未完成のオルゴール

なんとかこんやら

文字の大きさ
1 / 2

不協和音

しおりを挟む
私は何を考えているのだろう。私は目をつぶり無にする。そして、無のまま息を吸う。
 すると、オルゴールがゆっくり鳴り始める。
最初は静かだか、だんだん情緒的になる、と同時に私は何度同じ事を繰り返すのかと自分に落胆するのを覚える。そして、オルゴールは不協和音になる。
 また、また失敗に終わった…私はこのオルゴールを音を完成させる事が出来るのか?私は自答し、また、考え込む。
 私が、このオルゴールを完成した時、本当にあの日のあの事が遠い記憶になるのであろうか?私はそれを望んでいるのだろうか?私はまた考える、完成とはなにか?全てにおいての完成がなしえる事が、出来なければ意味がないのではないか?
 そして、またオルゴールのネジをまく。私は考える完成とはなにか、すべてにおいての完成がなしえる事が出来なければ意味がないのではないだろうか?
私の迷い、弱さが、このオルゴールの完成を遠ざけてるのではないのかと
 この、オルゴールは人形五体のそれぞれの割り当てられた感情で動いてる。よって、それぞれの感情が完成しないとオルゴールは不協和音を奏でる。不協和音は秩序を乱し善悪を混乱に招き入れる。なにが善で何が悪か、、、私はそれをずっと問うている。本当に不協和音が悪なのか否か。ずっと、迷っている。私は本当に完成させたいのか、、、
その中もオルゴールは鳴り続いてる。曲はプッチーニの「グローリア・ミサ」しばらくすると頭を抱える。何かに葛藤し次第に無の中の私の頭の中を得体の知れない無が襲う。それに色はなく耳から入ってくる不協和音と交じりあい、そして、一つの音の反応が遅れる。私はいつも通り一つの人形Aを見た「反応が遅いなぁ」その人形Aは愛想良く笑い「大丈夫!大丈夫!」といつものミスを当たり前のように自分で擁護する。そこに何の根拠も存在しない。何が大丈夫なのか、いつも、肝心な所で音が乱れる、その原因は
「私じゃあないよ!作った通り鳴らしてますよ」
「でも、反応が遅いからズレたんだ。そもそも、お前の所はとても、丁寧に慎重に直したはずなのに」
そこで、その人形Aは少女のような声で大発明を思いついたみたいに声をあげる。私はいつもの人形Aの屁理屈が始まると思い、そこは何も言わず聞く事にした
「物じゃあないからじゃあない?物じゃあないから失敗する。私達は先生が作った人形だけどAIみたいに喋れるし、だからと言ってロボットじゃあない人形!人形は物じゃあないんだよ!しかも、わたし」
「しかも。わたし何だ?」
「ちょっと、可愛いし」
「やっぱり、失敗だな」
そんな、やり取りは日常になり日課になっている。 楽しいと言えば楽しい。でも、それじゃ完成には程遠い。やっぱり私の問題なのか?
人形Aは私の思いとは別にまだ、屁理屈を言い続けている。
「先生聞いてます!セクハラですよセクハラ」
聞いてなかった私が悪いとはいえ
気がつけばセクハラ扱いされている。どこでそうなったのか聞いてない私には不明だが反論するのも油に火を注ぎそうなのでやめとく。こう言う時はどうすればいいのか、あー言っても怒られるし聞かなければ何故かセクハラ扱いされる。仮に言い返したら無視されかねない
そしたら、音を出さなくなるからそれは厄介だ。
女性の扱いは特に慎重にならなければいけない事はわかってる。人形だから何か甘いもので機嫌もとれないし。。。どうすればいいのやら。
そうこう考えてる時に一人の女性の声が聞こえた。
「今日も元気ねーいったいどうしたの?」
先生が全然わかってくれないんです。すごく可愛らしい私にパワハラするんです。
ちょっとからすごくに変わってるしセクハラからパワハラになってる、もはや、言葉の意味などあって無いような物、ニュアンスだけで訴えているのがわかる。だから、完成しないのか!と自分で納得しかけたとき
