4 / 156
1-ようこそ、世界へ
4.少女、食べる。
しおりを挟む
「だからさぁーニチカもずっとここで暮らそうよ。そうしたらご主人だってきっとニチカにひどいことはしないはずだよ」
「そうかな」
「うんうん、それがいい。そうしよう」
あの後、ニチカはぼんやりとソファに腰掛けていた。実に嬉しそうなウルフィを上の空で撫でるが、帰ることを諦めたわけでは無かった。
自分には帰りを待ってくれている家族が居るのだ。ここであの危険人物に仕える一生なんて考えただけでも身震いがする。
とは言え、自分に何ができるのか。逃げ出そうとしてもすぐに捕まるのが関の山だろう。今は懐いてくれているこのオオカミだって、いざとなれば主人には逆らえないだろうし、仮に逃げ出せたとしてもこの森から出られる保証がどこにあるのか。出たところで元の世界に戻る方法は? 生きていく手段は?
「うぅ、ミィ子……」
妹の無邪気な笑顔が蘇り、ぽろっと涙がこぼれ落ちる。いったい自分はどうなってしまうのか、先の見えない暗闇に一人取り残されたような気分になった。
壁にかけられた時計が日付けが変わったことを示す。部屋は相変わらず静かで、先ほどからグッスリと熟睡に入ったオオカミが、時おりスピッスピッと寝息をかく以外は何の音もしない。
ニチカは起きていた。眠れなかった。これからの事を考えるとどうしても横になる気分にはなれなかった。
ところが、ふいに外から物音が聞こえたような気がして顔を上げる。庭に向いた窓がほんのり輝いている。外の様子をそっとうかがった彼女は、おもわず目を見開いた。
「な、なにあれ」
今は夜だというのに、金色のひだまりがそこに出現したかのようだった。同時にとんでもなく甘い香りがふんわりとどこからか風にのってやってくる。
「……」
気づけばニチカは庭に躍り出ていた。軽やかな足取りで踊るように光に近づく。ようやく目が慣れ見えてきたのは、腰の高さほどのリンゴの若木だった。枝に一つだけ成っている小ぶりの果実がまるで黄金で出来ているかのように輝いている。
「ああ、あああ……」
その匂いをかいだ瞬間、不安が全て吹き飛んでしまった。天にも昇るような良い香りだ。そういえば昼から何も食べていないなと頭の片隅で考える。
「おいしそう」
どこかぼんやりとした笑みを浮かべながら誘われるように手を伸ばすと、金色のリンゴはいとも簡単に手の中に収まった。シャクリと一口かじれば後はもう止まらない。
ごくん。
最後の一口を飲み込んだニチカは、しばらくうっとりした顔をしていた。だが
「?」
ふと我にかえり愕然とする。今、自分はなにを……
目の前にあるはずのリンゴの木を見下ろし怪訝な顔で首をひねる。若木はいつのまにか大輪の花が揺れる紅薔薇の枝に変わっていた。神々しいまでの光は消え失せ、黒く陰鬱な枝が不気味に揺れている。どういうことなのかと手を伸ばしかけた瞬間、薔薇は見る間に枯れてしまった。散った花弁がはらりと地面に着くか否か――何の前触れもなくそれはやってきた。
「――っ!?」
突然、今まで経験したことのないような激痛が腹部を襲う。まるで内側から殴られているようだ。
声なき悲鳴をあげて地面に倒れこむ。痛みはジリジリと焼け付くようなものに変わり、腕と言わず足と言わず全身を這い回る。あまりのおぞましい感覚にあえぐことしか出来ない。
「……ひっ!?」
腕を見たニチカは息を飲んだ。まるで何かが皮膚を突き破ろうとしているかのように盛り上がっている。
ついにブチッと手首の皮を破りそれが飛び出す。薔薇の枝だ。たった今、目の前で枯れた物と同じ枝が自分の腕から生えている。
「い、いやぁ!」
シュルシュルと伸びる枝は腕を伝い大輪の華を咲かせる。突き破った時に血を被ったそれは、夜目にも鮮やかな紅色をしていた。
ショックと痛みで気が遠くなっていく。少しずつ植物と同化していくのかもしれない、自分はこの美しい薔薇の苗床となるのか。
どれだけの時間が経ったのか、いや一瞬だったのかもしれない、どこからか自分を呼ぶ声に、ほんの少しだけ意識が戻ってくる。
「ご主人! ニチカがぁぁ」
「おいっ、何やってんだ!!」
焦ったような声がもう一つ増える。うっすらと目を開けるとオオカミと男が見えた。
「うるふぃ、と」
