政略婚~身代わりの娘と蛮族の王の御子~

伊簑木サイ

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エウル、罰を言い渡す

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 公主を抱き起こすと、エニもやってきて、咥えてきたものを下ろし、上目遣いで彼女の肩を舐めた。……タバルガンだ。
 そういえば、崖の向こう側で見かけたことがあったなと思い出す。巣穴に馬が足を取られると危ないから、近付かなかったのだが、二匹は公主の護衛途中で、これを見つけたのだろう。
 狩りは犬の本能だ、しかたないことだった。

「それはおまえたちで食っていいぞ」

 俺は苦笑して、公主の怪我に責任を感じているらしい二匹を、順に撫でてやった。ぺたりと伸びていた尻尾が、ゆらゆらと揺れだす。
 公主を抱き上げ、馬へと連れて行く。
 猿轡さるぐつわをかまされて、荷物のようにウォリの馬に乗せられたスウリを見つけて、公主は怯えて身をすくめた。けれど、俺の馬の傍で心配げに立つミミルを見て、身を乗りだした。

『ミミル! ミミルも襲われたんですか!? 怪我は!? ええと、エウル、ミミルは痛い、ある?』

 ミミルと俺の交互にせわしなく向き、早口に帝国の言葉でまくしたてる。どうやら、ミミルも襲われたと思って、心配しているようだ。

「大丈夫だ。ミミルは『いたく、ない』」

 ほら、とミミルの前に立って、よく見せてやると、彼女は、ほうと息を吐いて笑んだ。
 ミミルは目に涙を浮かべて、いたたまれずに、膝をついて頭を下げた。

「公主、申し訳ございません! 常におそばに侍り、お守りせねばいけませんでしたのに! おそばを離れ、お怪我までさせてしまい、おびのしようもございません!」

 公主は戸惑って、俺にすがるような視線を向けてきた。

「いいや、よく機転を利かせてくれた。おまえが残ったのは、ニーナではスウリの味方をするかもしれないと思ったからだな?」
「はい」
「ニーナに馬を使わせなかったのも、もしも、ニーナが呼んできたのが俺達ではなかったら、公主を乗せて逃げるためだろう」
「……はい」

 ミミルは一拍遅れて返事をした。うなだれて、顔を上げない。俺の腹心であるスレイの婚約者――公主の侍女として同僚でもある――を、疑った後ろめたさがあるようだった。

「それで、正しかった」
「え?」

 ミミルは呆然と顔を上げた。

「ナタル、ミミルを乗せてやれ。共に帰る」

 もう行けと示すと、ミミルは一度深く頭を下げてから、ナタルの方へと下がっていった。

「大将、これ」

 スウリを見張っているウォリが、手に持った物をひらひらと振った。あの色は俺のえり布だろう。公主に巻いてやったはずの。

「スウリが持っていたんだけど」
「燃やせ」
「承知」

 間髪入れずに答えていた。あんな者が触ったものを、自分の首に巻き入れる気になど、なれなかった。

 公主は、連れ帰る間中、俺の胸に顔をうずめて、けっして顔を上げようとしなかった。いつもなら、物珍しげにあたりを見まわして目を輝かせているはずだ。どれほど怖い思いをし、痛みが辛いのか、考えるだに胸が痛んだ。

 天幕に戻ると、スレイとスウリの両親 ルツ と レイナ も連れてこられていた。ものものしく、人もたくさん集まっている。なのに、静かだ。誰もが不安そうに俺達を見ている。
 煩わしいそれらが公主の目に入らないように、彼女の肩をしっかり引き寄せ、俺の腕と背中でさえぎったまま、馬から下りた。
 ホラムが近付いてきて、馬を引き取ってくれる。

「馬の面倒をよく見てやってくれ。だいぶ手荒に走らせた。それと、公主の容態が落ち着きしだい、詮議せんぎする。それまで、ルツの一家を見張っておけ」

 命じたとおりに同じ所に立っていた――俺の天幕の前だ――スレイとニーナの前で、立ち止まった。少し、腕をゆるめる。公主が顔を上げた。
 本当は、二度と公主の目に触れさせるに値しない者達だ。けれど、だからこそ、思い知れ、と思った。自分達が何をしでかしたのかを。