女性が喋りかけてきた。
「先生、なんだかんだ順調そうですね。あの子も最初よりは喋れるようになったし。その調子です先生」
「あんなのが全部だと疲れる」
この女性はいつからか私のオルゴールに関心と感心をもってくれている。私のオルゴールに期待している。でも、私の「思い」のオルゴール像とこの女性のオルゴール像は一致するのかはわからない。というか聞けない。なぜ、この女性も私の作るオルゴールに興味を持ち色々アドバイスをくれるのか。この前来た時に「人形に感情を」と言った。それを実践した結果セクハラ扱いからのパワハラ扱いにされてしまった。
それはともかく
「こんな事しても直らなかった、君の言う通りにしたのに」
女性は私の迷いをつくように間髪入れずに言った
「一つだけじゃダメなのです」
女性は確信めいて言った、その根拠はなんなのか、私は葛藤し自問自答し出口の見えない物の完成に追われて疑心暗鬼になりながら作り続けてると言うのに。
この女性ははっきりと言う。私の気持ちも知らないくせにと卑屈になるけど手詰まった私は聞くしかなかった。一ミリでも可能性があり、それが突破口になりあの日の惨劇を防げるのなら。
「ねぇ、何を直したの?」
「あなたは直ったのね」
そう言うと女性は安堵の表情浮かべ人形Aの頭を撫でる。人形Aは訳がわからないって顔をしてるけど嬉しそうだ。私はそんな二人の様子を見てる。何故か心の奥の置いてきた感情が出てきそうで
それを必死で抑え混んでる自分がいる。この光景は今の私には耐えきれない悲しみなのかあるべき喜びなのか。ぐちゃぐちゃになりそうになりながら流れそうな涙を堪える私がいる。結局涙は流れる事はなかった。
私は女性に言う
「まだ。未完成だ」
「えーこれ以上可愛くなれないよ」
と的外れに人形Aが嘆く。それを見て女性は、笑っている。
「その調子その調子。言い合える事が大事なんです。先生頑張ってください」
「だから、あんなのが全部だと疲れる」
女性は真剣な面持ちになり
「先生!本当に時間がないんです。早く完成させないと先生しかいないんです。」
オルゴール師はハッとした。もしかして、この女性は私にあの出来事の阻止を期待しているのではないかと。でも、その事について言い合えない
もし、また失敗してあの日の惨劇が再び起こってしまったらこの女性も責任を感じるかもしれない。そんな辛い思いをするのは私だけで十分だ。女性の「時間がない」「完成」「先生しかいない」この意味を聞けない聞きたくない私は怪訝そうに女性にいった
「もういい、少し疲れたから帰ってくれ」
女性が何か言いかけたのを静止して
「もう、それ以上は言わないでくれ」と言った。
女性はわかりましたと言い。出ていく前に私を見て
帰っていった。
その顔は諦めない諦めてはいけない事と言う情熱を持った雰囲気だった。女性はまた来るだろう。そう何度でも。
そんな、少しの間の殺伐としたやり取りをきいていた人形Aが「先生って女心わかってないですよね。もう、ちと優しくしてあげてもね」
「優しくしたいさ誰にだって。皆が皆優しければな」 
「まあ、優しか、嫌いじゃないよ」
「君は幸せか?」 
「うんーたぶんね」
「たぶん?」 
「だって、もっともっと感情が私にあれば変われるかもしれないから」
優しい目で見つめられた私はふと呟いてしまう
「感情か、、、」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

使い捨て聖女の反乱

あんど もあ
ファンタジー
聖女のアネットは、王子の婚約者となり、瘴気の浄化に忙しい日々だ。 やっと浄化を終えると、案の定アネットは聖女の地位をはく奪されて王都から出ていくよう命じられるが…。 ※タイトルが大げさですがコメディです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...