」
男女男男女男女で組み合わせは自由に選んでね!って感じだけれど、右を見ても左を見ても、恋人繋ぎをしてる2人組ばかりです先生!
「このまま囲まれたら消されてしまうのでは…?」
「なににだ。」
「愛の女神の圧力?」
「女神の愛娘が言うと洒落にならないだろう。」
笑いながら荷物を抱えるゼロさんには、リア充のなんたるかを教えねばなるまいか?
「バレンタインを世界の祝い日にしたのは聖女だと聞いたが?」
「ばッ、バレンタインが祝日!?」
なんだそれ!?驚きすぎて声が裏返っちゃったジャマイカ!
「おや、なんだいお嬢ちゃん知らないのかい?」
「知っているのかライdげふんッ、おねえさん!」
つい大きな声で叫んだものだから、店先に出てた花屋のオバチャンが現れた
「その昔、聖女様が教皇様へ心を込めて手ずから焼き菓子を作られてね。「日頃の御礼です」なぁんてお気持ちを隠して仰ったわけよ。それに気づいた教皇様が話を聞いたら、バレンタインっていう愛する人に贈り物をする日だってわかってね。もちろん教皇様は聖女様のお気持ちを受け取って、女神アルヘイラ様に捧げる愛の日としてバレンタインを祝いの日になさったんだよぉ」
ロマンチックよねぇ~!なんて、ニコニコ笑顔のオバチャンに教えてもらったこの世界のバレンタイン
「教皇様、浮かれてはっちゃけちゃったか…。」
よっぽど聖女様が好きだったんだねぇ、ほほえましいね。ってことにしとこ?やべぇよ権力者、浮かれた勢いで世界の祝日作っちゃってるやん
「まぁ…お前のところでは違うかもしれないが、祝い日と呼ばれる日は建国祭や生誕祭と違い世界共通でおなじ日に祝われる女神の為の祭日だと思えば良い。」
「なるほどね!シンジョウは かしこさが 1 あがった!」
バレンタインが祝日なら、聖なる夜とかも祝日になってそうだけどどうなんだろ?今度聞いてみようかな。なんて考えつつ、ゼロさんとハイタッチしてたら
「ってわけで、買ってくよね?お嬢ちゃん。」
「わぁ、かわいい!」
花屋のオバチャンに差し出されたのは、ピンク色のお花なんだけど…バラ?なんだろ、赤からピンクにグラデーションのかかっている、バラとカーネーションの間の子みたいなお花をわたされた
「フリーなら白、思う相手がいるなら赤、恋人がいるならピンクの花を身に付けるんだよ」
「んぁあ!なるほど!さっきの甘酸っぱい雰囲気の少年少女はそれか!」
超スッキリである。というか、いままさに告白されたのであろう女の子が、お花3本をリボンで結んで小さなブーケにしてもらって、右手にピンクの花を飾った恋人、左手にブーケな幸せ笑顔でお店を後にしていった。
「ふんふん、ピンクは恋人がいる人用なんだよね?じゃあ、白いお花をくださいな!」
わたし、絶賛フリーなんですよ。オバチャンに渡されたピンクのお花も心なしか困り顔。目と目があった瞬間好きだと気付いたりはしないんだけれど、ビックリGAOのオバチャンに見つめられて居心地悪し。え、この間はなんだね?
「ちょっとちょっと…、そうなのかい?」
え、なにどこ見てるのオバチャン?私と会話してたと思ったのは勘違いだったのかオバチャン。そっちはゼロさんだよ?
「…白と、赤も。結んでくれるか」
「はいよ!」
「んぇ?!」
オバチャンとゼロさんが無言で数秒見つめ合ったと思ったら、持ってたピンクのお花が回収されて、手早くミニブーケに変身
「持っていろ。」
「えええ?!」
ゼロさんが持つとおもちゃに見えるミニブーケが、ぽいっと私の手元に飛んできた。わぁお、かわいいね?
「まんまと買わされクマー?」
「…、そういうことにしておけ」
お支払い中に、オバチャンとなにか話して戻ってきたゼロさんと目が合わないんですけども。さっきの見つめ合いは睨み合いだったんだろうか。オバチャンの圧に押し負けちゃったのか。というか、
「こういうのは白いお花をさして、ナンパの数を競ったりするイベントが始まるのではないのかね!イベントキャンセルだ!」
「…ナンパされたかったのか?」
「テンプレ的にドキ☆恋愛イベント!とかあったら面白いけど…、いっそ健全な少年少女の初恋泥棒をしてみたいよね!」
この世界で私の外見が幼く見られてるのは把握してるから、真面目な恋愛関係に発展するなんて思ってないよぉ。だって外見で選んでくる大人はロリショタ派ってことになるし、少年少女には外見詐偽扱いな訳で…詰んでるやないか!
「…恋愛は俺で我慢しておけ」
「おうふ、ロンリーボッチ宣言」
いまなんか含みがなかったかね?煤ける私の頭の上でゼロさんの手が跳ねて、慰められてしまった。ぐぬぬ、
「ゼロさんは白いお花つけないの?」
バレンタイン仕様な街中を冷やかしながら、手に持ったままなミニブーケを向けてみる。赤も白も持たないゼロさんに、ちらちら視線を向けるお姉さんがいるの、気がついてるんだぜ!ヘイヘイ、このマイクに話してごらんよ!
「いらん。」
「なぜ!せっかくのモテを!自ら手放すのか!」
あんなに峰不二子もビックリな美人さんや、ナイスバディなおねぇさん達からの視線を無下にするなんて…、
「…あ、さては普段からモテてるからイベントなんて関係ないとかそういうマウント?くっそぉこれだから顔の良いヤツは!さぞかし沢山貰った経験がおありでしょうな!」
あれじゃろ?机にてんこ盛りのチョコの山とか、下駄箱開けたら雪崩のようにラブレターが出てきたりするんだろイケメンがよぉ!
「…昔から、花を受け取ったことはない。」
「なん…だと…?!」
舌打ち間際まで荒れ狂っていた私の心中が、180度回転して着地を決めた
「渡したこともない?」
「ないな」
「うそだろ…ッ?!」
おいおい世の中には女も男も星の数ほどいるんやで?!なぜそんな事態に陥っているのだ!ゼロさんの顔を見ても、ウソをついているようにはみえないし…
「Oh、事実は小説よりも奇なりということか…」
「そんなに驚くことか?」
「いま白いお花持てばわかるよ。」
首をかしげる系男子なゼロさんに、ミニブーケから引き抜いた白い花を差し出す。ほれほれ、持ってごらんよ!すぐさまお姉さん達が来るだろうさ!
「…ゼロさん?」
あの、わたくしこれから始まるであろう展開を期待してwktkしてるんですが?受け取ってくれないから盛大になにも始まらない。なんで!
「それはいらん。寄越すならそっちだろ?」
「これ?」
え、これじゃ意味ないでしょうよ。ピンクは恋人がいる人用でしょ?
「そっちでもいい。」
「えぇ…?じゃあはい、どうぞ?」
三択のうち白がダメで赤かピンクならいいって、フリーアピールできないじゃん。…まぁ、ゼロさんの意思を尊重しますが。今度は渡した赤い花をすぐに受け取ってくれて、そのまま胸ポッケにIN。その上、白い花は手品みたいに消してしまった。なんだいまの!?大剣出すのと同じ原理?
「あ、もしかして昔もそうやって告白予定を擬装してたのかい?」
「さぁ?どうだったか忘れたな。」
なんとなくニヤついてるゼロさんに名推理してみるけど、空振りな感じ。うむむ…謎は深まるばかりである
「というか、ミニブーケが結局1本になってしもうた。」
ピンクのお花だけになったミニブーケ。可愛いけど、ちょっと寂しいね?
