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閑話集 こぼれ話
酒癖(親心?編)2
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いつまでたってもソランを囲んできゃあきゃあ騒いで、忌々しいほどにいっこうに疲れを見せなかった女性の一団も、エメット婦人に仕切られて、ようやく解散の運びとなった。
アティスは数時間ぶりにソランを手にすることができて、極度に高まっていた鬱憤が、すっと消えていくのを感じた。何しろ、並んで立って肩を抱いただけで、自然に体を寄り添わせてきて、にこりと微笑みかけてくるのだ。こんな可愛い女が他にいるだろうか。
客のすべてを送り出して、さて私室に引き上げるかと、ソランの背中を押したところで、新たな客が現れた。
連れだってやってきたのは、リングリッド将軍とエニシダだった。一応上司の将軍と、王の侍従のエニシダは、どちらも無視するわけにはいかない人物である。
「すまんね。少しいいかね? ああ、彼も同じ用事だよ」
アティスがエニシダの手にしている物に視線をくれたのを見て、将軍が教えてくれる。彼らが連れ立って来るほど親しくないことは知っていた。ただ、今回に限って言えば、二人とも酒を持参してきているという共通点があった。
その銘柄を見て、アティスは嫌気がさした。先ほど危うく半瓶も飲まされるところだったものに負けず劣らず強い、そして飲み口のいい酒だったからだ。
特にエニシダのは、キーツが女性を口説くのに定番で使うと言っていた、『女神の涙』とかいうものだ。ちなみに、将軍のは『星々の戯れ』とかいう生産量の少ない幻扱いされている酒だ。
ティエンの持ってきた『背徳の誘惑』を入れれば、三大火酒となる。あまりの度の強さに、飲む者を選ぶ高級酒だった。
隠すことすらしていない符号に、誰の差し金か察せられないわけがなかい。それに、この畳み掛けるように何重にも仕掛ける執拗さは、確かに舅のやり口である。
ただ、意外だったのは、エニシダも舅に弱みを握られているらしいということだった。この若さで宰相の弟子として存在を確立している彼に、そんな隙があったのかと、いぶかったのだ。
「そういうわけですので、しばしお付き合い願えますか?」
無駄に煌くエニシダの笑顔に、何かを貼り付けて目前から隠してやりたかったが、
「すぐに済ますよ」
将軍が口を挿んできた、決定済みだと知らせる断定口調に、彼は嫌々ながらも頷くしかなかった。
それを受けて、将軍はソランへと向き、
「すみませんね、ソラン嬢。少し男同士の話があるので、殿下をお借りしますよ」
「それはかまいませんが、あの」
「ええ、男同士の話ですから、申し訳ございませんが、ご遠慮願えますか」
エニシダが勝手にソランを追い払う。むっとするが、確かに、舅の使者との面会だ、ソランに余計な話を聞かせたくない。
「おまえは先に下がるといい」
抱いていた手で背中を軽く叩くと、何か言いたそうな顔をしつつも頷いた。
「また後で」
「はい」
将軍やエニシダに丁寧に挨拶してから去っていく彼女を見送りつつ、本当に後で会いに行けるか、かなり絶望的な気持ちになっていた。
アティスは数時間ぶりにソランを手にすることができて、極度に高まっていた鬱憤が、すっと消えていくのを感じた。何しろ、並んで立って肩を抱いただけで、自然に体を寄り添わせてきて、にこりと微笑みかけてくるのだ。こんな可愛い女が他にいるだろうか。
客のすべてを送り出して、さて私室に引き上げるかと、ソランの背中を押したところで、新たな客が現れた。
連れだってやってきたのは、リングリッド将軍とエニシダだった。一応上司の将軍と、王の侍従のエニシダは、どちらも無視するわけにはいかない人物である。
「すまんね。少しいいかね? ああ、彼も同じ用事だよ」
アティスがエニシダの手にしている物に視線をくれたのを見て、将軍が教えてくれる。彼らが連れ立って来るほど親しくないことは知っていた。ただ、今回に限って言えば、二人とも酒を持参してきているという共通点があった。
その銘柄を見て、アティスは嫌気がさした。先ほど危うく半瓶も飲まされるところだったものに負けず劣らず強い、そして飲み口のいい酒だったからだ。
特にエニシダのは、キーツが女性を口説くのに定番で使うと言っていた、『女神の涙』とかいうものだ。ちなみに、将軍のは『星々の戯れ』とかいう生産量の少ない幻扱いされている酒だ。
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隠すことすらしていない符号に、誰の差し金か察せられないわけがなかい。それに、この畳み掛けるように何重にも仕掛ける執拗さは、確かに舅のやり口である。
ただ、意外だったのは、エニシダも舅に弱みを握られているらしいということだった。この若さで宰相の弟子として存在を確立している彼に、そんな隙があったのかと、いぶかったのだ。
「そういうわけですので、しばしお付き合い願えますか?」
無駄に煌くエニシダの笑顔に、何かを貼り付けて目前から隠してやりたかったが、
「すぐに済ますよ」
将軍が口を挿んできた、決定済みだと知らせる断定口調に、彼は嫌々ながらも頷くしかなかった。
それを受けて、将軍はソランへと向き、
「すみませんね、ソラン嬢。少し男同士の話があるので、殿下をお借りしますよ」
「それはかまいませんが、あの」
「ええ、男同士の話ですから、申し訳ございませんが、ご遠慮願えますか」
エニシダが勝手にソランを追い払う。むっとするが、確かに、舅の使者との面会だ、ソランに余計な話を聞かせたくない。
「おまえは先に下がるといい」
抱いていた手で背中を軽く叩くと、何か言いたそうな顔をしつつも頷いた。
「また後で」
「はい」
将軍やエニシダに丁寧に挨拶してから去っていく彼女を見送りつつ、本当に後で会いに行けるか、かなり絶望的な気持ちになっていた。
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