「ニーナ」

 憔悴した様子でスレイに抱かれるニーナを見て、公主は目を見開いて、心配そうな表情になった。何度かニーナに話しかけようとして口ごもり、結局、俺に、『ニーナ、痛い、ある?』と尋ねてくる。
 それを聞いて、スレイが眉を曇らせた。ニーナも、何を言われているかわからなくても、罵られていないことぐらいはわかるのだろう。たじろいだ様子だ。

「スレイ、公主が何を言ったか、説明してやれ」

 それで何も思わないなら、今後も反省などしないのだろう。

「ミミル、来い。公主の手当ての手伝いをしろ」

 再び公主を腕の中に囲い込み、振り返ってミミルだけを呼び寄せて、俺は公主を天幕に運び込んだ。

 公主の怪我は頭に集中していた。後ろ頭にこぶと、左側頭部に割れた傷と瘤、それから、前髪に隠れた生えぎわにすり傷。
 掌や肘のすり傷は、争ったからというより、倒れた時にできたものだろう。……後ろから襲われ、抵抗できないまま、追撃を受けたとしか考えられなかった。

 青白い顔で、どことなく体がぐらぐら揺れていた公主は、手当が終わると、ぐんにゃりとベッドに横たわった。そのまま、意識を失うようにして眠る。
 彼女の傍を離れたくなかった。頭を酷く打った者は、その時はなんともなくても、朝には冷たくなっていることがある。魂が抜け出さないよう、抱きしめて、額に唇を当てていたかった。

 けれど、『耀華公主』が殺されそうになったのを、無かったことにはできない。
 彼女は帝国の皇帝の娘なのだ。和平の証として来た彼女を殺そうとすることは、帝国と閻への反逆となる。事は国際問題だった。
 裏切りは、俺の配下で起こった。俺が収めねばならなかった。

 自分のものを何か彼女に、と思い、上着を脱いだ。それで彼女をくるむ。

「耀華公主」

 どうか、その体に留まってくれ。願いながら、傷を押さえる布の巻かれた額に、長く口づける。

「ミミル、耀華公主を頼む」
「はいっ。……はいっ、命に替えましても」

 ミミルは悲愴なまなざしで返事した。

「ミミル、あなたはよくやってくれた。責任は差配した私にある。あまり思い詰めるんじゃないよ」

 叔母上がミミルを励ましていた。
 俺は鎧用の上着を取り出して羽織りながら、先に天幕を出た。



 中央の広場に篝火が焚かれていた。スウリとその両親とニーナ、それにスレイが後ろ手に縛られ、引き据えられている。
 彼らを、ウォリ、リャノ、ホラム、ナタルが見張っていた。また、人々も遠巻きにしてそこに居た。
 俺が叔母上を伴って近付いていくと、スウリは高い声で、「エウル!」と呼んだ。

「私、何にも知らないわ! これは何かの間違いよ! 公主と居たら、犬達に襲われたの! ううん、公主に犬をけしかけられたのよ!」

 立ち上がって俺に駆け寄ろうとし、杭へと繋がれた縄に動きを取られて、また跪く。

「やめろ、スウリ! もうやめるんだ!」

 スレイはスウリを怒鳴りつけた。
 俺はまず、リャノに目配せして、公主の眠る天幕の護衛を指示した。それからスウリに向き直る。

「かまわない。スウリの言い分を聞こう」

 スウリは、目を輝かせた。無邪気ないつもの笑顔だった。

「私、偶然、公主と出会ったの。まさか、あんな宿営地アイルの端にいるとは思わなかったんですもの。私、ちゃんと言いつけを守って、こっちには近付かなかったのよ。
 公主に姿を見せるなと言われていたし、私、立ち去ろうと思ったのだけど、公主はあまり牛糞を拾えていないみたいだったから、気の毒で。ほら、公主って、何もできない人でしょう? だから、分けてあげようとしたの。
 なのに公主ったら、私の袋を奪って。それで、もみあっていたら、突然犬をけしかけてきたのよ。
 公主が怪我をしたのは、犬から逃げようとした時に、誤ってぶつかってしまったからよ。そのせいで、公主は崖から転げ落ちてしまったの。それについては謝罪するわ。ごめんなさい。でも、わざとじゃなかったの。本当よ」