「飾れば良いだろう」
「ぉ?」
ひょい、と回収されたお花が、いつの間にか私の耳上に差し込まれて。
「おぉ?おー!ゼロさん器用だね!」
落ちるかと思ったけど、しっかり挟まってびくともしませんね!
「…似合う。可愛らしいな」
「ゼロさんにも似合うよ!お揃いにしよう!」
ゼロさん可愛いもの好きなのかい?最初にピンクが欲しいって言ったのもそういうことかぁ!まかせたまえよ!ゼロさんの髪にもきっと似合うから!
「揃い…」
「すみませーん、ピンク色のお花ください!」
そこら中で売ってるから、すぐ隣にいたお爺さんにお花を売って貰えたでござる。
「はい、ゼロさんにも飾ってあげましょうねぇ~」
あ、ちょっとゼロさん屈んでくださいよ高すぎて届かないよ
「いいのか?」
「んぇ?」
背伸びして伸ばした手が、持っていた花ごとゼロさんの手に包まれた。すっぽり覆われてるとか、大きくて固いとか、引かれて近づいた身体が、腰に回された手が熱いとか、鼻先を掠めそうなくらい近くにある青色とか
「揃いなら、恋人になるが…いいんだな?」
一瞬のことで 息が
「……ッえーてぃーふぃーるどぉおおお!!」
べちぃッ!!
「ブッ!」
止まるかと思ったわい!ビックリしたぁ!!突然目の前に来るから、おもわずフリーだった左手でゼロさんのお顔を押し返しちゃったんですけどあばばっばぁいまのなに?!何の攻撃を受けたのだ私は?!
「…お前な、」
「よっ寄るんじゃない歩くセンシティブマンめッ!存在がBANされたらどうするんじゃ!」
くそう、安全圏まで下がり切れなかったのが悔やまれる!やめるんだ寄るんじゃない!ゼロさんの色気に充てられて顔が熱くて涙が出てくるんですけど?!
「恋人ごっこなら他でやりたまえよ!」
「他じゃ意味がないだろ」
「なんっ、私を標的にして何が目的だ!」
揶揄うの良くない!はんたい!アダルトいじめだ!頭がうまく働かなくて、自分でも何を言っているのかわからないが何をされたのか私もわからないからしょうがないよね!ね?!
「別に揶揄ったつもりはないんだがな」
「じゃ、じゃあなんだというのかね?!」
心の距離分しっかり離れて、体の前でバッテンポーズ!ATフィールド可視化中でございます。そんな私と目と目が合ったゼロさんが沈黙して数秒。いつの間にか落としていたピンクのお花を自分の胸ポケットに飾って、
「今回はこれで我慢してやるから…、そんなに警戒するな。」
「けッ、警戒するにきまってるでしょ!」
無茶をおっしゃる!
「犬みたいに唸るな、我慢できなくなる。」
「ひぇッ?!いじめっこの本能でも呼び覚まされてるの?!」
怖すぎるんですけど?!赤から青に変わってガクガク((((;゚Д゚))))ブルブルし始めた私になにを思ったのか、
「ほら、安心しろ。冗談だ。」
左手を差し出されたでござる。なんだその手は。チベットスナギツネに負けないジットリ具合で見つめてたら、右手をとられてドッキングされた
「そんな顔をしなくても、なにもしない。今日は他国の菓子も売ってるぞ?早く買わないと売りきれるからな。」
好きだろ?甘いもの。と倒置法で微笑まれて、喉の奥にぐっと
「好き…、売り切れ前に買わねば!」
詰まったものに気が付かないふりをして、引かれる手をにぎりかえして、全部知らないふりをして、
美味しいお菓子を胸焼けするまで食べて
なにも始まらない、なにも終わらない異世界バレンタインを楽しんだ
「ん?どうした」
ちょっと肌寒いお昼前。本日のお宿で休憩してから買い出しに出掛けてるなうなんですが、なんだか違和感を感じます
「勘違いだったら申し訳ないんだけどさ…、なんというかこの街…ピンクじゃない?」
いや、けしてアダルティなピンクじゃなくてね?例えばあそこの花屋さんはピンクと白のお花が沢山飾られてて、あっちのお店は濃いピンクと薄ピンクのリボンが可愛らしく扉を飾ってる
ついでに道行く人の帽子とか胸ポッケにもお花が飾ってあって、赤いお花を持った男の子達がわぁわぁ盛り上がっていたり、白いお花を飾ってる女の子達がそわそわしていたり
そんでもって、
「めっちゃカップルが多い!」
男女男男女男女で組み合わせは自由に選んでね!って感じだけれど、右を見ても左を見ても、恋人繋ぎをしてる2人組ばかりです先生!