「なっ……お前、これを食べたのか!?」
枯れた薔薇の枝と少女に交互に視線をやる男は、驚愕の表情を浮かべたような気がする。もはやそれすらぼんやりとかすんでいた。
「ニチカは死んじゃうの? ねぇ」
「ウルフィ水汲んでこい、早く!」
「でもご主人、僕の手じゃ桶持てないよぉっ」
「口で咥えられるだろバカ!」
慌てて駆け出したオオカミをよそに、男は倒れているニチカの背に手をあて抱き起こした。
「洗礼を受けたことは? 親からの祝福は」
「わ、私、日本人だからぁ、そんなことしてないぃ」
「吐き出せ! すぐにだ!」
そうは言っても、もはや自力で身体を起こせないまでになっていた。
いきなり口の中に指をつっこまれ、反射的にえずく。胃から酸性のものが逆流してくるのを感じるが呑み込んだはずのリンゴが出て来ることはなかった。
「侵食が早い……すでに体内に根付いているのか」
ケホケホと噎せながら、恐怖でニチカは助けを求めて手を伸ばす。薔薇はすでに肩まで達していた。
「わたし、死んじゃうの?」
「……」
「そんなのいやだぁ、怖いよ」
世界全体がぐにゃりと歪む。それが自分の涙のせいだと気づいたのは、頬を流れ落ちる感覚が口に入ってしょっぱかったからだ。こんな見知らぬ土地で自分は短い生涯を終えるのか。
「死にたくない、私まだ何もしてない……」
二つの月を背負うようにして覆いかぶさる男が、端正な顔立ちをどこか切羽詰まったようにしかめこちらの顎に手をかけた。くっと持ち上げられる視界にその青が映りこむ。
「言っておくがな」
「?」
「これからすることは、あくまでも応急処置だからな。後からワーキャー騒ぐなよ」
空とも海とも違うその瞳の色が美しく、こんな状況にも関わらずほんの少しだけ見惚れてしまう。
「ガキは趣味じゃないんだが……」
「な、なに――」
「そうかな」
「うんうん、それがいい。そうしよう」
あの後、ニチカはぼんやりとソファに腰掛けていた。実に嬉しそうなウルフィを上の空で撫でるが、帰ることを諦めたわけでは無かった。
自分には帰りを待ってくれている家族が居るのだ。ここであの危険人物に仕える一生なんて考えただけでも身震いがする。
とは言え、自分に何ができるのか。逃げ出そうとしてもすぐに捕まるのが関の山だろう。今は懐いてくれているこのオオカミだって、いざとなれば主人には逆らえないだろうし、仮に逃げ出せたとしてもこの森から出られる保証がどこにあるのか。出たところで元の世界に戻る方法は? 生きていく手段は?
「うぅ、ミィ子……」
妹の無邪気な笑顔が蘇り、ぽろっと涙がこぼれ落ちる。いったい自分はどうなってしまうのか、先の見えない暗闇に一人取り残されたような気分になった。
壁にかけられた時計が日付けが変わったことを示す。部屋は相変わらず静かで、先ほどからグッスリと熟睡に入ったオオカミが、時おりスピッスピッと寝息をかく以外は何の音もしない。
ニチカは起きていた。眠れなかった。これからの事を考えるとどうしても横になる気分にはなれなかった。
ところが、ふいに外から物音が聞こえたような気がして顔を上げる。庭に向いた窓がほんのり輝いている。外の様子をそっとうかがった彼女は、おもわず目を見開いた。
「な、なにあれ」
今は夜だというのに、金色のひだまりがそこに出現したかのようだった。同時にとんでもなく甘い香りがふんわりとどこからか風にのってやってくる。
「……」
気づけばニチカは庭に躍り出ていた。軽やかな足取りで踊るように光に近づく。ようやく目が慣れ見えてきたのは、腰の高さほどのリンゴの若木だった。枝に一つだけ成っている小ぶりの果実がまるで黄金で出来ているかのように輝いている。
「ああ、あああ……」
その匂いをかいだ瞬間、不安が全て吹き飛んでしまった。天にも昇るような良い香りだ。そういえば昼から何も食べていないなと頭の片隅で考える。
「おいしそう」
どこかぼんやりとした笑みを浮かべながら誘われるように手を伸ばすと、金色のリンゴはいとも簡単に手の中に収まった。シャクリと一口かじれば後はもう止まらない。
ごくん。
最後の一口を飲み込んだニチカは、しばらくうっとりした顔をしていた。だが
「?」
ふと我にかえり愕然とする。今、自分はなにを……