 まるであったかのようにすらすらと嘘を並べ立てる。……ああ、こんな人間だったのか。苦い思いでスウリを眺めた。
 ハキハキとした、明るい、働き者の娘だと思っていた。……いや、そういう娘だった。スレイの可愛い妹。ルツとレイナの自慢の娘。

 スウリに少しも惹かれなかった理由が、わかった気がした。
 周囲に守られ、助けられ、思いどおりにいっている時はよくても、こうして思いどおりにならなくなったとたん、こんな卑劣な人間となる。
 そんな者と共に、王族の責務を果たしていくことはできない。人生の伴侶になどと、望むはずがなかったのだ。

「おそれながら! 申し上げたき儀がございます!」

 スレイは地面に着きそうなほど頭を下げて、叫んだ。

「発言を許す。聞こう」
「我が婚約者ニーナより、スウリと謀って公主を連れ出したと聞いております! また、公主の乗る馬車の車輪に細工をしたのも、スウリであったと」
「嘘! 嘘よ! 嘘! 酷い! 兄さんも、ニーナも、どうしてそんな嘘をつくの!?」

 スウリは怒りに目をギラギラさせながら立ち上がろうとして、縄を激しく引っぱって暴れた。

「どうなんだ、ニーナ。おまえは何を見た? 嘘偽りなく話せ」

 ニーナは血の気の引いた顔色ながらも、決然と俺を見返した。

「はい。スウリから、公主と話したいことがあると言われ、二人きりで会えるように手引きしました」
「ニーナ! ニーナ! この卑怯者! 嘘ばかり言わないでちょうだい!」
「嘘じゃありません! 車輪のこともそうです! まだ出発前の、王の居留地に居た頃、スレイを探してエウル様の天幕の方へと行きましたら、馬車の傍でスウリがしゃがんでいました。私はてっきり、家畜の仔でも下にもぐりこんだのかと思って、手伝おうと」
「そんなところに、居たことない!」
「居たでしょう!? あわてたように振り返って、持っていた物を隠した! 持っていたのは、小刀だったじゃない! あれで傷を付けていたんでしょう!?」
「嘘! 嘘! 嘘! 嘘! いいかげんにしなさいよ! ニーナこそ、公主に嫉妬していたくせに!
 兄さんが公主に優しすぎるって! エウルに疎まれている公主を憐れんでいるうちに、好きになっちゃったらどうしようって!」
「どういうことだ?」

 スレイが愕然として呟いた。

「ごめんなさい。不安だったの。公主は可愛らしい人で、あなたが気遣っているのを見て、心がうつってしまったらって……」
「公主を気に掛けていたのは、君が、……君達が、公主の馬車の側に居たのを見たからだよ。
 ……あの時はただ、君達が俺やエウルに会いに来ただけだと思っていた。馬車の側で暇を潰していただけだと。
 だが、あの事故があって、もしやと思った。……スウリがエウルを諦められないのは知っていたからな。
 まさかと思いたかった。何かあるなら、その前に俺が阻止しようと思っていた。……それが間違いだった」

 スレイは俺に向き直って頭を下げた。そのままの姿勢で言葉を紡ぐ。

「申し訳ございませんでした。するべき報告を怠り、身内をかばい、このような事態となりました。この命一つであがなえるとは思っておりません。どのようなご裁可にも従います」
「違う! 違う! 私は悪くない! 悪いことなんてやってない!」

 スウリが身を起こそうと、綱をギシギシと揺らして叫んだ。

「みんな! みんなだまされているのよ! 公主の可愛らしい姿は、みんなを油断させるため! 竜の血の力を使って、エウルに取り入って、ロムランの血を汚そうとしているの!」
「スウリ、黙れ」

 もう、聞くに堪えなかった。ロムランの声を放つ。見えない糸で、強く縛める。……壊れる寸前まで。
 よくもそれだけでたらめな妄想をふくらませて、人を貶めることができるものだった。
 スウリは、はく、と口を動かしはしたが、声を出すことはかなわなくなった。驚愕と恐怖で目を見開く。

「公主に、竜の血の力などない。俺の兄や弟が、ロムランの力が使えないように」

 それどころか、現在は、父も叔父も叔母も従兄弟も、支族にも、俺の他は誰一人として、その力が発現した者はいない。一世代に一人出るかでないか。それほどに、めったなことでは現れないものなのだ。

「それが信じられないというのなら、それでもいい。だが、ロムランの声を持つ俺が、竜血に誑かされているとは、聞き捨てならない。それこそロムランの血への冒涜だとわからないのか。
 今、おまえが身を以て理解しているだろうこの力が、竜の血の力に劣ると、本当に思っているのか。
 どうなんだ、答えろ、スウリ!」
「あ、あーっ、こわいっ、こわいっ! やめてーっ!」

 スウリは絶叫してうずくまった。
 少し、糸をゆるめてやる。

「正直に言え。おまえは公主に何をした。……何をしようとした?」
「こっちに来たら、もっと牛糞があるよ、て、私のもあげるよって、崖の下から誘って、下りてくるところを後ろから棒で殴った……、殴り、ました。振り返ったところを、もう一回。それで、エウル……様の襟布を取り戻していたら、犬が襲いかかってきて……」

 そこでスウリは言葉を途切れさせた。体に力を込めて、ぶるぶると震えている。言わないようにと、力に逆らっているのだろう。けれど、かはっと息を吸うと、悲鳴のように続きを吐き出した。

「殺しそこねたの! 川へ流してしまえば、溺れると思ったのに!」

 誰もが息を呑んで、静まりかえった。
 意識を失ったまま川に落とされたら、この暗闇の中、救助は難航して、公主は助からなかっただろう。……本当に、ぎりぎりだったのだ。ぞっとした。
 スウリは、ぜいぜいと息をして黙り込んだ。もう言うことはないようだった。これ以上聞き出せることはなさそうだった。
 叔母上――王の代理人――へ視線をやると、頷かれた。
 俺はまわりに集まっている、すべての者を見まわした。目の合った者から、背筋を伸ばしていく。

「耀華公主は、帝国との和平の証として、言葉すら通じず、知る者もいない、我が閻へ、身を捧げるようにして輿入れしてきた人だ。
 その彼女を王の許まで届けられないどころか、我が配下の者に殺されたとなれば、俺一人の首では足りないのが、わからなかったのか。
 ……罰を言い渡す。耀華公主は頭を強く殴られている。明朝を待ち、耀華公主が目覚めなければ、スウリを馬での八つ裂きに、ニーナを縛り首に、ルツ、レイナ、スレイを百回の棒打ちにして、追放する。
 耀華公主が目覚めたならば、スウリは百回の棒打ちの後、額に罪人の入れ墨をして、両手首を切り落とし、追放。ニーナは五十回の棒打ちの後、額への入れ墨をして追放、ルツ、レイナ、スレイは三十回の棒打ちの後、追放とする。
 異議のある者は、名乗り出ろ!」

 見まわしたが、誰一人として身じろぎする者もいなかった。

「明朝、日が壁の頂に当たる頃、罰を与える。
 ホラム、ウォリ、ナタル、リャノ。彼らを騒がせぬようにしておけ。絶対に逃がすな。
 ……以上だ。皆、戻れ!」

 俺は、人々が各々の天幕へと帰っていくのを見定めてから、公主の眠る天幕へ戻った。
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