『あなたの隣に存在するゲイ、20代最後のエッセイ』

しゅんすけ

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初恋をこじらせ続けたゲイの話②

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 僕は会社で最初の1年間は非常に努力をした。仕事ができたわけじゃない。上司とのコミュニケーションを大事にして気に入られるように努めた。仕事が終わるとOBとして部活に顔を出しに行った。練習終わりの柔軟運動で、彼の体に触れられたあの時間がどうしても忘れられなかったからだ。どうにか一緒に居れる時間を作った。

 そして僕は彼を同じ会社に誘った。なんだかんだあって彼は僕と同じ会社に入社した。僕はただ一緒にいたかったからだ。今考えると気持ち悪いことをしている。そうして同じ会社で7年くらい働いた。嫉妬、やきもちの繰り返しと、また夏にはお祭りに行って、冬に初詣に行った。その七年でいろいろなことがあった。「僕はゲイで君が好きだ」とも伝えたし絶交の危機もあった。仲も悪くなったし、より良くもなった。付き合うことはなかったけれど離れられなかった。それは彼も悪い。

「先輩が女だったらよかったのに」そう言われたのを僕はずっと覚えている。そりゃ男女であれば付き合っていなければおかしい関係だ。

 だけど僕は男で、彼も男だ。僕は男が好きな男で、彼は女が好きな男だ。潔く彼女でも見つけてくれればよかったものの「自分が彼女を作ったら先輩が悲しむから」と持ち合わせの純粋な優しさを見せてくる。それが僕を、どれだけ傷つけるのかも知らない癖に。それでもずっと、ちゃんと好きだった。ルームシェアもして喧嘩もしたし、とにかく喧嘩をしていた。喧嘩と言っても彼がキレたり拗ねるだけだ。

そうして時間が経って彼が転勤になった。関東の事務所にだ。

僕がどうしたかというと、あっさりその仕事を辞めて関東に一緒に引っ越した。彼がいなきゃ、その仕事を続ける意味もなかったから即日仕事を辞めて部屋を借りて彼の近くのアパートに引っ越したのだ。もちろん確認は取った。

「ついてきて欲しい?」と。ずるい聞き方だったかもしれない。彼は断らず、僕は一緒に関東に行った。その年のクリスマスは一緒に大阪に行ってUSJにも行った。これでも僕たちは付き合っていない。

 やまない雨が無いように、冷めない片思いも無いみたいだ。関東に越して僕は別な職を探して働いた。家が近いから、夕飯を作っては彼の家に持っていき一緒に食べた。だけどだんだんと、彼の亭主関白ぶりに嫌気がさした。

 頼まれて作っているわけではないけれど、作ったものに文句を言われたりキッチンが少しでも汚れていると小言を言ってきたり、なにより喧嘩が終わらなくなった。最後は彼の不満が爆発したようで、僕の家の壁に拳で穴をあけた。

 さすがに悲しくて涙が出てきたと同時に彼への好意も体から流れ出ていった。片思いはだらだらと長続きさせるべきではない。楽しかったのは確かだ。一緒にいれて好きという気持ちを初めて教えてくれたのも、やきもちや嫉妬の感情も彼で初めて知った。今はまだ、正直会いたくない。これを整理するには時間が必要なんだ。

僕が同棲すると、彼のところに行った時「会えなくなっちゃうじゃないですか」と言われた。それは今までの僕が言ってほしかったセリフで、今の僕は求めていなかった。僕は今は会えなくなってもいいとさえ思っている。とにかく時間が必要で、だけどいつか笑って遊べる日が来ると思っている。それまでに彼も僕も、もっと大人になる必要がある。
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