「このまま囲まれたら消されてしまうのでは…?」
「なににだ。」
「愛の女神の圧力?」
「女神の愛娘が言うと洒落にならないだろう。」
笑いながら荷物を抱えるゼロさんには、リア充のなんたるかを教えねばなるまいか?
「バレンタインを世界の祝い日にしたのは聖女だと聞いたが?」
「ばッ、バレンタインが祝日!?」
なんだそれ!?驚きすぎて声が裏返っちゃったジャマイカ!
「おや、なんだいお嬢ちゃん知らないのかい?」
「知っているのかライdげふんッ、おねえさん!」
つい大きな声で叫んだものだから、店先に出てた花屋のオバチャンが現れた
「その昔、聖女様が教皇様へ心を込めて手ずから焼き菓子を作られてね。「日頃の御礼です」なぁんてお気持ちを隠して仰ったわけよ。それに気づいた教皇様が話を聞いたら、バレンタインっていう愛する人に贈り物をする日だってわかってね。もちろん教皇様は聖女様のお気持ちを受け取って、女神アルヘイラ様に捧げる愛の日としてバレンタインを祝いの日になさったんだよぉ」
ロマンチックよねぇ~!なんて、ニコニコ笑顔のオバチャンに教えてもらったこの世界のバレンタイン
「教皇様、浮かれてはっちゃけちゃったか…。」
よっぽど聖女様が好きだったんだねぇ、ほほえましいね。ってことにしとこ?やべぇよ権力者、浮かれた勢いで世界の祝日作っちゃってるやん
「まぁ…お前のところでは違うかもしれないが、祝い日と呼ばれる日は建国祭や生誕祭と違い世界共通でおなじ日に祝われる女神の為の祭日だと思えば良い。」
「なるほどね!シンジョウは かしこさが 1 あがった!」
バレンタインが祝日なら、聖なる夜とかも祝日になってそうだけどどうなんだろ?今度聞いてみようかな。なんて考えつつ、ゼロさんとハイタッチしてたら
「ってわけで、買ってくよね?お嬢ちゃん。」
「わぁ、かわいい!」
花屋のオバチャンに差し出されたのは、ピンク色のお花なんだけど…バラ?なんだろ、赤からピンクにグラデーションのかかっている、バラとカーネーションの間の子みたいなお花をわたされた
「フリーなら白、思う相手がいるなら赤、恋人がいるならピンクの花を身に付けるんだよ」
「んぁあ!なるほど!さっきの甘酸っぱい雰囲気の少年少女はそれか!」
超スッキリである。というか、いままさに告白されたのであろう女の子が、お花3本をリボンで結んで小さなブーケにしてもらって、右手にピンクの花を飾った恋人、左手にブーケな幸せ笑顔でお店を後にしていった。
「ふんふん、ピンクは恋人がいる人用なんだよね?じゃあ、白いお花をくださいな!」
わたし、絶賛フリーなんですよ。オバチャンに渡されたピンクのお花も心なしか困り顔。目と目があった瞬間好きだと気付いたりはしないんだけれど、ビックリGAOのオバチャンに見つめられて居心地悪し。え、この間はなんだね?
「ちょっとちょっと…、そうなのかい?」
え、なにどこ見てるのオバチャン?私と会話してたと思ったのは勘違いだったのかオバチャン。そっちはゼロさんだよ?
「…白と、赤も。結んでくれるか」
「はいよ!」
「んぇ?!」
オバチャンとゼロさんが無言で数秒見つめ合ったと思ったら、持ってたピンクのお花が回収されて、手早くミニブーケに変身
「持っていろ。」
「えええ?!」
ゼロさんが持つとおもちゃに見えるミニブーケが、ぽいっと私の手元に飛んできた。わぁお、かわいいね?
「まんまと買わされクマー?」
「…、そういうことにしておけ」
お支払い中に、オバチャンとなにか話して戻ってきたゼロさんと目が合わないんですけども。さっきの見つめ合いは睨み合いだったんだろうか。オバチャンの圧に押し負けちゃったのか。というか、
「こういうのは白いお花をさして、ナンパの数を競ったりするイベントが始まるのではないのかね!イベントキャンセルだ!」
「…ナンパされたかったのか?」
「テンプレ的にドキ☆恋愛イベント!とかあったら面白いけど…、いっそ健全な少年少女の初恋泥棒をしてみたいよね!」
この世界で私の外見が幼く見られてるのは把握してるから、真面目な恋愛関係に発展するなんて思ってないよぉ。だって外見で選んでくる大人はロリショタ派ってことになるし、少年少女には外見詐偽扱いな訳で…詰んでるやないか!
「…恋愛は俺で我慢しておけ」
「おうふ、ロンリーボッチ宣言」
いまなんか含みがなかったかね?煤ける私の頭の上でゼロさんの手が跳ねて、慰められてしまった。ぐぬぬ、
「ゼロさんは白いお花つけないの?」
バレンタイン仕様な街中を冷やかしながら、手に持ったままなミニブーケを向けてみる。赤も白も持たないゼロさんに、ちらちら視線を向けるお姉さんがいるの、気がついてるんだぜ!ヘイヘイ、このマイクに話してごらんよ!
「いらん。」
「なぜ!せっかくのモテを!自ら手放すのか!」
あんなに峰不二子もビックリな美人さんや、ナイスバディなおねぇさん達からの視線を無下にするなんて…、
「…あ、さては普段からモテてるからイベントなんて関係ないとかそういうマウント?くっそぉこれだから顔の良いヤツは!さぞかし沢山貰った経験がおありでしょうな!」
あれじゃろ?机にてんこ盛りのチョコの山とか、下駄箱開けたら雪崩のようにラブレターが出てきたりするんだろイケメンがよぉ!
「…昔から、花を受け取ったことはない。」
「なん…だと…?!」
舌打ち間際まで荒れ狂っていた私の心中が、180度回転して着地を決めた
「渡したこともない?」
「ないな」
「うそだろ…ッ?!」
おいおい世の中には女も男も星の数ほどいるんやで?!なぜそんな事態に陥っているのだ!ゼロさんの顔を見ても、ウソをついているようにはみえないし…
「Oh、事実は小説よりも奇なりということか…」
「そんなに驚くことか?」
「いま白いお花持てばわかるよ。」
首をかしげる系男子なゼロさんに、ミニブーケから引き抜いた白い花を差し出す。ほれほれ、持ってごらんよ!すぐさまお姉さん達が来るだろうさ!
「…ゼロさん?」
あの、わたくしこれから始まるであろう展開を期待してwktkしてるんですが?受け取ってくれないから盛大になにも始まらない。なんで!
「それはいらん。寄越すならそっちだろ?」
「これ?」
え、これじゃ意味ないでしょうよ。ピンクは恋人がいる人用でしょ?
「そっちでもいい。」
「えぇ…?じゃあはい、どうぞ?」
三択のうち白がダメで赤かピンクならいいって、フリーアピールできないじゃん。…まぁ、ゼロさんの意思を尊重しますが。今度は渡した赤い花をすぐに受け取ってくれて、そのまま胸ポッケにIN。その上、白い花は手品みたいに消してしまった。なんだいまの!?大剣出すのと同じ原理?
「あ、もしかして昔もそうやって告白予定を擬装してたのかい?」
「さぁ?どうだったか忘れたな。」
なんとなくニヤついてるゼロさんに名推理してみるけど、空振りな感じ。うむむ…謎は深まるばかりである
「というか、ミニブーケが結局1本になってしもうた。」
ピンクのお花だけになったミニブーケ。可愛いけど、ちょっと寂しいね?
「飾れば良いだろう」
「ぉ?」
ひょい、と回収されたお花が、いつの間にか私の耳上に差し込まれて。
「おぉ?おー!ゼロさん器用だね!」
落ちるかと思ったけど、しっかり挟まってびくともしませんね!
「…似合う。可愛らしいな」
「ゼロさんにも似合うよ!お揃いにしよう!」
ゼロさん可愛いもの好きなのかい?最初にピンクが欲しいって言ったのもそういうことかぁ!まかせたまえよ!ゼロさんの髪にもきっと似合うから!
「揃い…」
「すみませーん、ピンク色のお花ください!」
そこら中で売ってるから、すぐ隣にいたお爺さんにお花を売って貰えたでござる。
「はい、ゼロさんにも飾ってあげましょうねぇ~」
あ、ちょっとゼロさん屈んでくださいよ高すぎて届かないよ
「いいのか?」
「んぇ?」
背伸びして伸ばした手が、持っていた花ごとゼロさんの手に包まれた。すっぽり覆われてるとか、大きくて固いとか、引かれて近づいた身体が、腰に回された手が熱いとか、鼻先を掠めそうなくらい近くにある青色とか
「揃いなら、恋人になるが…いいんだな?」
一瞬のことで 息が
「……ッえーてぃーふぃーるどぉおおお!!」
べちぃッ!!
「ブッ!」
止まるかと思ったわい!ビックリしたぁ!!突然目の前に来るから、おもわずフリーだった左手でゼロさんのお顔を押し返しちゃったんですけどあばばっばぁいまのなに?!何の攻撃を受けたのだ私は?!
「…お前な、」
「よっ寄るんじゃない歩くセンシティブマンめッ!存在がBANされたらどうするんじゃ!」
くそう、安全圏まで下がり切れなかったのが悔やまれる!やめるんだ寄るんじゃない!ゼロさんの色気に充てられて顔が熱くて涙が出てくるんですけど?!
「恋人ごっこなら他でやりたまえよ!」
「他じゃ意味がないだろ」
「なんっ、私を標的にして何が目的だ!」
揶揄うの良くない!はんたい!アダルトいじめだ!頭がうまく働かなくて、自分でも何を言っているのかわからないが何をされたのか私もわからないからしょうがないよね!ね?!
「別に揶揄ったつもりはないんだがな」
「じゃ、じゃあなんだというのかね?!」
心の距離分しっかり離れて、体の前でバッテンポーズ!ATフィールド可視化中でございます。そんな私と目と目が合ったゼロさんが沈黙して数秒。いつの間にか落としていたピンクのお花を自分の胸ポケットに飾って、
「今回はこれで我慢してやるから…、そんなに警戒するな。」
「けッ、警戒するにきまってるでしょ!」
無茶をおっしゃる!
「犬みたいに唸るな、我慢できなくなる。」
「ひぇッ?!いじめっこの本能でも呼び覚まされてるの?!」
怖すぎるんですけど?!赤から青に変わってガクガク((((;゚Д゚))))ブルブルし始めた私になにを思ったのか、
「ほら、安心しろ。冗談だ。」
左手を差し出されたでござる。なんだその手は。チベットスナギツネに負けないジットリ具合で見つめてたら、右手をとられてドッキングされた
「そんな顔をしなくても、なにもしない。今日は他国の菓子も売ってるぞ?早く買わないと売りきれるからな。」
好きだろ?甘いもの。と倒置法で微笑まれて、喉の奥にぐっと
「好き…、売り切れ前に買わねば!」
詰まったものに気が付かないふりをして、引かれる手をにぎりかえして、全部知らないふりをして、
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