3 / 13
出会った何物か。
しおりを挟む
「それなら全部食っていけって話さ。それに食べかけの後からするとモグラとは思えない。他の生物さ」
「ほかに何がいるっていうのさ。村の中は安全だ。村を囲む漆の木のおかげで他の生き物は侵入してこない。来れるのは土の中に住むモグラか、空を飛ぶ生き物くらいだよ」
給仕係のカッパは納得できないという顔で、長老の息子は心配するなの一点張りで話は終わった。ドキアは昼間見かけた影の話をしようと思ったが、給仕係の態度が嫌だったので黙っておくことにした。
夕食を食べ終わると、月が昇るのと同時に鐘の音が二回鳴りました。みんな一斉に集会所に集まった。そしてかご置き場から各自かごを背負ってキュウリ畑に向かった。そして長老のありがたいお話が始まった。
「待ちに待った収穫祭、新月の夜に静かに植えた苗たちが育ち今宵満月の夜に収穫する。天の雨で大きく育ち、月の光で旨味が増す。これは日ごろの我々の良い行いをカッパの神が見守ってくれておるからじゃ。感謝をしながら収穫するのじゃ」
長老がそういうとカッパたちはカラカラカラと賛成の意味を込めて鳴きました。ドキアも合わせて鳴きました。そうして収穫祭が始まりました。
カッパたちはキュウリ畑の端に並んで、一列ずつキュウリを収穫していきます。ドキアはキュウリに触れるたびに生臭いのが口の中に広がるようだった。
一本取っては背中のかごへ、一本取っては背中のかごへ、かごが一杯になると倉庫へ運びます。時間がたつにつれて倉庫はキュウリで満杯になって行きました。キュウリを収穫しながら誰かが歌い始めます。
「みずみずしくて美味しいキュウリ、キュウリはカッパの好物だ。今日の朝飯キュウリがいい。明日の朝飯キュウリがいい。さすがに飽きてくるだろうか。そんなことない、キュウリはあきない。みずみずしくて美味しいキュウリ」
周りのカッパたちも歌いだします。ドキアはこんなくだらない歌を歌う気にはなりませんでした。早く終わってほしい、その一心でした。ドキアはあの影のことを考えました。
カッパじゃない大きな影、トマトもナスもあの影が何者かでお腹を空かせて食べているのなら倉庫のキュウリを全部食べてはくれないだろうか。そうすればキュウリ以外がご飯にでてきてくれる。そしたらあの影と友達になりたい。
すべてのキュウリを取りきるまで収穫祭は続きました。終わったのは太陽と月が顔を合わせようかとするくらいの時間でした。終わった褒美にみんなにキュウリが一本配られましたがドキアはそれを受け取らずに池の中に潜って眠りました。朝ご飯は嫌いなキュウリ、生臭くてまずいキュウリ、とドキアは頭の中で歌いながら眠りました。
翌日の朝ご飯はもちろんキュウリでした。ドキアは受け取るだけ受け取ってそのまま森の奥へと向かいました。お腹が空いたドキアは急ぎ足で向かいました。ドングリはそこまで美味しくはありませんがキュウリよりはましでした。
ドキアの秘密倉庫、大きな松の木が見えてくると遠目に違和感を覚えました。松の木の下に何者かがいるのです。カッパではありません。甲羅も、頭のお皿もないのです。村の中でカッパ以外の大きな生物を見るのは初めてです。忍び足でペタペタと近づきますが、何者かは寝息を立てて眠っているようです。ですが、そこまで警戒はしませんでした。
リスが何者かの上で一緒に寝ているのです。あのリスは警戒心が高くて、ドキアが仲良くなるのにも時間がかかったくらいでした。ドキアは落ちていた長い棒で、寝ている何者かを突っついてみました。
「ほかに何がいるっていうのさ。村の中は安全だ。村を囲む漆の木のおかげで他の生き物は侵入してこない。来れるのは土の中に住むモグラか、空を飛ぶ生き物くらいだよ」