目の前にあるはずのリンゴの木を見下ろし怪訝な顔で首をひねる。若木はいつのまにか大輪の花が揺れる紅薔薇の枝に変わっていた。神々しいまでの光は消え失せ、黒く陰鬱な枝が不気味に揺れている。どういうことなのかと手を伸ばしかけた瞬間、薔薇は見る間に枯れてしまった。散った花弁がはらりと地面に着くか否か――何の前触れもなくそれはやってきた。
「――っ!?」
突然、今まで経験したことのないような激痛が腹部を襲う。まるで内側から殴られているようだ。
声なき悲鳴をあげて地面に倒れこむ。痛みはジリジリと焼け付くようなものに変わり、腕と言わず足と言わず全身を這い回る。あまりのおぞましい感覚にあえぐことしか出来ない。
「……ひっ!?」
腕を見たニチカは息を飲んだ。まるで何かが皮膚を突き破ろうとしているかのように盛り上がっている。
ついにブチッと手首の皮を破りそれが飛び出す。薔薇の枝だ。たった今、目の前で枯れた物と同じ枝が自分の腕から生えている。
「い、いやぁ!」
シュルシュルと伸びる枝は腕を伝い大輪の華を咲かせる。突き破った時に血を被ったそれは、夜目にも鮮やかな紅色をしていた。
ショックと痛みで気が遠くなっていく。少しずつ植物と同化していくのかもしれない、自分はこの美しい薔薇の苗床となるのか。
どれだけの時間が経ったのか、いや一瞬だったのかもしれない、どこからか自分を呼ぶ声に、ほんの少しだけ意識が戻ってくる。
「ご主人! ニチカがぁぁ」
「おいっ、何やってんだ!!」
焦ったような声がもう一つ増える。うっすらと目を開けるとオオカミと男が見えた。
「うるふぃ、と」
「なっ……お前、これを食べたのか!?」
枯れた薔薇の枝と少女に交互に視線をやる男は、驚愕の表情を浮かべたような気がする。もはやそれすらぼんやりとかすんでいた。
「ニチカは死んじゃうの? ねぇ」
「ウルフィ水汲んでこい、早く!」
「でもご主人、僕の手じゃ桶持てないよぉっ」
「口で咥えられるだろバカ!」
慌てて駆け出したオオカミをよそに、男は倒れているニチカの背に手をあて抱き起こした。
「洗礼を受けたことは? 親からの祝福は」
「わ、私、日本人だからぁ、そんなことしてないぃ」
「吐き出せ! すぐにだ!」
そうは言っても、もはや自力で身体を起こせないまでになっていた。
いきなり口の中に指をつっこまれ、反射的にえずく。胃から酸性のものが逆流してくるのを感じるが呑み込んだはずのリンゴが出て来ることはなかった。
「侵食が早い……すでに体内に根付いているのか」
ケホケホと噎せながら、恐怖でニチカは助けを求めて手を伸ばす。薔薇はすでに肩まで達していた。
「わたし、死んじゃうの?」
「……」
「そんなのいやだぁ、怖いよ」
世界全体がぐにゃりと歪む。それが自分の涙のせいだと気づいたのは、頬を流れ落ちる感覚が口に入ってしょっぱかったからだ。こんな見知らぬ土地で自分は短い生涯を終えるのか。
「死にたくない、私まだ何もしてない……」
二つの月を背負うようにして覆いかぶさる男が、端正な顔立ちをどこか切羽詰まったようにしかめこちらの顎に手をかけた。くっと持ち上げられる視界にその青が映りこむ。
「言っておくがな」
「?」
「これからすることは、あくまでも応急処置だからな。後からワーキャー騒ぐなよ」
空とも海とも違うその瞳の色が美しく、こんな状況にも関わらずほんの少しだけ見惚れてしまう。
「ガキは趣味じゃないんだが……」
「な、なに――」
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令嬢の役割は終えました(別視点)
月椿
恋愛
この作品は「悪役令嬢の役割は終えました」のヴォルフ視点のお話になります。
本編を読んでない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
母親が亡くなった日、ヴォルフは一人の騎士に保護された。
そこから、ヴォルフの日常は変わっていく。
これは保護してくれた人の背に憧れて騎士となったヴォルフと、悪役令嬢の役割を終えた彼女とのお話。
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる