不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ

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第4章 勇者の日常

7 チャラ男を撃退1

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「ふう、いっぱい泳いだね~」
「ああ、疲れたけどすっきりだな」

 俺と月子は笑いながらプールから上がった。

 スキル【水泳】を使いつつ泳ぎまくり、月子もさすがの身体能力を発揮して猛スピードでついてきた。
 思いっきり体を動かすと、やっぱり気持ちいいな。
 と、

「お前、この間の合コンでお持ち帰りした女はどうしたんだよ? 向こうも乗り気だったろ?」
「あー、ヤッてみたら大して具合よくなかったし、よく見ると全然可愛くねーし。一回ヤッたきりだわ」
「まじか」
「LIMEで鬼のようにメッセージが来てたけどスルー安定」

 そんな声が聞こえてきた。

 いかにもチャラそうな男たちが、ヘラヘラ笑いながら話している。
 大学生くらいだろうか。

「またヤリ捨てかよ」
「俺らなら女なんていくらでもヤれるんだし、好みでもない奴を相手にしてるヒマはねーよ」
「まあ、押しに弱い女ばっかりだもんな。楽勝だ」
「向こうに可愛い子が何人かいたし、誘ってくるか」
「いいね。いざとなれば『アレ』をこっそり飲ませて、そのまま……」
「うぇーい」

 下卑た話で盛り上がる彼ら。

「やな感じだね。ボク、ああいう連中って好きじゃないな」

 と、月子が眉をひそめた。

「雫たちと合流するか」
「そだね」

 俺と月子はチャラ男たちから離れるように歩き出す。
 と、

「彼方くん、月子ちゃん」

 その雫が向こうからやって来た。
 俺たちを追いかけてきたんだろうか。

「雫──」

 彼女のもとに歩み寄ろうとして、

「うぇーい、けっこう可愛いじゃん」

 さっきのチャラ男たちが、俺たちより早く雫に近づく。

「え、えっと……?」

 びくっとしたように後ずさる雫。

「うぇーい、君一人?」
「うぇーい、俺らと遊ばね?」
「いいね、うぇいうぇーい」

 さっきからウェイウェイ言いすぎだろ。

 ……なんてツッコんでる場合じゃない。

 雫を助けに行かないと。
 俺は彼女のもとに駆け寄り、チャラ男たちの前に立ちはだかった。
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