給仕係のカッパは納得できないという顔で、長老の息子は心配するなの一点張りで話は終わった。ドキアは昼間見かけた影の話をしようと思ったが、給仕係の態度が嫌だったので黙っておくことにした。
夕食を食べ終わると、月が昇るのと同時に鐘の音が二回鳴りました。みんな一斉に集会所に集まった。そしてかご置き場から各自かごを背負ってキュウリ畑に向かった。そして長老のありがたいお話が始まった。
「待ちに待った収穫祭、新月の夜に静かに植えた苗たちが育ち今宵満月の夜に収穫する。天の雨で大きく育ち、月の光で旨味が増す。これは日ごろの我々の良い行いをカッパの神が見守ってくれておるからじゃ。感謝をしながら収穫するのじゃ」
長老がそういうとカッパたちはカラカラカラと賛成の意味を込めて鳴きました。ドキアも合わせて鳴きました。そうして収穫祭が始まりました。
カッパたちはキュウリ畑の端に並んで、一列ずつキュウリを収穫していきます。ドキアはキュウリに触れるたびに生臭いのが口の中に広がるようだった。
一本取っては背中のかごへ、一本取っては背中のかごへ、かごが一杯になると倉庫へ運びます。時間がたつにつれて倉庫はキュウリで満杯になって行きました。キュウリを収穫しながら誰かが歌い始めます。
「みずみずしくて美味しいキュウリ、キュウリはカッパの好物だ。今日の朝飯キュウリがいい。明日の朝飯キュウリがいい。さすがに飽きてくるだろうか。そんなことない、キュウリはあきない。みずみずしくて美味しいキュウリ」
周りのカッパたちも歌いだします。ドキアはこんなくだらない歌を歌う気にはなりませんでした。早く終わってほしい、その一心でした。ドキアはあの影のことを考えました。
カッパじゃない大きな影、トマトもナスもあの影が何者かでお腹を空かせて食べているのなら倉庫のキュウリを全部食べてはくれないだろうか。そうすればキュウリ以外がご飯にでてきてくれる。そしたらあの影と友達になりたい。
すべてのキュウリを取りきるまで収穫祭は続きました。終わったのは太陽と月が顔を合わせようかとするくらいの時間でした。終わった褒美にみんなにキュウリが一本配られましたがドキアはそれを受け取らずに池の中に潜って眠りました。朝ご飯は嫌いなキュウリ、生臭くてまずいキュウリ、とドキアは頭の中で歌いながら眠りました。
翌日の朝ご飯はもちろんキュウリでした。ドキアは受け取るだけ受け取ってそのまま森の奥へと向かいました。お腹が空いたドキアは急ぎ足で向かいました。ドングリはそこまで美味しくはありませんがキュウリよりはましでした。
ドキアの秘密倉庫、大きな松の木が見えてくると遠目に違和感を覚えました。松の木の下に何者かがいるのです。カッパではありません。甲羅も、頭のお皿もないのです。村の中でカッパ以外の大きな生物を見るのは初めてです。忍び足でペタペタと近づきますが、何者かは寝息を立てて眠っているようです。ですが、そこまで警戒はしませんでした。
リスが何者かの上で一緒に寝ているのです。あのリスは警戒心が高くて、ドキアが仲良くなるのにも時間がかかったくらいでした。ドキアは落ちていた長い棒で、寝ている何者かを突っついてみました。
0
あなたにおすすめの小説
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
不幸でしあわせな子どもたち 「しあわせのふうせん」
山口かずなり
絵本
小説 不幸でしあわせな子どもたち
スピンオフ作品
・
ウルが友だちのメロウからもらったのは、
緑色のふうせん
だけどウルにとっては、いらないもの
いらないものは、誰かにとっては、
ほしいもの。
だけど、気づいて
ふうせんの正体に‥。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる