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180.断面図が美しくない
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城の正面扉には十数人ほどの騎士たちがずらりと横に並んで警備に当たっていた。奇妙なことに、彼らはすぐ近くの城下町が大騒ぎだというのに少しも動じた様子がない。落ち着き払っているというよりは、むしろ――
「ゾンビみてぇなヤツらだな」
隣で私と同じように茂みに隠れていたラスプがつぶやく。そう、彼らは生気のない虚ろな表情で機械的に見回りをしていたのだ。言葉を返す前に今度は私の左側からエリック様の声が上がる。
「あれは騎士団の中でも実力者ばかりだ。おかしい、以前は快活さにあふれた部下たちだったのだが……」
「十中八九、洗脳されておるな」
ゲコという鳴き声を挟んでドク先生が診断を下す。ふところをゴソゴソやっていた彼は試験官に入った透明な液体を振って見せた。
「セニアスハーブを栽培しとったくらいじゃからのう。サイードの手に掛かれば騎士団を傀儡にするくらい造作もない事じゃな」
「先生、それ解毒剤?」
戦闘能力のないドク先生をわざわざ前線まで引っ張り出してきたのはこんな事態を見越してのことだった。杞憂で済めばと思っていたのだけど、どうやら悪い予感は当たってしまったようだ。私の問いかけに、先生は一つ頷いてみせる。
「うむ、いわゆる『ガマの秘薬』というやつじゃな。だが貴重品だからの。あのような雑兵につかっとったらキリがないぞ」
確かに、数に限りがあるなら無駄撃ちはできない。それにもっと大物が洗脳されている可能性が高いのだ。リヒター王とかボリス王とか。あの様子では話を聞いてくれそうにもないし、ちょっと強引に正面突破するしかないのかな……。ラスプとエリック様がいるから負けることは無いと思うんだけど、血は流れるだろう。
ところがその時、辺りの偵察に行っていたグリとライムが帰ってきた。ニコニコ顔の少年は私の手首をつかんで引っ張る。
「アキラ様こっちこっち、助っ人さんが裏口から手引きしてくれるって」
「助っ人? 誰?」
「えっへへ、誰だと思う?」
そう言われてもさっぱり見当がつかなくて、みんなでコソコソと移動を始める。横にふわりと着いたグリが微笑みながらヒントをくれる。
「よかったね、また一つ過去から繋がったみたいだよ」
「?」
一体誰だろうと、城の外壁を回り込んだところで答えが待ち構えていた。ローブを頭からすっぽりかぶった人物が、私とぶつかりそうになってきゃあッと小さく悲鳴を上げたのだ。
「ちょっと、脅かさないで頂けます? これでぶつかったら三度目になりますのよっ」
「あ」
パサリとフードを引き下ろすと、キラキラと輝く金の巻き髪がこぼれ落ちた。ややつり上がった鳶色の瞳をこちらに向けていたのは、一時期ウチの捕虜にもなっていたベルデモール嬢だった。
「モルちゃん!」
「だぁーもう、本当に誰ですの、その呼称を広めたのはっ」
憤慨した様子の彼女は、こっちですわと先導してくれる。使用人が使うらしい勝手口の木戸をギィと開けると薬草の匂いがぷんと香ってきた。おそらくは薬草を栽培しているであろう庭園を駆け抜ける。先を行く彼女は、頬を染めながらまくし立てるように言った。
「勘違いなさらないで、これは後ろ盾を失ったわたくしがそちらの国で再起を謀るための裏切り行為なんですからねっ。決して魔族どもの為なんかではなく! 成功した暁にはちゃんとお母様もろとも迎え入れて頂くわよっ」
「えーと、裏切り宣言はそんな堂々と口にしない方が……お父さんはいいの?」
苦笑しながら何気なく聞くと、ふいっと顔を背けたモルちゃんは独り言のようにつぶやいた。
「お父様には愛想が尽きましたの、わたくしの言うことにちっとも耳を傾けて下さらないんですもの」
「……」
その横顔は、出会ったときのいかにもな『ワガママお嬢様』と比べて少しだけ大人びた様に見えた。ウチの国で見聞きしたことで彼女は何を感じたのだろう。こちらに帰ってきてからどう動こうとしてくれたのだろう。
「見回りだ、隠れろ」
薬草庭園を抜けて回り込むように城の裏手までたどり着いた私たちは、ササッと外壁に貼り付いて騎士が通り過ぎるのをやり過ごす。ふと、もじもじしていたモルちゃんはそっと尋ねてきた。
「ナゴと、あの『ふとましいマダム達』も来ていますの?」
それが拘留中に世話を任せていたゴブリン奥さんたちだと気づく前に、ライムが懐っこい笑みを浮かべながらそれに答えた。
「ううんー、たぶん今ごろ国境で騎士さんたちをパワフルにふん縛ってるじゃないかなー」
「私が居た時には、ほとんど被害は無かったと思われます、ベルデモール嬢」
続くエリック様の言葉に、彼女はあからさまにホッとしたような表情を浮かべる。だけどハッとしたように目を見開くと急に頭を振り始めた。
「べっ、別に心配だとかそういうんじゃなくて――!!」
「わぁーっ、静かに静かに!」
なんとかモルちゃんをなだめて、扉を開けてもらう。中をそっと覗くと、火の落とされた厨房はしばらく使われていないらしくひっそりとしていた。
「なるほど、この旧棟からなら人目は少ない。地下牢も近いぞ」
エリック様の言葉に、前もって用意しておいた見取り図を広げ、現在地を教えてもらう。続けてポケットからこの日の為に用意した懐中時計を取り出し、全員で時刻をきっちり合わせる。指し示している時間は十一時二十五分。予定発射時刻の正午まではあと半刻ちょっと。ここにたどり着くまで思ったより時間がかかってしまった。私は机の周りに全員を集めると話し始めた。
「いい? 侵入には成功したから、ここからは作戦通り三手に分かれて行動するわよ。私はルカを救出に行く。グリ、着いてきて」
「りょーかい」
「ライムは『魔焦鏡リフレクションカノーネ』の所在を突き止めてその場で待機。エリック様、同行願います」
「角度とか格納を考えたら、きっとあの広い屋上だよねっ」
「心得た」
「ラスプ、ドク先生を連れてリヒター王の捜索をお願い。私室の近くに閉じ込められている可能性が高い。もし生きていたら治療して、屋上まで連れてきて」
「わかった」
「ゲコ」
パチンと懐中時計の蓋を閉じた私は全員を見回す。それ以上の言葉は口にせず、ただ死なないでという気持ちだけを視線に込める。
「どの班も予定時刻の十分前までには屋上に集合。全員で発射を阻止するわよ!」
力強くうなずいたみんなは扉を開けて散開していった。出際にラスプが私の頭に手をポンと乗せて軽く乱していく。振り向いた私は一人残ったグリと共に行動を開始しようとした。だけど、壁際で静かにしていた彼女と目が合って足を止める。
「わ、わたくしはどうすれば」
あ、そうだった、モルちゃん。早くこの場から去った方が……と、言いかけて思い直した。
「伝言を頼める? もうすぐ新聞記者のリカルドが追いかけて来ると思うから、そうしたらラスプの方に合流して欲しいって」
「ゲッ、あの悪徳記者――いや、わかりましたわ」
無理はしないでと言い残した私は、グリを伴なって今度こそ走り出した。旧棟の厨房から出ると通路は左右に伸びていた。地下牢に行くには……見取り図を広げようとしたところでグリが先導してくれる。
「こっち。そこの角を曲がったところに降りる階段がある」
導かれるままに走り、古めかしい扉を手前に引くと地下へ続く螺旋階段が現れた。ホコリっぽい陰気な雰囲気にためらう間もなく、グリに魔法の炎を出してもらって足早に降り始める。
――!!
三周ほど下ったところで、誰かが怒鳴っている声が底の方から聞こえてきた。転びそうになりながらも最大速度で駆け下りていく。ついに石畳の地面に到着したところでその名を呼んだ。
「ルカ!」
牢は正面に一つ。その格子の前には六名の騎士たちが背中を並べて立っていた。こちらの呼びかけに振り向いた彼らはやはり虚ろな表情をしている。こちらの魔法の炎に目をすがめているが、動揺した様子は少しもない。
彼らが動いたことで牢の中が見えた。金の髪が騎士たちがかかげた松明の灯りをキラキラと反射している。倒れ伏している全身は幾度も暴行を受けたようにボロ布のように成り果てていた。その光景にカッと頭に血が上る。
「よくも……よくも!」
侵入者を排除しようと騎士たちが腰の聖剣を抜き去りゆっくり迫ってくる。示し合わせたように駆けだした彼らは一直線に飛びかかってきた。ギリギリのところまで引きつけて……ここだっ!
「グリ!」
叫ぶと同時に私はその場に手を突いてしゃがみこむ。入れ替わるように背後から飛び出したグリが大鎌を大きく横に薙ぎ払った。
敵をふわりと飛び越した死神は、タッと軽い音を立てて彼らの背後に着地する。ギラつく聖剣たちは私の鼻先スレスレのところで勢いを失くし、騎士たちはドサドサとその場に倒れていった。
「ぐっ、アアアアア!!」
「ギあああああ!!」
苦渋の叫びを上げていた彼らは、ビクンと跳ねると次々に気絶していった。外傷はなく白目を剥いて口からブクブクと泡を吐いている。それをチラリと見たグリは顔をしかめてみせた。
「うわぁ、切り口が美しくない……わざと下手にやるとか俺の美学に反する。これっきりにしよう」
「殺してないよね?」
「端っこにちょっと傷つけてザリッと擦っただけだよ、廃人にはならないでしょ」
それにしたって屈強な騎士が一撃って……私がされた時はまったく痛みを感じなかったけど、魂を直で傷つけられるグリってある意味最強なのでは?
その時、床に転がされていた囚人が身じろいでハッとする。
「ルカ!」
「ゾンビみてぇなヤツらだな」
隣で私と同じように茂みに隠れていたラスプがつぶやく。そう、彼らは生気のない虚ろな表情で機械的に見回りをしていたのだ。言葉を返す前に今度は私の左側からエリック様の声が上がる。
「あれは騎士団の中でも実力者ばかりだ。おかしい、以前は快活さにあふれた部下たちだったのだが……」
「十中八九、洗脳されておるな」
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戦闘能力のないドク先生をわざわざ前線まで引っ張り出してきたのはこんな事態を見越してのことだった。杞憂で済めばと思っていたのだけど、どうやら悪い予感は当たってしまったようだ。私の問いかけに、先生は一つ頷いてみせる。
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確かに、数に限りがあるなら無駄撃ちはできない。それにもっと大物が洗脳されている可能性が高いのだ。リヒター王とかボリス王とか。あの様子では話を聞いてくれそうにもないし、ちょっと強引に正面突破するしかないのかな……。ラスプとエリック様がいるから負けることは無いと思うんだけど、血は流れるだろう。
ところがその時、辺りの偵察に行っていたグリとライムが帰ってきた。ニコニコ顔の少年は私の手首をつかんで引っ張る。
「アキラ様こっちこっち、助っ人さんが裏口から手引きしてくれるって」
「助っ人? 誰?」
「えっへへ、誰だと思う?」
そう言われてもさっぱり見当がつかなくて、みんなでコソコソと移動を始める。横にふわりと着いたグリが微笑みながらヒントをくれる。
「よかったね、また一つ過去から繋がったみたいだよ」
「?」
一体誰だろうと、城の外壁を回り込んだところで答えが待ち構えていた。ローブを頭からすっぽりかぶった人物が、私とぶつかりそうになってきゃあッと小さく悲鳴を上げたのだ。
「ちょっと、脅かさないで頂けます? これでぶつかったら三度目になりますのよっ」
「あ」
パサリとフードを引き下ろすと、キラキラと輝く金の巻き髪がこぼれ落ちた。ややつり上がった鳶色の瞳をこちらに向けていたのは、一時期ウチの捕虜にもなっていたベルデモール嬢だった。
「モルちゃん!」
「だぁーもう、本当に誰ですの、その呼称を広めたのはっ」
憤慨した様子の彼女は、こっちですわと先導してくれる。使用人が使うらしい勝手口の木戸をギィと開けると薬草の匂いがぷんと香ってきた。おそらくは薬草を栽培しているであろう庭園を駆け抜ける。先を行く彼女は、頬を染めながらまくし立てるように言った。
「勘違いなさらないで、これは後ろ盾を失ったわたくしがそちらの国で再起を謀るための裏切り行為なんですからねっ。決して魔族どもの為なんかではなく! 成功した暁にはちゃんとお母様もろとも迎え入れて頂くわよっ」
「えーと、裏切り宣言はそんな堂々と口にしない方が……お父さんはいいの?」
苦笑しながら何気なく聞くと、ふいっと顔を背けたモルちゃんは独り言のようにつぶやいた。
「お父様には愛想が尽きましたの、わたくしの言うことにちっとも耳を傾けて下さらないんですもの」
「……」
その横顔は、出会ったときのいかにもな『ワガママお嬢様』と比べて少しだけ大人びた様に見えた。ウチの国で見聞きしたことで彼女は何を感じたのだろう。こちらに帰ってきてからどう動こうとしてくれたのだろう。
「見回りだ、隠れろ」
薬草庭園を抜けて回り込むように城の裏手までたどり着いた私たちは、ササッと外壁に貼り付いて騎士が通り過ぎるのをやり過ごす。ふと、もじもじしていたモルちゃんはそっと尋ねてきた。
「ナゴと、あの『ふとましいマダム達』も来ていますの?」
それが拘留中に世話を任せていたゴブリン奥さんたちだと気づく前に、ライムが懐っこい笑みを浮かべながらそれに答えた。
「ううんー、たぶん今ごろ国境で騎士さんたちをパワフルにふん縛ってるじゃないかなー」
「私が居た時には、ほとんど被害は無かったと思われます、ベルデモール嬢」
続くエリック様の言葉に、彼女はあからさまにホッとしたような表情を浮かべる。だけどハッとしたように目を見開くと急に頭を振り始めた。
「べっ、別に心配だとかそういうんじゃなくて――!!」
「わぁーっ、静かに静かに!」
なんとかモルちゃんをなだめて、扉を開けてもらう。中をそっと覗くと、火の落とされた厨房はしばらく使われていないらしくひっそりとしていた。
「なるほど、この旧棟からなら人目は少ない。地下牢も近いぞ」
エリック様の言葉に、前もって用意しておいた見取り図を広げ、現在地を教えてもらう。続けてポケットからこの日の為に用意した懐中時計を取り出し、全員で時刻をきっちり合わせる。指し示している時間は十一時二十五分。予定発射時刻の正午まではあと半刻ちょっと。ここにたどり着くまで思ったより時間がかかってしまった。私は机の周りに全員を集めると話し始めた。
「いい? 侵入には成功したから、ここからは作戦通り三手に分かれて行動するわよ。私はルカを救出に行く。グリ、着いてきて」
「りょーかい」
「ライムは『魔焦鏡リフレクションカノーネ』の所在を突き止めてその場で待機。エリック様、同行願います」
「角度とか格納を考えたら、きっとあの広い屋上だよねっ」
「心得た」
「ラスプ、ドク先生を連れてリヒター王の捜索をお願い。私室の近くに閉じ込められている可能性が高い。もし生きていたら治療して、屋上まで連れてきて」
「わかった」
「ゲコ」
パチンと懐中時計の蓋を閉じた私は全員を見回す。それ以上の言葉は口にせず、ただ死なないでという気持ちだけを視線に込める。
「どの班も予定時刻の十分前までには屋上に集合。全員で発射を阻止するわよ!」
力強くうなずいたみんなは扉を開けて散開していった。出際にラスプが私の頭に手をポンと乗せて軽く乱していく。振り向いた私は一人残ったグリと共に行動を開始しようとした。だけど、壁際で静かにしていた彼女と目が合って足を止める。
「わ、わたくしはどうすれば」
あ、そうだった、モルちゃん。早くこの場から去った方が……と、言いかけて思い直した。
「伝言を頼める? もうすぐ新聞記者のリカルドが追いかけて来ると思うから、そうしたらラスプの方に合流して欲しいって」
「ゲッ、あの悪徳記者――いや、わかりましたわ」
無理はしないでと言い残した私は、グリを伴なって今度こそ走り出した。旧棟の厨房から出ると通路は左右に伸びていた。地下牢に行くには……見取り図を広げようとしたところでグリが先導してくれる。
「こっち。そこの角を曲がったところに降りる階段がある」
導かれるままに走り、古めかしい扉を手前に引くと地下へ続く螺旋階段が現れた。ホコリっぽい陰気な雰囲気にためらう間もなく、グリに魔法の炎を出してもらって足早に降り始める。
――!!
三周ほど下ったところで、誰かが怒鳴っている声が底の方から聞こえてきた。転びそうになりながらも最大速度で駆け下りていく。ついに石畳の地面に到着したところでその名を呼んだ。
「ルカ!」
牢は正面に一つ。その格子の前には六名の騎士たちが背中を並べて立っていた。こちらの呼びかけに振り向いた彼らはやはり虚ろな表情をしている。こちらの魔法の炎に目をすがめているが、動揺した様子は少しもない。
彼らが動いたことで牢の中が見えた。金の髪が騎士たちがかかげた松明の灯りをキラキラと反射している。倒れ伏している全身は幾度も暴行を受けたようにボロ布のように成り果てていた。その光景にカッと頭に血が上る。
「よくも……よくも!」
侵入者を排除しようと騎士たちが腰の聖剣を抜き去りゆっくり迫ってくる。示し合わせたように駆けだした彼らは一直線に飛びかかってきた。ギリギリのところまで引きつけて……ここだっ!
「グリ!」
叫ぶと同時に私はその場に手を突いてしゃがみこむ。入れ替わるように背後から飛び出したグリが大鎌を大きく横に薙ぎ払った。
敵をふわりと飛び越した死神は、タッと軽い音を立てて彼らの背後に着地する。ギラつく聖剣たちは私の鼻先スレスレのところで勢いを失くし、騎士たちはドサドサとその場に倒れていった。
「ぐっ、アアアアア!!」
「ギあああああ!!」
苦渋の叫びを上げていた彼らは、ビクンと跳ねると次々に気絶していった。外傷はなく白目を剥いて口からブクブクと泡を吐いている。それをチラリと見たグリは顔をしかめてみせた。
「うわぁ、切り口が美しくない……わざと下手にやるとか俺の美学に反する。これっきりにしよう」
「殺してないよね?」
「端っこにちょっと傷つけてザリッと擦っただけだよ、廃人にはならないでしょ」
それにしたって屈強な騎士が一撃って……私がされた時はまったく痛みを感じなかったけど、魂を直で傷つけられるグリってある意味最強なのでは?
その時、床に転がされていた囚人が身じろいでハッとする。
「ルカ!」
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